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ブラックバイター
鍋は〆が本番です
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「で、和人君。今日の〆は? 雑炊? うどん?」
「今日はこれだ」
ザルに入れた黄色い麺。
「中華麺?」
加えてモヤシを主とした野菜を鍋に投入。
野菜に火が通ったところで何か白っぽいドロリとした何かを注ぎ入れた。
すると野菜や麺に吸われ切らなかったさらさらした出汁がどろりと重みを増した。
太めの中華麺に、野菜たっぷりの餡。それはまるで……
「おお、ちゃんぽん麺! ……もはや〆じゃなくてリメイク料理だよね、これ」
「これをちゃんぽんだの皿うどんと呼んだら長崎の人に怒られるだろ。これはあくまで皿うどん〝風〟餡掛け麺だ。そこんとこ間違うと大変な事になるんだぞ」
「えー、美味しいんだから何でも良いじゃん」
ずるずる麺をすすり、やっぱりにこにこしながら美味しそうに食べる少女。
野菜とモツの旨味たっぷりの餡が熱々で思った以上に旨い。
何より何時以来か分からない新鮮な野菜が体に染みた。
鍋が出汁も野菜くずの一つも残らない正真正銘空っぽになる頃には体の芯からぽかぽか暖まっていた。
……相変わらずこのすかしたイケメン作というのだけは気に食わないんだが。
「ふあー、美味しかったー! ごちそーさまー!」
きっちり手を合わせて、彼女は幸せそうに微笑んだ。
「ふふふふ、和人君の料理は何時食べても美味しーよね。料理屋始めて正解だったよ、毎日和人君お手製の賄いが食べられて私幸せ」
「……料理屋? スナックじゃなかったのか?」
「違う。そりゃ夜には酒も出すが基本は料理屋だ。俺と和華で回してる小料理屋だ」
「そーそー、和人君の料理は美味しいからねぇ。……何でかあんまりお客さん来ないけど」
「は? あんな見るからに流行ってなさそうなスナックにしか見えない店に入る奴がそうそう居るかよ」
立地に関してはもうしょうがないにしても、他に営業努力をしている様には見えないし。
「せめてショーウィンドウをもっと活用するとか、メニュー表作って表に出しとくとかビラ配りするとかあるだろ」
つーかこんな子働かせてて大丈夫なのか? 何重にも規制に引っ掛かっていそうだ。
「和人君!」
「――却下だ」
「まだ何も言ってないよ和人君?」
「何を言いたいか位分かるよ。いいか、ビラ配りっつーが誰がそのビラ作るんだ? メニュー表は? 俺はやらねーぞ?」
「うええ? うーん仕方ないじゃあ私が――」
「……和華お前、この紙やるから一枚試しに描いてみろ」
とっても可愛らしい少女は立派な画伯様でした。
「幼稚園児の絵日記と良い勝負だな」
「ぶー!」
「さぁて、言い出しっぺ君? この事態の始末をどうつけてくれる?」
あ?
「俺はこの店の経営経理運営に調理まで担当してて忙しくてな。これ以上の手間は増やせないが、和華を悲しませるのは本意ではないのでね」
何か妙に良い笑顔を向けられてて怖いんですけど!?
「君、三食賄い付でバイトする気無い?」
「今日はこれだ」
ザルに入れた黄色い麺。
「中華麺?」
加えてモヤシを主とした野菜を鍋に投入。
野菜に火が通ったところで何か白っぽいドロリとした何かを注ぎ入れた。
すると野菜や麺に吸われ切らなかったさらさらした出汁がどろりと重みを増した。
太めの中華麺に、野菜たっぷりの餡。それはまるで……
「おお、ちゃんぽん麺! ……もはや〆じゃなくてリメイク料理だよね、これ」
「これをちゃんぽんだの皿うどんと呼んだら長崎の人に怒られるだろ。これはあくまで皿うどん〝風〟餡掛け麺だ。そこんとこ間違うと大変な事になるんだぞ」
「えー、美味しいんだから何でも良いじゃん」
ずるずる麺をすすり、やっぱりにこにこしながら美味しそうに食べる少女。
野菜とモツの旨味たっぷりの餡が熱々で思った以上に旨い。
何より何時以来か分からない新鮮な野菜が体に染みた。
鍋が出汁も野菜くずの一つも残らない正真正銘空っぽになる頃には体の芯からぽかぽか暖まっていた。
……相変わらずこのすかしたイケメン作というのだけは気に食わないんだが。
「ふあー、美味しかったー! ごちそーさまー!」
きっちり手を合わせて、彼女は幸せそうに微笑んだ。
「ふふふふ、和人君の料理は何時食べても美味しーよね。料理屋始めて正解だったよ、毎日和人君お手製の賄いが食べられて私幸せ」
「……料理屋? スナックじゃなかったのか?」
「違う。そりゃ夜には酒も出すが基本は料理屋だ。俺と和華で回してる小料理屋だ」
「そーそー、和人君の料理は美味しいからねぇ。……何でかあんまりお客さん来ないけど」
「は? あんな見るからに流行ってなさそうなスナックにしか見えない店に入る奴がそうそう居るかよ」
立地に関してはもうしょうがないにしても、他に営業努力をしている様には見えないし。
「せめてショーウィンドウをもっと活用するとか、メニュー表作って表に出しとくとかビラ配りするとかあるだろ」
つーかこんな子働かせてて大丈夫なのか? 何重にも規制に引っ掛かっていそうだ。
「和人君!」
「――却下だ」
「まだ何も言ってないよ和人君?」
「何を言いたいか位分かるよ。いいか、ビラ配りっつーが誰がそのビラ作るんだ? メニュー表は? 俺はやらねーぞ?」
「うええ? うーん仕方ないじゃあ私が――」
「……和華お前、この紙やるから一枚試しに描いてみろ」
とっても可愛らしい少女は立派な画伯様でした。
「幼稚園児の絵日記と良い勝負だな」
「ぶー!」
「さぁて、言い出しっぺ君? この事態の始末をどうつけてくれる?」
あ?
「俺はこの店の経営経理運営に調理まで担当してて忙しくてな。これ以上の手間は増やせないが、和華を悲しませるのは本意ではないのでね」
何か妙に良い笑顔を向けられてて怖いんですけど!?
「君、三食賄い付でバイトする気無い?」
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