インキュバス君は困ってます!

秋元智也

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41話 代償

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もちろん近くに落ちているわけでもない。
鎖で繋がれたまま身動きが取れなくなっていた。

「誰がこんな…」

触れてみるとひんやりとしていて微かに呼吸をしているのが分かる。

しかし、僅かな息遣いでいつ止まるかというくらいに今にも息が止まってしまうの
ではないかと思われた。

移動させたいけど、この状況ではどうにもならない。

こんな事頼みたくはなかったが、青山に電話すると来てもらうことにした。
20分後それまでに口移しで水を飲ませようと試みたが全く飲み込みもしなかった。

ピンポーン。
という軽やかな音がして青山を招き入れた。

「部長~大事な話ってなんですか?ん?」

奥に進み恵の状態を確認するとワイヤーカッターで鉄の拘束具を切断した。
その際、腕にも切り傷ができたが、青山は全く悪びれもしなかった。

「もっと慎重にやれよ!腕にこんな傷が…」
「大丈夫ですって、化け物がそう簡単に死ぬわけないでしょ?それにしても
 まさか自殺するつもりだったんですかね~?」

なんとも軽い言い方に畑野は苛立ちを抑えるので精一杯だった。

「どうしたらいい?どうしたら彼を救える?」
「救いたいんですか?やっと解放されるんですよ。」
「そんなの望んでない!俺だけを見て欲しかっただけなのに…」
「ふ~ん、ちょっと動かないで貰えます?」

そう言うと何かをかざした。
すると何か考え込むと大きなため息を漏らす。

「マーキングもう切れてますね~。なのにまだこの人を助けたいって思うの?」
「当たり前だろ?俺は…恵くんが好きなんだ。この気持ちはずっと変わってな
 いつもりだ。食事を提供する前からずっとだ。」
「なら、いいですよ?助けても…代わりにコレが欲しいです。いいでしょ?
 命と引き換えなら安いものでしょ?」
「それは…いや、命が有ればいい。頼む、助けてくれ」

交換条件に出されたモノを考えると畑野が答えていいものではないが、今は一刻
を争うと思うと仕方ない決断だった。

今なら何をしても意識はなく、本人が目覚めるまでは知らないでいられる。
たとえ睾丸が無くなろうともそれは起きてからの事だった。

付け根をワイヤーできつく縛り止血すると一気に切り取った。
そのままオイルの入った瓶の中に入れる。
中には無数の染色体が詰まっている。
切り離されても、まだ生きていられる事が、青山には神秘的で実験の対象だっ
たのだ。

あとは畑野から抜き取った精液をチューブで直接喉の奥に押し込む。

飲み込む力がないので直接送り込むと少し顔色が良きなる。
あとは服を脱がせると意識のない彼とまぐわえというのだった。

「早くしなよ?ここの器官は確実に死なない限りは動き続けるからきっと気持ち
 いいよ?それとも僕のを入れる?」

青山の言葉に躊躇したが、誰にも触れさせたくないと思う気持ちは変わらなかった。

「本当にコレでいいんだな?」
「あぁ、それで目を覚ますよ?それと摂取を始めたらもしかしたら止まらないかも
 ね?それでもいいの?」
「…いい。恵くんが無事ならそれでいい」

『ならいいや』というと青山は出て行く。

「それでも目覚めなかったらまた呼んでよ。貰った分の働きはするよ?」
「分かった」

そう言って出て行くのを見送ると、彼をベッドに運び尻の孔に指を入れてみる。
なんの反応もなかった場所がゆっくりと濡れ出した。
受け入れ体制はすぐに整って行く様だった。
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