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31話 山の生活
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食事は簡単に干し肉をふやかして焼いた物と卵焼きだった。
持ってきたパンに挟んで簡単に取れる食事となった。
「山で食べるのも美味しいな?」
「だろ?今度二人で行かないか?恵くんは初めてだろ?」
「そうだな…でも、池下くんいないで大丈夫なのか?」
「俺だって部長だぞ?なんでもできるって」
畑野は池下に同意を求めたが、反応はイマイチだった。
青山は何かを探っているのか少し離れたところで食べていた。
恵としてはあまり関わりたくない人種だったのでそっとしておく。
それからテントを片付けると、審査員がきて今日の健康状態を質問された。
それからは再び出発する事になった。
あいにく今日は雨がパラパラしてきて全員がカッパを着ての登山となった。
身動きしやすい様にズボンと上はポンチョではなく普通の服タイプの物だ。
夕方になって雨は厳しさを増していった。
その日のうちに目的の地点に着くと、少し変更して沢の付近ではなく少し高
い場所にテントを張る事になったのだ。
危険となれば、多少の変更はできる。
「雨止まないな?」
「まぁしかないよ。これも山の天気だしな!」
炊飯はテントの形を少し変えて屋根ができる様にしてその下で火を起こす事
にした。
地面が濡れているせいで火がつきにくく、時間がかかってしまった。
「大丈夫そうか?」
「あぁ、こういう時の為の知識だよ?」
池下は器用に濡れた地面に近くにあった石を集めて詰めるとその上に持ってき
た薪を置いて火を起こした。
釜はその場にある物で作らなければならない。
今日は時間をかけられないので手早くできるあえものや、ジッパーに詰められ
たじゃがいもを使って片栗粉と混ぜて餅状にして表面を焼いた。
じゃがいもは、塩胡椒を振ってあって片栗粉が混ざったせいかジッパーの中で
ぐしゃぐしゃに潰すと丸めることで一口サイズになる。
そして表面を軽く焼けば腹持ちのいい非常食へと早変わりした。
「池下くんって本当にすごいな~」
「磯部会長に言われると嬉しいな~。今度どう?一緒に出かけない?」
「待て待て待て!なにを言ってるのかな!池下く~ん?」
「部長って心狭いですよ~。」
「変な誘惑をするな!」
「ははっ、なんか面白いな?」
恵はそんなやり取りを見て笑い出していた。
こんな過酷とも取れる状況下で、笑えるのが一番すごいのだろう。
来てよかったと少し思い直していた。
「恵くん、どう?足りてる?」
「あぁ、大丈夫だ。」
『後で俺専用の食事があるからな?もちろん今日も…だろ?』
耳元で囁かれると畑野は頷きながら顔を赤くした。
「今日も部長と一緒に寝るんですか?今日は人、チェンジしませんか?」
「ダメだ!絶対にダメ!」
畑野の否定が即座に入った事で、池下の案は却下されたのだった。
持ってきたパンに挟んで簡単に取れる食事となった。
「山で食べるのも美味しいな?」
「だろ?今度二人で行かないか?恵くんは初めてだろ?」
「そうだな…でも、池下くんいないで大丈夫なのか?」
「俺だって部長だぞ?なんでもできるって」
畑野は池下に同意を求めたが、反応はイマイチだった。
青山は何かを探っているのか少し離れたところで食べていた。
恵としてはあまり関わりたくない人種だったのでそっとしておく。
それからテントを片付けると、審査員がきて今日の健康状態を質問された。
それからは再び出発する事になった。
あいにく今日は雨がパラパラしてきて全員がカッパを着ての登山となった。
身動きしやすい様にズボンと上はポンチョではなく普通の服タイプの物だ。
夕方になって雨は厳しさを増していった。
その日のうちに目的の地点に着くと、少し変更して沢の付近ではなく少し高
い場所にテントを張る事になったのだ。
危険となれば、多少の変更はできる。
「雨止まないな?」
「まぁしかないよ。これも山の天気だしな!」
炊飯はテントの形を少し変えて屋根ができる様にしてその下で火を起こす事
にした。
地面が濡れているせいで火がつきにくく、時間がかかってしまった。
「大丈夫そうか?」
「あぁ、こういう時の為の知識だよ?」
池下は器用に濡れた地面に近くにあった石を集めて詰めるとその上に持ってき
た薪を置いて火を起こした。
釜はその場にある物で作らなければならない。
今日は時間をかけられないので手早くできるあえものや、ジッパーに詰められ
たじゃがいもを使って片栗粉と混ぜて餅状にして表面を焼いた。
じゃがいもは、塩胡椒を振ってあって片栗粉が混ざったせいかジッパーの中で
ぐしゃぐしゃに潰すと丸めることで一口サイズになる。
そして表面を軽く焼けば腹持ちのいい非常食へと早変わりした。
「池下くんって本当にすごいな~」
「磯部会長に言われると嬉しいな~。今度どう?一緒に出かけない?」
「待て待て待て!なにを言ってるのかな!池下く~ん?」
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恵はそんなやり取りを見て笑い出していた。
こんな過酷とも取れる状況下で、笑えるのが一番すごいのだろう。
来てよかったと少し思い直していた。
「恵くん、どう?足りてる?」
「あぁ、大丈夫だ。」
『後で俺専用の食事があるからな?もちろん今日も…だろ?』
耳元で囁かれると畑野は頷きながら顔を赤くした。
「今日も部長と一緒に寝るんですか?今日は人、チェンジしませんか?」
「ダメだ!絶対にダメ!」
畑野の否定が即座に入った事で、池下の案は却下されたのだった。
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