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44話 愛しの君
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弁当を自分の分なのか2個買ってくると、恵の前に差し出した。
「ほらっ、まずは食べてからだろ?」
「…うん」
しっかり者で知られていた生徒会会長の意外な一面が観れた気がした。
勿論セックスしている時の恵も誰も見た事のないような色を放っていた。
それを知っているのは畑野だけだろう。
黙々と口に駆け込むのを眺めながら食べ終わるとお茶を差し出す。
ぐびぐびと喉が動き、色っぽく見えてしまう。
もう一個の弁当を差し出すと不思議そうに眺めてきた。
「裕也の分じゃないのか?」
「一個で足りたのかよ?ずっと食べなかったんだろ?何やってんだよ。全く。
賢い会長様のやることじゃねーな!」
「…ごめん…迷惑かけた」
しょんぼりすると差し出された2個目に手をつけていた。
今度はゆっくりと噛みしめながら食べて行く。
やっと全部食べ終わると一息ついたのだった。
「何であんな事してたのか聞かせてもらえるか?」
「それは…」
「話せない事なのか?それとも誰かに?」
「違う…自分でやったんだ。自分が惨めで…このまま生きてくのが嫌で…」
「なんでそうなったんだよ?俺がそんなに嫌だったか?」
「違う!裕也が最近女子生徒と話してるのを見たら胸が締め付けるように痛くて、
それで俺は裕也の事好きなんだなって…こんな事ダメだろ?裕也はそんな感情
ないのに…それなのに…」
「誰が、そんな事言ったんだよ?いつも言ってるだろ?俺は恵のことが一番好き
だって…信じられないか?」
「だって…あれはマーキングがあるから…本当はそんな事ないんじゃないかって」
ようは自信が持てなかったという訳だったのだ。
「それに…俺が精神的に不安定になると周りにも影響しちゃったし…」
「何かあったのか?」
「誰かれ誘惑してたみたいで…俺はそんな気ないのに…」
畑野は恵を掴むと真正面から見据えた。
「誰かとしたのか?まさか…」
「何もしてないよ。裕也とだけ…だよ」
照れながら言われると、さっきまでしていた事を思い出して恥ずかしくなって
きた。
「あぁ、それなら…うん。なら…どうして…?打ち明けてくれれば」
「言えない…やっぱり言えないよ。インキュバスだって分かって、精液を貰わない
と生きていけないって言うのに…好きだって言っても、結局は食事の為だって思
われるって思ったら…言える訳ないじゃないか…」
やっぱり恵にはかなわないと思うと引き寄せて抱きしめていた。
「だったら、俺が何度でもいうよ、恵くんが大好きだよ。世界がどうなろうと、恵
くんさえ側にいてくれたらそれでいい。愛してるんだ。」
「…俺も…好きだよ。どうしてだろう、こんなに恋愛苦手なのに…インキュバスな
んて…おかしいよな?」
「確かにな?一番縁遠いんじゃないか?。」
クスクスと腕の中で笑いが込み上げてきた。
もう何があっても離すつもりはない。
だってこんなに綺麗で、可愛い恋人が腕の中で嬉しそうに笑っているのだから。
畑野は胸が熱くなって行くのを感じるのだった。
「ほらっ、まずは食べてからだろ?」
「…うん」
しっかり者で知られていた生徒会会長の意外な一面が観れた気がした。
勿論セックスしている時の恵も誰も見た事のないような色を放っていた。
それを知っているのは畑野だけだろう。
黙々と口に駆け込むのを眺めながら食べ終わるとお茶を差し出す。
ぐびぐびと喉が動き、色っぽく見えてしまう。
もう一個の弁当を差し出すと不思議そうに眺めてきた。
「裕也の分じゃないのか?」
「一個で足りたのかよ?ずっと食べなかったんだろ?何やってんだよ。全く。
賢い会長様のやることじゃねーな!」
「…ごめん…迷惑かけた」
しょんぼりすると差し出された2個目に手をつけていた。
今度はゆっくりと噛みしめながら食べて行く。
やっと全部食べ終わると一息ついたのだった。
「何であんな事してたのか聞かせてもらえるか?」
「それは…」
「話せない事なのか?それとも誰かに?」
「違う…自分でやったんだ。自分が惨めで…このまま生きてくのが嫌で…」
「なんでそうなったんだよ?俺がそんなに嫌だったか?」
「違う!裕也が最近女子生徒と話してるのを見たら胸が締め付けるように痛くて、
それで俺は裕也の事好きなんだなって…こんな事ダメだろ?裕也はそんな感情
ないのに…それなのに…」
「誰が、そんな事言ったんだよ?いつも言ってるだろ?俺は恵のことが一番好き
だって…信じられないか?」
「だって…あれはマーキングがあるから…本当はそんな事ないんじゃないかって」
ようは自信が持てなかったという訳だったのだ。
「それに…俺が精神的に不安定になると周りにも影響しちゃったし…」
「何かあったのか?」
「誰かれ誘惑してたみたいで…俺はそんな気ないのに…」
畑野は恵を掴むと真正面から見据えた。
「誰かとしたのか?まさか…」
「何もしてないよ。裕也とだけ…だよ」
照れながら言われると、さっきまでしていた事を思い出して恥ずかしくなって
きた。
「あぁ、それなら…うん。なら…どうして…?打ち明けてくれれば」
「言えない…やっぱり言えないよ。インキュバスだって分かって、精液を貰わない
と生きていけないって言うのに…好きだって言っても、結局は食事の為だって思
われるって思ったら…言える訳ないじゃないか…」
やっぱり恵にはかなわないと思うと引き寄せて抱きしめていた。
「だったら、俺が何度でもいうよ、恵くんが大好きだよ。世界がどうなろうと、恵
くんさえ側にいてくれたらそれでいい。愛してるんだ。」
「…俺も…好きだよ。どうしてだろう、こんなに恋愛苦手なのに…インキュバスな
んて…おかしいよな?」
「確かにな?一番縁遠いんじゃないか?。」
クスクスと腕の中で笑いが込み上げてきた。
もう何があっても離すつもりはない。
だってこんなに綺麗で、可愛い恋人が腕の中で嬉しそうに笑っているのだから。
畑野は胸が熱くなって行くのを感じるのだった。
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