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第三十五話
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柿崎は大会の予定表を見て、観戦に来ていた。
主力メンバーを見て、不思議に思った。
綾音の名前がない!?
麻生の次に、誰よりも剣筋がよくて強かった筈だった。
柿崎でさえ、少し気を抜くと怖い選手だ。
なのに、取り組み表には乗っていないのだ。
メンバーが見えるところまで行っても、綾音の姿はなかった。
もちろん麻生だけに頼った戦いなど、勝てるはずもなかった。
帰りに麻生へ声をかけると機嫌悪く答えてくれた。
「なんだよ、あの試合は?」
「仕方ないだろ?柿崎先輩のような強い選手がいねーんだから」
「あいつはどうしたんだよ?」
「あいつって?」
「綾音…いや、花園だよ!お前もてこずってただろ?」
「辞めたよ。」
耳を疑った。
辞めた?なぜ?
「自分で聞けよ!お前が居なくなってからちょっと部活内で揉め
たんだよ。それで怪我したんだ…もう、部活もできないってく
らいにな…」
「怪我って酷いのか?」
麻生は鬱陶しそうに柿崎の手を振り払うと行ってしまった。
あんな別れ方をしたけれど、どうしても忘れられずにいた。
大学でも、寄ってくる女子は多いけれど関係を持つ事は無かった。
綾音を抱いて以来、女を抱いていない事に気づいた。
もう一度、話したい。
でも…俺も結構酷い事を言ったし、どうやって顔を出すべきか悩んだ。
大学が終わるとこっそりと高校へと赴いた。
先生に会うと嬉しそうに迎えてくれた。
見慣れた剣道部の部室へといくと、未だに花園の名前がロッカーに残っ
ていた。
そっと触れると中は空っぽで使われていなかった。
「花園はもったいないよな~、いつも一生懸命な子だったのに…」
「揉め事があったって聞きましたけど?怪我したんですか?」
「あぁ、そうらしいな…利き腕だったらしい。まぁ、治ったらいつでも
戻ってこれるようにな~、若い子は治りも早いというしな!」
先生は何も知らないようだった。
2年の教室をうろうろすると田辺とばったりでくわした。
「あ!お前は…」
「げっ!なんでここにいんだよ!綾音なら図書室だぞ?」
「いや、俺は振られたから…それより、綾音に何があったんだ?怪我し
たって聞いたんだが…酷いのか?」
「…全部あんたのせいだろ?綾音があぁなったのは…別れたんなら二度
と顔見せんなよ!」
田辺は敵意剥き出しにすると、走り去っていった。
事情を知っているようだった。
そのあと図書室へと行くと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
半袖姿に腕には包帯を巻いた綾音の姿があった。
隣には前田がいる。
何気ない事で笑いながら勉強をしていた。
あそこにはかつて柿崎がいた居場所だった。
主力メンバーを見て、不思議に思った。
綾音の名前がない!?
麻生の次に、誰よりも剣筋がよくて強かった筈だった。
柿崎でさえ、少し気を抜くと怖い選手だ。
なのに、取り組み表には乗っていないのだ。
メンバーが見えるところまで行っても、綾音の姿はなかった。
もちろん麻生だけに頼った戦いなど、勝てるはずもなかった。
帰りに麻生へ声をかけると機嫌悪く答えてくれた。
「なんだよ、あの試合は?」
「仕方ないだろ?柿崎先輩のような強い選手がいねーんだから」
「あいつはどうしたんだよ?」
「あいつって?」
「綾音…いや、花園だよ!お前もてこずってただろ?」
「辞めたよ。」
耳を疑った。
辞めた?なぜ?
「自分で聞けよ!お前が居なくなってからちょっと部活内で揉め
たんだよ。それで怪我したんだ…もう、部活もできないってく
らいにな…」
「怪我って酷いのか?」
麻生は鬱陶しそうに柿崎の手を振り払うと行ってしまった。
あんな別れ方をしたけれど、どうしても忘れられずにいた。
大学でも、寄ってくる女子は多いけれど関係を持つ事は無かった。
綾音を抱いて以来、女を抱いていない事に気づいた。
もう一度、話したい。
でも…俺も結構酷い事を言ったし、どうやって顔を出すべきか悩んだ。
大学が終わるとこっそりと高校へと赴いた。
先生に会うと嬉しそうに迎えてくれた。
見慣れた剣道部の部室へといくと、未だに花園の名前がロッカーに残っ
ていた。
そっと触れると中は空っぽで使われていなかった。
「花園はもったいないよな~、いつも一生懸命な子だったのに…」
「揉め事があったって聞きましたけど?怪我したんですか?」
「あぁ、そうらしいな…利き腕だったらしい。まぁ、治ったらいつでも
戻ってこれるようにな~、若い子は治りも早いというしな!」
先生は何も知らないようだった。
2年の教室をうろうろすると田辺とばったりでくわした。
「あ!お前は…」
「げっ!なんでここにいんだよ!綾音なら図書室だぞ?」
「いや、俺は振られたから…それより、綾音に何があったんだ?怪我し
たって聞いたんだが…酷いのか?」
「…全部あんたのせいだろ?綾音があぁなったのは…別れたんなら二度
と顔見せんなよ!」
田辺は敵意剥き出しにすると、走り去っていった。
事情を知っているようだった。
そのあと図書室へと行くと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
半袖姿に腕には包帯を巻いた綾音の姿があった。
隣には前田がいる。
何気ない事で笑いながら勉強をしていた。
あそこにはかつて柿崎がいた居場所だった。
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