31 / 162
第三章
嵐の中で
しおりを挟む
「……なるほど、確かにチートだね。こんな嵐の中でも寝ようと思えば寝られそうなんだから」
群島を離れて5日目。
……いや、正確には昨日辺りからそんな気配はしていたんだ。
降っている雨がやけにじっとりとしていて。
夜が近づくにつれて風が強く吹き、波も高くなってきたから。
……高校の実習で、船で沖に出た経験はあっても、こんな嵐の中で海に取り残されるなんて経験は勿論皆無だ。
「凄い。世紀末って感じ……」
釣り船DX如き小舟は木っ端の様に波に弄ばれ……ては、いない。
そして、凄まじく吹き付ける雨風も、気配は大いにあれど、この船の中は快適そのものだった。
船室内ではもちろん、甲板に出てもそうだ。
……流石にこの荒波に釣竿を垂らす勇気はないけど。
いや、この結界の範囲外にちらとでも出れば、この目の前の光景そのままに、私みたいなちっぽけな人間など海の藻屑と消えるだろう。
風が唸り、大粒の雨が滝のように降り、ビカビカと稲妻が神の怒りの鉄槌とばかりに続けざまに海面に突き刺さり、果ては竜巻まで発生する、この嵐のド真ん中では……。
この転覆しない、風と水の精霊の守護のお陰で雨も突風も波も全く感じない、この船の上で、そのチート性能に改めておののいた。
しかし、体感は無くとも視界も聴覚も健康な私としては、こんな光景の中寝食を楽しめる程肝は据わっていなかった。
……幸い揺れないから船酔いはしないけど。
元々乗り物酔いする様なタチじゃないけど、流石にね。この光景のままに揺れれば流石に私でも気持ち悪くなるよ、これは。
とにかくこの嵐の範囲外に出たくて、ひたすら船を飛ばす。
そんな無茶をしたせいだろうか。
「“経験値が規定量貯まりました”」
……ん?
クルーザー、もしくは漁船の、更にその先の選択肢が現れた。
新たなる進化先の選択肢は――
「これは……また……」
海、船と聞いて一度は思い浮かべる、帆船。
“商船”とあるが、みるからにカリブの海賊映画に出てきた、大きな帆船、と。
本来なら重油を燃料に動く、フェリー。
これは、少し小さめのタイプか。
レベルアップさせたら、最近話題の新造船みたいな、動くビジネスホテルみたいな船になったりしないかな?
……船に乗せる車は無いんだけどね。
そして帆船は……うん、憧れるけどねぇ……。
どう考えてもコレ一人じゃ操縦出来ないよね?
よし、フェリーに決めた!
ステータス画面を操作し、決定する。
と――目の前が、光一色になり――
その眩しさに思わず目を閉じた。
群島を離れて5日目。
……いや、正確には昨日辺りからそんな気配はしていたんだ。
降っている雨がやけにじっとりとしていて。
夜が近づくにつれて風が強く吹き、波も高くなってきたから。
……高校の実習で、船で沖に出た経験はあっても、こんな嵐の中で海に取り残されるなんて経験は勿論皆無だ。
「凄い。世紀末って感じ……」
釣り船DX如き小舟は木っ端の様に波に弄ばれ……ては、いない。
そして、凄まじく吹き付ける雨風も、気配は大いにあれど、この船の中は快適そのものだった。
船室内ではもちろん、甲板に出てもそうだ。
……流石にこの荒波に釣竿を垂らす勇気はないけど。
いや、この結界の範囲外にちらとでも出れば、この目の前の光景そのままに、私みたいなちっぽけな人間など海の藻屑と消えるだろう。
風が唸り、大粒の雨が滝のように降り、ビカビカと稲妻が神の怒りの鉄槌とばかりに続けざまに海面に突き刺さり、果ては竜巻まで発生する、この嵐のド真ん中では……。
この転覆しない、風と水の精霊の守護のお陰で雨も突風も波も全く感じない、この船の上で、そのチート性能に改めておののいた。
しかし、体感は無くとも視界も聴覚も健康な私としては、こんな光景の中寝食を楽しめる程肝は据わっていなかった。
……幸い揺れないから船酔いはしないけど。
元々乗り物酔いする様なタチじゃないけど、流石にね。この光景のままに揺れれば流石に私でも気持ち悪くなるよ、これは。
とにかくこの嵐の範囲外に出たくて、ひたすら船を飛ばす。
そんな無茶をしたせいだろうか。
「“経験値が規定量貯まりました”」
……ん?
クルーザー、もしくは漁船の、更にその先の選択肢が現れた。
新たなる進化先の選択肢は――
「これは……また……」
海、船と聞いて一度は思い浮かべる、帆船。
“商船”とあるが、みるからにカリブの海賊映画に出てきた、大きな帆船、と。
本来なら重油を燃料に動く、フェリー。
これは、少し小さめのタイプか。
レベルアップさせたら、最近話題の新造船みたいな、動くビジネスホテルみたいな船になったりしないかな?
……船に乗せる車は無いんだけどね。
そして帆船は……うん、憧れるけどねぇ……。
どう考えてもコレ一人じゃ操縦出来ないよね?
よし、フェリーに決めた!
ステータス画面を操作し、決定する。
と――目の前が、光一色になり――
その眩しさに思わず目を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。
命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。
自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる