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第三章

ミッションと契約

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 「この件について、貴方自身に咎は何一つありません。詳細については私からは申し上げられません。詳細を知るには神に直接聞いていただく他なく、その為には人の住む地にある教会を訪れていただく必要があります、が……」

 あー、さっきちらっと言ってたよね。どこも何かと大変だって。

 「教会なら、どんな小さな集落の粗末なものでも構いません。……そして、海の上ならば。近海に近づかなければどこか一国の勢力ばかりが強い場所はありません」

 なるほど、それ故の船チート、か。
 一応考えられてはいたんだな。……最初からもっと良い船くれれば良かったのに。

 「流石にそれは神としてのルールに違反するそうなので」

 けれど、フィーネの説明で、本来チートのはずが私が理解しきれていなくて、というかオルカが説明出来てなくて使えていなかったチートがあるそうで。

 「オルカは、水の精霊です。知性に関してはまだまだ幼いですが、自らの属性についての力であれば守護が働きます」

 そう、最初にオルカがこの船に登録した理由。

 「水の精霊がついていて、耐久値が、通常の航海で削れるなどありえません! 精霊が仕事をしているなら、耐久値とは、船が魔物に攻撃された場合の船の傷み具合を示す値です!」

 「えー、今まで……少なくとも釣り船DXに進化した後はそれが一番のネックだったのに……」

 「そして、この船に追加で私を登録すれば、嵐を恐れる必要も無くなりますわ」

 「つまり、私に契約しろと?」

 「そうですね。……まだしばらくかかりそうではありますが、既に貴女の存在を捜索するための人員が放たれています。一所に居続けるのはあまり得策ではありません」

 「……分かったよ。それで、どうすれば良い? オルカは私が名前を付けたけど、貴女にはもうフィーネって名前がある様だし、それにぬいぐるみや代わりになりそうな物はもう無いぞ?」

 「名前や依代を必要とするのは下級精霊ですわ。私には必要ありません。……これを」

 緑色の、淡い光を放つ美しい石をあしらったペンダントを渡される。

 「私との契約の証。上位精霊の私は、意に沿わない契約であれば私から一方的に破棄できる。その時はその石から光が失われます」

 「……分かった。よろしく頼むよ」

 「では、登録を――」

 ◆釣り船DX Lv.20
 ・金属製
 ・耐久 5/5000
 ・攻撃 10/20
 ・登録精霊 フィーネ(風)
       オルカ(水)
 ・所有者 潮谷しおや 晴海はるみ

 うん、精霊の登録表示が増えた。

 フィーネの名前がオルカの前にあるのは……精霊の格の差のせいなのかな?

 まぁ、いいや。

 「んじゃ、出発しますかね」

 
 
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