インキュバス君は困ってます!

秋元智也

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28話 純潔と混血

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畑野は青山に貰ったお守りを持って部室へと来ていた。

「部長!昨日は災難でしたね?」
「災難って、なんで知ってるんだ?」
「それは近くにいたからですよ?あの女やっぱり化け物だったでしょ?」
「あれはどういう事なんだ?俺もあんな風になるのか?」
「そうですね~、あの女が学校休むって事は部長を探して殺すまでって事
 もあり得ますね~」
「う、嘘だろ…そんな…」
「もちろん、僕が退治するって方法もありますけどね?質問に答えてくれ
 たら助けてあげましょうか?」

青山の言葉に少し興味を持った。

「質問ってなんだよ?」
「部長ってなんで魅了にかからなかったんですか?僕ならわかりますけど、
 部長って普通の人間じゃないですかぁ~?何故です?」
「それはどういう事だ?魅了?俺がかかってたのか?」
「あー無自覚ってわけですかぁ~。それは残念。もう誰かのマーキングでも
 ついてるのかと思ったのになぁ~」
「そのサキュバスとはなんなんだ?」

まずはそれを知りたかった。

「前はインキュバスとか言ってなかったか?」
「そこからですかぁ~、手早く言うと、人間の生を吸って生きる化け物ですよ。
 純潔な血が入っていれば精液だけでも生きていけるんですが、不純物が混じる
 ると精液を吸ってるつもりが人間自体の生命を吸い取ってしまうんですよ。」
「純潔だと精液だけ?」
「それですよ?混血だと、厄介なんです。ですが純潔でも、人間と交われば混血
 が生まれる。その前に純潔も滅さないといけないんです。」

青山がいう混血とは秋谷春乃の事だろう。
そして純潔とは…磯部恵の事を指していた。

だから、畑野は精液だけ吸われて生きているのだ。
このままずっと一緒にいても子供はできないし、ただ食事で精液だけなら支障も
ない上に問題にもないらないだろう。

「まぁ、混血はどうしても人を殺してしまいますからね~。純潔を求める傾向に
 あるんです。」
「えっ…それってどういう…」
「あぁ、混血のサキュバスは同じサキュバスか、インキュバスを番いとして求め
 るんですよ?もちろん人間を食べ続けてもいいですけど、同族ならお互い満た
 されて死にませんからね~」

前に、恵が言っていたのを思い出す。
自分はインキュバスで、父がインキュバス、母がサキュバスだと。
気づいたら同族同士で一緒になっていたと。
そのかわり見た目の衰えがない為、海外を飛び回っていると聞いた事があった。

「混血というのは秋谷春乃で間違いないのか?」
「部長も見たでしょ?あの女が何しようと構わないんですが…ついでに純潔までつ
 れるなら願ったり叶ったりですよ。この学校にはまだ何かいそうですからね~」

青山はまだ秋谷を止めるつもりはないらしい。
そうなると、恵が危険だった。

もし同族だと分かれば秋谷が近づいてします。
それによって、青山にもばれてしまうからだ。
そうなればこの前の火傷程度では済まないかもしれない。
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