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ワンオペママ
プチ家出
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すっかり冬らしい気温になり、しばらく晴天の日が続いていたのに、今日に限っては雲が月も星も覆い隠してしまっている。
夜の11時とあって、大半の商店は既にシャッターを下ろして居るけれど、飲み屋に限ってはまだまだこれからと看板の明かりが街に彩りを添えている。
けれど、衝動的に来ていた服の上から上着だけ羽織りパートに出かける用の小さなバッグだけ引っ掴んで出て来てしまった。
上着の下は部屋着だし、ノーメイク素っぴんであの明るい場所に出ていく勇気も出なかった。
しかしこの冬の夜に当てどもなく歩き回るのもきついし、かといって旦那の地元のこの土地には実家も友人も無く。
この時間では終電までもそう余裕は無い。
旦那だけでなく娘まで置いてきた母親では、むしろ無責任と叱られてしまうのでは?
寒さにやがて鼻の調子が悪くなり、バッグから昼間貰ったティッシュを取り出した。
店名と住所、営業時間等が書かれたそれによれば、パート先のごく近くで、この時間でも開いているらしい。
財布を見れば、お金に余裕はある。
……ゆっくり食事してお酒呑んだのがどれ程前の事か。
ふと思ったらもう、自然と足が動いていた。
「いらっしゃいませー!」
元気の良い声を響かせたのは、昼間ティッシュを配っていた女の子。
「あ、お好きな席へどうぞ!」
きびきびと手際よく水やらおしぼりやらを出してくるのは大学生位の青年。
そして、もう一人。
カウンターの中で何か調理している男性を彼女は知っていた。
「あ、いつもウチにお肉買いに来てくれる常連さん」
肉屋のみならず、八百屋と魚屋でも常連の美形イケメン。
「ほえ? お姉さん和人君と知り合い?」
「知り合いっつーか、いつも肉を買いに行く店の店員さんだよ。和華がいっつも俺にばかり買い物を押し付けるから、お陰で常連だ」
「……はい、毎度お買い上げいただいてウチは助かってます」
何しろ他のお客に比べて一度に買う量の桁が違う。
「男の方が肉はともかく野菜や魚まで多く買って下さるので不思議だったんですが……、納得できました」
……こんな身近にこんな店があるなんて全く気付かなかった。
「――ご注文は?」
「えーと、ホットワインと……表にオススメって出てたのを」
「はいよ」
……うん。イケメンの微笑みはやっぱり尊い。
夜の11時とあって、大半の商店は既にシャッターを下ろして居るけれど、飲み屋に限ってはまだまだこれからと看板の明かりが街に彩りを添えている。
けれど、衝動的に来ていた服の上から上着だけ羽織りパートに出かける用の小さなバッグだけ引っ掴んで出て来てしまった。
上着の下は部屋着だし、ノーメイク素っぴんであの明るい場所に出ていく勇気も出なかった。
しかしこの冬の夜に当てどもなく歩き回るのもきついし、かといって旦那の地元のこの土地には実家も友人も無く。
この時間では終電までもそう余裕は無い。
旦那だけでなく娘まで置いてきた母親では、むしろ無責任と叱られてしまうのでは?
寒さにやがて鼻の調子が悪くなり、バッグから昼間貰ったティッシュを取り出した。
店名と住所、営業時間等が書かれたそれによれば、パート先のごく近くで、この時間でも開いているらしい。
財布を見れば、お金に余裕はある。
……ゆっくり食事してお酒呑んだのがどれ程前の事か。
ふと思ったらもう、自然と足が動いていた。
「いらっしゃいませー!」
元気の良い声を響かせたのは、昼間ティッシュを配っていた女の子。
「あ、お好きな席へどうぞ!」
きびきびと手際よく水やらおしぼりやらを出してくるのは大学生位の青年。
そして、もう一人。
カウンターの中で何か調理している男性を彼女は知っていた。
「あ、いつもウチにお肉買いに来てくれる常連さん」
肉屋のみならず、八百屋と魚屋でも常連の美形イケメン。
「ほえ? お姉さん和人君と知り合い?」
「知り合いっつーか、いつも肉を買いに行く店の店員さんだよ。和華がいっつも俺にばかり買い物を押し付けるから、お陰で常連だ」
「……はい、毎度お買い上げいただいてウチは助かってます」
何しろ他のお客に比べて一度に買う量の桁が違う。
「男の方が肉はともかく野菜や魚まで多く買って下さるので不思議だったんですが……、納得できました」
……こんな身近にこんな店があるなんて全く気付かなかった。
「――ご注文は?」
「えーと、ホットワインと……表にオススメって出てたのを」
「はいよ」
……うん。イケメンの微笑みはやっぱり尊い。
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