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ブラックバイター
時間泥棒
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「え、定期試験? ……困るんだよねぇ、学生だからって甘えた事言われちゃあ」
……奨学金を貰って進学した以上はある程度の成績維持が必要だが、勉強時間を確保するには限界まで睡眠と食事の時間を削るしかなく。
「インフル? はぁ? 馬鹿なのお前? 自己管理って言葉知ってっか? そんなんじゃいくら就活頑張ったってムリムリ」
結果体調を崩せば罵声を浴びせられる。
「残業代? 何の事言ってんのか分かんねーわ、オレ高校中退して学がねぇからな。でも、お前みたいに大学行かんでもウチが時給シフト制だって位は分かってんぜ? で? 今月入ったシフト分の給料はちゃ~んと払ってやったろ? あ? シフトの交代? ンなモンオレが知るかよ! これ以上グダグダ言いやがんならクビにすんぞ?」
何か有用なスキルを得られるわけでもない、外国人にだって出来る仕事に時間を奪われ、対価も支払われない。
何が楽しいでもなくただカネの為にセコセコ働き、大事なはずの何かを失い続けているその様は、いつか読んだミヒャエル・エンデ著作のモモのワンシーンの様で。
でも、この現実の世界にはのんびり話を聞いてくれるモモも、美味しいご馳走を用意してくれるマイスター・ホラも居ない。
居るのは時間泥棒みたいなブラック店長だけ。
いっその事辞めてしまえれば楽なのは分かっているのに、現実的には無理がある。
薄給で貯金なんか出来る筈もなく、でも家賃にガス電気水道料金に通信費に見る暇もないのに支払いを要求される公共放送料金の請求は来る。
……家でカップ麺以外の物を食べたのはどの位前だったかも思い出せない。
せめて諭吉様のお一人様でも実家から援助して貰えればもう少し栄養状態も改善されるだろうが……
「おーい、おーい。生きてるかー?」
目の前に渦巻いていた黒いものが、不意に体を揺すられ薄らいでいく。
女の子らしい高い声が聞こえるが……誰だろう?
少なくともアパートには男しか住んでいなかった。
ここは商店街からも死角になっているし、用もないのにこんな道を通る者も居ない。
ああ、もしかして隣のスナックのママさんだろうか……?
それにしてはやけに若い――どころか幼くすら聞こえる……。
「和人君和人君、大変だよ~!」
ようやく光が戻ってきた視界、ゆっくりと瞼を開ける。
「朝っぱらから騒ぐんじゃねぇ……」
道端に倒れ込んだのだろう俺の前にしゃがんでいるのは一人の女。
その向こうから野郎の声もする。
これはアレか。俺と同じ侘しい独り暮らしの野郎と思っていたアパートの住人の誰かが実は彼女持ちのリア充だったと。
……もげちまえ。
……奨学金を貰って進学した以上はある程度の成績維持が必要だが、勉強時間を確保するには限界まで睡眠と食事の時間を削るしかなく。
「インフル? はぁ? 馬鹿なのお前? 自己管理って言葉知ってっか? そんなんじゃいくら就活頑張ったってムリムリ」
結果体調を崩せば罵声を浴びせられる。
「残業代? 何の事言ってんのか分かんねーわ、オレ高校中退して学がねぇからな。でも、お前みたいに大学行かんでもウチが時給シフト制だって位は分かってんぜ? で? 今月入ったシフト分の給料はちゃ~んと払ってやったろ? あ? シフトの交代? ンなモンオレが知るかよ! これ以上グダグダ言いやがんならクビにすんぞ?」
何か有用なスキルを得られるわけでもない、外国人にだって出来る仕事に時間を奪われ、対価も支払われない。
何が楽しいでもなくただカネの為にセコセコ働き、大事なはずの何かを失い続けているその様は、いつか読んだミヒャエル・エンデ著作のモモのワンシーンの様で。
でも、この現実の世界にはのんびり話を聞いてくれるモモも、美味しいご馳走を用意してくれるマイスター・ホラも居ない。
居るのは時間泥棒みたいなブラック店長だけ。
いっその事辞めてしまえれば楽なのは分かっているのに、現実的には無理がある。
薄給で貯金なんか出来る筈もなく、でも家賃にガス電気水道料金に通信費に見る暇もないのに支払いを要求される公共放送料金の請求は来る。
……家でカップ麺以外の物を食べたのはどの位前だったかも思い出せない。
せめて諭吉様のお一人様でも実家から援助して貰えればもう少し栄養状態も改善されるだろうが……
「おーい、おーい。生きてるかー?」
目の前に渦巻いていた黒いものが、不意に体を揺すられ薄らいでいく。
女の子らしい高い声が聞こえるが……誰だろう?
少なくともアパートには男しか住んでいなかった。
ここは商店街からも死角になっているし、用もないのにこんな道を通る者も居ない。
ああ、もしかして隣のスナックのママさんだろうか……?
それにしてはやけに若い――どころか幼くすら聞こえる……。
「和人君和人君、大変だよ~!」
ようやく光が戻ってきた視界、ゆっくりと瞼を開ける。
「朝っぱらから騒ぐんじゃねぇ……」
道端に倒れ込んだのだろう俺の前にしゃがんでいるのは一人の女。
その向こうから野郎の声もする。
これはアレか。俺と同じ侘しい独り暮らしの野郎と思っていたアパートの住人の誰かが実は彼女持ちのリア充だったと。
……もげちまえ。
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