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老いの尊と害
親子丼
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「奥様は離婚を望まれています。DVに経済DV、過去の浮気の証拠まで揃えてらっしゃいましたから……離婚の意思は固いかと。長引くようなら裁判も辞さないそうなので」
……何を言っているのか、さっぱり意味不明だ。
朝飯をコンビニコーヒーと惣菜パンで済ませて出社。
ろくにすることもない部署で部下を怒鳴り付けるだけであっという間に昼休憩になる。
いつもは妻の弁当があるのだが、仕方なく外へ食べに行く事にする。
駅近くのバス通り沿いのチェーンのファミレスや牛丼屋はウチの若い奴が多い。
かといって主婦だらけの商店街の人混みに混ざるのも面倒だ。
商店街の一本先の人通りの少ない狭い道を店を探して歩く。
するとまるでスナックのような佇まいなのに、どこか最近の洋風かぶれのカフェの真似事をしたらしい装いの店があった。
ここなら落ち着いて食事が出来そうだ。
店に入ると、客は女が一人カウンターに居るだけ。
カウンターに立つ店員と思しき男はウチの若手を連想させるのが気に食わないが、みせをちょろちょろしている小娘はまあ好みとは程遠いがウチの生意気な女達に比べれば素直そうで良い。
カウンターに座り、親子丼を大盛りで頼んだ。
……この若造、悔しいがなかなかに腕は良いらしい。腹立たしいことに旨いのだ。
「何か、汁物もくれんか?」
「今日は中華風わかめスープと大根と里芋の味噌汁の用意がありますが」
「……味噌汁をくれ」
――やはり、旨い。
人目を避けてあえて冴えない店に入ったのだから、味など不味くなければ良いと期待していなかったが。
意図せず旨い飯にありつけてようやく機嫌を直し職場に戻った彼は人事部からの呼び出しを受けた。
「実は今度早期退職希望者を募る事になりましてね」
俺より歳も若く途中入社のくせに女社長に気に入られて人事部長を任された女がにこにこ笑いながら言う。
「――ただリストラを待つのか、早期退社に志願するのか、良く考えて下さい」
ふざけるなと詰め寄ったが、すぐに若い男に押さえられ摘まみ出された。
席に戻れば隣の部署から拍手が聞こえてくる。
「凄いじゃないですか、岩崎部長、この案件をこのじょうけんで纏めて来るなんて!」
……私と同期で入ったくせにずっとパッとしなかった奴が、何故か社長交代後にとんとんと出世街道を上り詰め、つい先日私と並んで部長に納まった。
……ああ、 本当にこの世の中は狂ってる。
……何を言っているのか、さっぱり意味不明だ。
朝飯をコンビニコーヒーと惣菜パンで済ませて出社。
ろくにすることもない部署で部下を怒鳴り付けるだけであっという間に昼休憩になる。
いつもは妻の弁当があるのだが、仕方なく外へ食べに行く事にする。
駅近くのバス通り沿いのチェーンのファミレスや牛丼屋はウチの若い奴が多い。
かといって主婦だらけの商店街の人混みに混ざるのも面倒だ。
商店街の一本先の人通りの少ない狭い道を店を探して歩く。
するとまるでスナックのような佇まいなのに、どこか最近の洋風かぶれのカフェの真似事をしたらしい装いの店があった。
ここなら落ち着いて食事が出来そうだ。
店に入ると、客は女が一人カウンターに居るだけ。
カウンターに立つ店員と思しき男はウチの若手を連想させるのが気に食わないが、みせをちょろちょろしている小娘はまあ好みとは程遠いがウチの生意気な女達に比べれば素直そうで良い。
カウンターに座り、親子丼を大盛りで頼んだ。
……この若造、悔しいがなかなかに腕は良いらしい。腹立たしいことに旨いのだ。
「何か、汁物もくれんか?」
「今日は中華風わかめスープと大根と里芋の味噌汁の用意がありますが」
「……味噌汁をくれ」
――やはり、旨い。
人目を避けてあえて冴えない店に入ったのだから、味など不味くなければ良いと期待していなかったが。
意図せず旨い飯にありつけてようやく機嫌を直し職場に戻った彼は人事部からの呼び出しを受けた。
「実は今度早期退職希望者を募る事になりましてね」
俺より歳も若く途中入社のくせに女社長に気に入られて人事部長を任された女がにこにこ笑いながら言う。
「――ただリストラを待つのか、早期退社に志願するのか、良く考えて下さい」
ふざけるなと詰め寄ったが、すぐに若い男に押さえられ摘まみ出された。
席に戻れば隣の部署から拍手が聞こえてくる。
「凄いじゃないですか、岩崎部長、この案件をこのじょうけんで纏めて来るなんて!」
……私と同期で入ったくせにずっとパッとしなかった奴が、何故か社長交代後にとんとんと出世街道を上り詰め、つい先日私と並んで部長に納まった。
……ああ、 本当にこの世の中は狂ってる。
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