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第十話
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最近先輩との距離が近い気がする。
付き合ってくれと言ったのは自分だけど、それでもこれは心臓に悪い。
「はぁ~…」
「どうした?先輩の事か?」
「…なんで分かるの?」
「そりゃな~、何年友達やってると思ってんだ?」
「そうなのか?分からんかったぞ?」
「勇太、お前な~」
前田はいつも花園の心配をしてくれる数少ない友人だった。
その隣の田辺勇太は深く考えないせいもあり、誰からも反感を買う
事はない。
「なんか最近先輩との距離がね~」
「そりゃ付き合ってんだからいいんじゃねーの?」
「それはそうなんだけど…」
(この前なんてキスされるかと思ってすっごくドキドキしたんだよな~)
「キスの一つでもしたのか?」
能天気に聞いてくる田辺に前田から拳骨が落ちる。
ゴンッ…。
「イテッ、何すんだよ!」
「デリカシーのないやつだな~」
「付き合ってたら普通だろ?」
「…そうなんだよね…本当に付き合ってたら普通なんだよね…」
「本当に付きあっちまえばいいだろ?何がダメなんだ?好きなんだろ?」
「ダメに決まってるじゃん!卒業までって約束なのに…そのあとが辛い
じゃん」
「ふ~ん。その後も付き合えばいい話じゃん?」
「お前は黙ってろ!」
「そんな事できる訳ないじゃん、僕なんか見向きもしないよ、きっと。
今虫除けって理由があるから付き合ってくれてるだけだもん。」
自信なさげに言うと教室に先生が答案用紙をもって入ってきた。
テスト初日、いつも以上に手応えはあった。
先輩と一緒に勉強したかいがあったと思う。
その日の放課後も一緒に勉強した。
最近、先輩に抱き寄せられたりと触れられる事が多くなった気がする。
特に人前でのアピール以外にも、触れてくるのでその度にドキドキして
顔が火照ってくる。
(一体どう言うつもりなんだろう?)
テスト期間が終わると部活も始まる。
部活へ向かう通路で、先輩の教室が見える。
毎日のように窓際で手を振ってくれる、それだけですっごく嬉しい。
練習中、休憩しに外の空気を吸いに出ると柿崎先輩の横に嬉しそうに腕
を組む女性がいた。
そのまま帰っていくのを見送ると胸が締め付けられるように痛い。
ただ、一緒に帰るのを見送るだけなのに…。
練習に戻ると、調子が悪いのか一本取られてばかりで勝てない。
「どうした?今日は調子悪いのか?」
田辺に聞かれて曖昧な返事を返した。
「なんでだろう…ちょっと体調悪いかも」
「今日は早く帰るか?一人で大丈夫か?」
「うん、大丈夫だから…ごめん、帰るよ」
他の先輩にも心配されながらも着替えるとすぐに家に帰った。
久しぶりに一人で帰った気がする。
いつもは横に先輩がいて、帰る時も楽しかった。
今は、前みたいに一人ってだけなのに、すっごく寂しい気がした。
付き合ってくれと言ったのは自分だけど、それでもこれは心臓に悪い。
「はぁ~…」
「どうした?先輩の事か?」
「…なんで分かるの?」
「そりゃな~、何年友達やってると思ってんだ?」
「そうなのか?分からんかったぞ?」
「勇太、お前な~」
前田はいつも花園の心配をしてくれる数少ない友人だった。
その隣の田辺勇太は深く考えないせいもあり、誰からも反感を買う
事はない。
「なんか最近先輩との距離がね~」
「そりゃ付き合ってんだからいいんじゃねーの?」
「それはそうなんだけど…」
(この前なんてキスされるかと思ってすっごくドキドキしたんだよな~)
「キスの一つでもしたのか?」
能天気に聞いてくる田辺に前田から拳骨が落ちる。
ゴンッ…。
「イテッ、何すんだよ!」
「デリカシーのないやつだな~」
「付き合ってたら普通だろ?」
「…そうなんだよね…本当に付き合ってたら普通なんだよね…」
「本当に付きあっちまえばいいだろ?何がダメなんだ?好きなんだろ?」
「ダメに決まってるじゃん!卒業までって約束なのに…そのあとが辛い
じゃん」
「ふ~ん。その後も付き合えばいい話じゃん?」
「お前は黙ってろ!」
「そんな事できる訳ないじゃん、僕なんか見向きもしないよ、きっと。
今虫除けって理由があるから付き合ってくれてるだけだもん。」
自信なさげに言うと教室に先生が答案用紙をもって入ってきた。
テスト初日、いつも以上に手応えはあった。
先輩と一緒に勉強したかいがあったと思う。
その日の放課後も一緒に勉強した。
最近、先輩に抱き寄せられたりと触れられる事が多くなった気がする。
特に人前でのアピール以外にも、触れてくるのでその度にドキドキして
顔が火照ってくる。
(一体どう言うつもりなんだろう?)
テスト期間が終わると部活も始まる。
部活へ向かう通路で、先輩の教室が見える。
毎日のように窓際で手を振ってくれる、それだけですっごく嬉しい。
練習中、休憩しに外の空気を吸いに出ると柿崎先輩の横に嬉しそうに腕
を組む女性がいた。
そのまま帰っていくのを見送ると胸が締め付けられるように痛い。
ただ、一緒に帰るのを見送るだけなのに…。
練習に戻ると、調子が悪いのか一本取られてばかりで勝てない。
「どうした?今日は調子悪いのか?」
田辺に聞かれて曖昧な返事を返した。
「なんでだろう…ちょっと体調悪いかも」
「今日は早く帰るか?一人で大丈夫か?」
「うん、大丈夫だから…ごめん、帰るよ」
他の先輩にも心配されながらも着替えるとすぐに家に帰った。
久しぶりに一人で帰った気がする。
いつもは横に先輩がいて、帰る時も楽しかった。
今は、前みたいに一人ってだけなのに、すっごく寂しい気がした。
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