インキュバス君は困ってます!

秋元智也

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43話 二人でなら

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彼の存在が自分の中にだんだん大きくなるのを知った。

それと同時に自分が危険な存在である事を再認識させられた。
つい視線を追ってしまう彼の居場所。

好きだと気づいてからは、胸が張り裂けそうに辛かった。
いつしか、彼を解放しなくてはならないと思う反面、誰にも渡したくない
という意志が働くようになっていった。
頭ではわかっているのだ。
マーキングのせいで自分を好きだって錯覚しているだけで、彼のいつも言
う『好き』や『愛してる』は錯覚なのだと。

愛されたい。
ただそんな事を望むなんて、昔の自分ならあり得なかった。

食事だけじゃない感情を知ってしまうともう戻れない。
いっそ、言ってしまおうか?
好きだと言ったら受け入れてくれるだろうか?
マーキングが消えても好きでいてくれるだろうか?

不安を抱えて彼を手放す決意をしたのだ。
なのに…どうして死なせなかったのだろう。

怒って抱きしめられると、勘違いしてしまう。

「勘違いしても…いいのか?」
「勘違いじゃない!いつも言ってるだろ?本気で好きなんだよ」
「でも…俺は…」
「恵だ。誰がなんと言おうとも恵は恵だ!それがどうした?誰にも文句
 言わせねょ!」

小刻みに震え出す。
我慢していた想いが溢れて涙となって流れ出る。

「寂しかったぁ~、会わないなんてもう言わないから、側にいてよ」
「あぁ」
「ずっと、ずーっと、俺の側にいてくれるか?」
「あぁ、勿論だ」

起き上がると抱きついて行く。
裸の肌が心地よかった。
抱きしめるとすべすべの肌が重なり合う。
たっぷりと精液を摂取したはずなのだが、目の前がふらっと揺れる。

「どうした?」
「ん?なんだろう、身体が何かおかしい…?」

さっき中に出された精液が太ももを伝って流れ出てくる。

「あれ?どうして?」
「恵?」

自ら股を開くと間から溢れ出す精液を救い取った。

「どうして?出てきて…」

普通ならナカに出した分は勝手に吸収されて無くなっていた。
だが今はそれが出来ず全部流れ出てきている。
そして、何より違和感があるのは竿の裏にあるはずの睾丸がなくなって
いるのだ。
傷は塞がっているが綺麗に切り取られていたのだ。

「何で…これは…」
「ごめん。青山に連絡したんだ。どうしても恵くんを助けたいと言ったら」
「…そうか…」
「…」

ぎゅるるるるぅ~~~。

「…」
「…」
「ぷっ!久しぶりに聞いたな?恵の腹の音」
「煩い!ずっと動けなかったから仕方ないだろ?」
「どうしてあんな事したんだ?」
「…」
「まずは飯にするか?ちゃんとした食事してからゆっくり聞くよ」

冷蔵庫の中を開いたが、ほとんど食べ物らしいものは入っていなかった
のでコンビニまで畑野が走って買いに行ってくれた。

恵は服は着たものの、下が心もとなく安定しない。
あったはずのものがなくなるとここまで不安になるのかと考えていた。
しかし、そのせいでどんな弊害が出るのかが不安でもあった。
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