偽物の恋

秋元智也

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第十一話

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憂さ晴らしに近寄ってきた知らない女を抱いた。

気持ちいいかと言われると分からない。
ただ入れて出すだけの行為で、感動もなければ惰性でしているだけ。
嬉しそうに腕を組んでくるのが鬱陶しいがヤレるなら、仕方ない。

ベッドの上で乱れる裸体を見ながら想像してしまう。
綾音だったら、どうだろうかと…。
恥ずかしそうに真っ赤な顔で見上げられたらと思うと下半身が疼い
てくる。

自身を舐める女が綾音に見えてくる。
それだけですぐに硬くなっていく。
決して女が上手い訳じゃない、俺が勝手に勃起しただけに過ぎない。
女に勝手に触らせない。
押し倒すと中を慣らしてやると早々に柔らかくなる。
いつもの作業と思えば身体が勝手に動いていく。
一連の行動が終わると今日はシャワーを借りて綾音のいる体育館へと
向かった。

「ん~あれ?花園は?」

通りかかった後輩に聞くと早々に帰ったと言われた。

「なんで?」
「今日は始めから体調が悪いみたいでさっき帰りましたよ?」
「体調が悪い?そんなの…」
(気づかなかった…あんなに毎日見てたのに…?)

追いかけるように綾音の家に向かったが追いつけなかったらしい。
帰り道にはもう、すでに居なかった。
近くの公園を通るとブランコに座る綾音を発見した。

「綾~!」
「せ…先輩!どうして?」
「よかった~、体調悪くて先に帰ったって聞いて…」

立ち上がった綾音を抱きしめるとひんやりと冷たかった。

「体調悪いのに寒かっただろ?家に入った方がいいんじゃないか?」
「いえ…別にそんなんじゃ…」
「何かして欲しい事あるか?俺に出来る事ならなんでも…」
「大丈夫です。もう、帰って下さい。」

作り笑顔を見せると帰ろうとする。
無理させている気がする。
でも、どうしてだか理由がわからない。

「待って…綾音っ!」
「…!」

行こうとする綾音の腕を掴むと引き寄せる。
誰も見ていない、薄暗い公園で初めて男にキスをした。
驚いて目を見開いて固まる綾音を、肯定と受け取ると腕を強く握った
まま何か言おうとした唇の中に舌を滑り込ませた。

女子とは何度もしている。
男とのキスは始めてだった。だが、やる事は一緒だ。
中を蹂躙する様に舌で掻き回し、綾音の舌に絡ませてやる。
お互いの唾液が混ざるようにしたら吸い上げる。
息が苦しそうに目を細めるが、もっと欲しい。
もっとこのままでいたい。

手を滑らせて綾音のズボンの上から触るとすでに硬くなってきている。
布の上から触ると綾音の手が俺の胸を押してくる。
弱い抵抗を押し退けると力を込める。
唇を離すと真っ赤になった顔から涙がこぼれ落ちた。

「えっ…綾音?」
「…酷い…何でこんなっ…ぐすっ…」

泣かれるとは思ってなかっただけに力が抜けていった。
腕の中からすり抜けると走っていってしまった。

「俺の事好きなんじゃねーの?…なんでそんな顔すんだよッ…」
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