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修羅の闇鍋
火種投入
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「こんばんわー、まだ大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
カウンターでもくもくと白飯と納豆を食らう男に白湯を勧めていると、肉屋のパートをしているおば……あー、お姉さんがやって来た。
「お酒! とりあえずお酒ちょうだい!」
「ビール? 日本酒?」
「あー、最初の一杯はビール。あと日本酒で」
「あ、お勧めのアレ、鶏皮ポン酢にして出してますよ」
「皮だけ? 肉は?」
「がっつり出汁取ったんで、明日はスープに期待して下さい。肉も塩ダレに漬けてるんでスープの具にして出しますよ」
「んじゃ、それとあと肉豆腐ちょうだい」
んー、昼に来たときは普通だったのに、明らかに機嫌が悪い。
……和華はまだか?
「和人さん、ご馳走さまでした――」
ああ、来たか。……拓海だけか。
――まずい。大変まずい。
「拓海、こっちはいいから和華呼んで来てくれ」
「――湯豆腐美味かったで……はっ!? 何で親父がこんなとこに居るんだよ!」
ああ、遅かった。
しかもやっぱりか。
匂いが似ていたから血縁だろうとは思っていたけど。
「お前……名前を聞いてまさかとは思ったが、こんな所で何してる!」
「見て分かんねぇのか、働かせて貰ってんだよ、大学の学費と生活費を稼ぐ為にな!」
「大学? お前がか? どうせろくなとこじゃないだろう、つまらないことに時間と金を使うんじゃない、我が家の恥が!」
「我が家の恥? 親父の恥の間違いだろ、それも勘違いのな。母さんもじいちゃんばあちゃんも皆応援してくれたからテメーが高校の学費バックレてもなんとか卒業させて貰って、アパートの契約の保証人になってくれたから生活できてんだ。母さんにも見放されて仕事でも役立たずなお前の方がよっぽど恥ずかしいだろ」
……ああ、親子喧嘩が始まってしまった。
「何を言う、料理人になりたいなど恥ではないか! ましてや店を持ちたいなどと世迷い言を抜かして……」
「親父。それを、今、ここで言うのか? ……だから仕事もできねぇで無能だって言われるんだよ 」
「……お客様、私事で騒いで申し訳ありません。和人さんも、親父が失礼な事を言いました。すみません」
「…………」
ああ、拓海君の親父さん黙りこんじゃったけど……。
――ん? タクシーの音?
「茉莉、テメーこんなとこで何してやがる!」
引き戸を乱暴に叩きつけ、大声を出す男。
さて、彼は誰だろう?
……波乱はまだまだ続きそうだ。
「大丈夫ですよ」
カウンターでもくもくと白飯と納豆を食らう男に白湯を勧めていると、肉屋のパートをしているおば……あー、お姉さんがやって来た。
「お酒! とりあえずお酒ちょうだい!」
「ビール? 日本酒?」
「あー、最初の一杯はビール。あと日本酒で」
「あ、お勧めのアレ、鶏皮ポン酢にして出してますよ」
「皮だけ? 肉は?」
「がっつり出汁取ったんで、明日はスープに期待して下さい。肉も塩ダレに漬けてるんでスープの具にして出しますよ」
「んじゃ、それとあと肉豆腐ちょうだい」
んー、昼に来たときは普通だったのに、明らかに機嫌が悪い。
……和華はまだか?
「和人さん、ご馳走さまでした――」
ああ、来たか。……拓海だけか。
――まずい。大変まずい。
「拓海、こっちはいいから和華呼んで来てくれ」
「――湯豆腐美味かったで……はっ!? 何で親父がこんなとこに居るんだよ!」
ああ、遅かった。
しかもやっぱりか。
匂いが似ていたから血縁だろうとは思っていたけど。
「お前……名前を聞いてまさかとは思ったが、こんな所で何してる!」
「見て分かんねぇのか、働かせて貰ってんだよ、大学の学費と生活費を稼ぐ為にな!」
「大学? お前がか? どうせろくなとこじゃないだろう、つまらないことに時間と金を使うんじゃない、我が家の恥が!」
「我が家の恥? 親父の恥の間違いだろ、それも勘違いのな。母さんもじいちゃんばあちゃんも皆応援してくれたからテメーが高校の学費バックレてもなんとか卒業させて貰って、アパートの契約の保証人になってくれたから生活できてんだ。母さんにも見放されて仕事でも役立たずなお前の方がよっぽど恥ずかしいだろ」
……ああ、親子喧嘩が始まってしまった。
「何を言う、料理人になりたいなど恥ではないか! ましてや店を持ちたいなどと世迷い言を抜かして……」
「親父。それを、今、ここで言うのか? ……だから仕事もできねぇで無能だって言われるんだよ 」
「……お客様、私事で騒いで申し訳ありません。和人さんも、親父が失礼な事を言いました。すみません」
「…………」
ああ、拓海君の親父さん黙りこんじゃったけど……。
――ん? タクシーの音?
「茉莉、テメーこんなとこで何してやがる!」
引き戸を乱暴に叩きつけ、大声を出す男。
さて、彼は誰だろう?
……波乱はまだまだ続きそうだ。
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