2 / 31
ブラックバイター
ブラックアウト
しおりを挟む
月はとうに沈んで見えず、星明かりは街頭にかき消されて一等明るい星だけが生き残る。
そんな夜空を見上げ、彼は自身の吐息が吸い込まれて消えていく様をじっと見送った。
誰も居ない駅のホームに一人、たった今まで乗ってきた始発列車が遠ざかっていく。
正直もう一歩も動きたくない程疲れきっている。
けど、早く帰ってシャワーを浴びて課題のレポートを少しでも進めておかなければ。
今日は一限から授業だし、レポートの提出期限は明日だ。
せめてもの暖を求めて自販機で缶コーヒーを買い、エスカレーターで改札階に下りる。
駅ナカのジューススタンドも、改札を出た先の花屋もまだシャッターは閉まったまま。
南口のロータリーにはタクシーも二台しか居ない。
街のネオンも既に明かりを落とし、ただ街頭の明かりだけの通りを赤信号を無視して横断する。
バス通りから一本入った古いアーケードが続く商店街より更に一本奥の道は、初心者ドライバーなら車同士のすれ違いにヒヤヒヤすることになる狭い住宅街の道を歩き、ようやく目当ての場所へとたどり着く。
バス通りから商店街とこの道を横に繋ぐ車一台通るのがやっとの道。
その交差点に建つ二階建ての古いアパート。
隣には営業する気があるのか甚だ疑問に思う、寂れたスナックらしき店。
「和膳」と店の名だけは書いてあるものの、折角ショーウィンドウはあるのに食品サンプルの一つも飾らず、メニュー等を書いた掲示物も見たことがない。
ただ、暖簾だけはあったりなかったりするので、確かに営業はしているらしい。
まあ、二十歳は越えたが酒を飲むのならスナックよりファミレスでちょい飲みを楽しむ方が良い。
まぁ、そんな余裕なんかどこにもないのだが。
重い足を何とか持ち上げ階段を登り、部屋の鍵を開ける。
ワンルームの部屋で「ただいま」等と呟いても当然それに応えて「おかえり」なんて言ってくれる相手は居ない。
コートをベッドに放り投げ、ぽいぽい来ていた服をベランダの洗濯機に放り込み、即座にトイレ洗面付のバスルームへ駆け込む。
頭からシャワーを浴び、襲い来る眠気を振り払う。
髪を洗い体を洗うと、シャンプーやボディソープが荒れた手に染みて痛い。
シャワーを済ませても温もり切らず震える体を拭き、雑に畳んだ服を着る。
夜食か朝食か分からないインスタントラーメンを食べながらパソコンが起動するのを待つ。
やがて空が白み始める頃、ようやくベッドに入り、目覚ましを一時間後にセットして眠りについた。
目覚まし時計にスマホのアラームを併用し、何とか目を覚まして身だしなみを整え、部屋を出る。
いつものように階段を下りたところで不意に世界がぐるりと回り。
世界は闇に閉ざされた。
そんな夜空を見上げ、彼は自身の吐息が吸い込まれて消えていく様をじっと見送った。
誰も居ない駅のホームに一人、たった今まで乗ってきた始発列車が遠ざかっていく。
正直もう一歩も動きたくない程疲れきっている。
けど、早く帰ってシャワーを浴びて課題のレポートを少しでも進めておかなければ。
今日は一限から授業だし、レポートの提出期限は明日だ。
せめてもの暖を求めて自販機で缶コーヒーを買い、エスカレーターで改札階に下りる。
駅ナカのジューススタンドも、改札を出た先の花屋もまだシャッターは閉まったまま。
南口のロータリーにはタクシーも二台しか居ない。
街のネオンも既に明かりを落とし、ただ街頭の明かりだけの通りを赤信号を無視して横断する。
バス通りから一本入った古いアーケードが続く商店街より更に一本奥の道は、初心者ドライバーなら車同士のすれ違いにヒヤヒヤすることになる狭い住宅街の道を歩き、ようやく目当ての場所へとたどり着く。
バス通りから商店街とこの道を横に繋ぐ車一台通るのがやっとの道。
その交差点に建つ二階建ての古いアパート。
隣には営業する気があるのか甚だ疑問に思う、寂れたスナックらしき店。
「和膳」と店の名だけは書いてあるものの、折角ショーウィンドウはあるのに食品サンプルの一つも飾らず、メニュー等を書いた掲示物も見たことがない。
ただ、暖簾だけはあったりなかったりするので、確かに営業はしているらしい。
まあ、二十歳は越えたが酒を飲むのならスナックよりファミレスでちょい飲みを楽しむ方が良い。
まぁ、そんな余裕なんかどこにもないのだが。
重い足を何とか持ち上げ階段を登り、部屋の鍵を開ける。
ワンルームの部屋で「ただいま」等と呟いても当然それに応えて「おかえり」なんて言ってくれる相手は居ない。
コートをベッドに放り投げ、ぽいぽい来ていた服をベランダの洗濯機に放り込み、即座にトイレ洗面付のバスルームへ駆け込む。
頭からシャワーを浴び、襲い来る眠気を振り払う。
髪を洗い体を洗うと、シャンプーやボディソープが荒れた手に染みて痛い。
シャワーを済ませても温もり切らず震える体を拭き、雑に畳んだ服を着る。
夜食か朝食か分からないインスタントラーメンを食べながらパソコンが起動するのを待つ。
やがて空が白み始める頃、ようやくベッドに入り、目覚ましを一時間後にセットして眠りについた。
目覚まし時計にスマホのアラームを併用し、何とか目を覚まして身だしなみを整え、部屋を出る。
いつものように階段を下りたところで不意に世界がぐるりと回り。
世界は闇に閉ざされた。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる