小料理屋「和膳」へようこそ!

彩世幻夜

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締めはお茶漬けで

店主の正体

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    「…………」
    「…………」
    「……ご迷惑をおかけしてごめんなさい。ただ疲れてて暖かい美味しいものが食べたくて、お酒飲んで楽になりたかっただけだったのに、あなたには関係のない騒動の元を引き込んだのは私だし。……今日のところは責任持って私の実家に連行するわ」
    「……俺は。俺はまだ学生だ。今更辞めたくねぇ。けど……引っ越す金もねぇ。母さんに頼ってこれ以上この男に関わらせたくねぇ。……月を欲しがる子供みたいで情けねぇ……」
    黙りこむだけの男達とは対象的に茉莉はスマホでタクシー会社の検索を始める。
    「ああ、帰る前に〆の茶漬けはいかがですか?    あなたには何かと世話になりましたし、確かに客として来たんですから」
    「あら、いいの?    外は寒そうだし暖かいものを胃に入れられるのはありがたいわ。……子供の事もあるし仕事の引き継ぎもあるからまたすぐ戻ってくるから、また来ても良い?」
    「……よろしいので?」
    「私は美味しいご飯を食べるために来てるのよ。ここのご飯が美味しい限りは通いたいと思ってるのよ?」
     「――では」
     キッチンに立ち、湯を沸かす。
     漬け置いたブリを冷蔵庫から出して刻んだ薬味と共に白飯に乗せる。
    最後にだしをかけて――
    「和君、それ私の分もある?」
    「和華!    お前上行ってろって言ったろう」
    「うんでも和君が心配だったからさ。……気付いてないかもだけど、顔色悪いよ?    それ、お客さんに出したら……」
    「あ、あの、給仕なら俺がしときますから、行ってきてください」
    「……俺が居ないからって騒ぐんじゃねぇぞ」
    出来たブリ茶漬けを拓海に託し、俺は和華について奥に戻る。
    ダイニングの扉を閉め、自分の背で扉を塞ぐ。
    和華は慣れた様子で服の襟元を寛げた。
    細い首に口を付け、犬歯と言うには鋭く長いそれで彼女の肌を破り血を啜る。
    俺にとっての至福の時間だ。
    ……抱いてる時とはまた別の快楽。
    和華の血は何故だか美味くて、この味を知ったらもう他の血なんて吸えなくなった。
    俺のこの異常さを打ち明けても受け入れてついてきてくれた和華。
    「……悪いな」
    「もー、謝ることないよっていつも言ってるのに」
    「なあ。次はどこへ行きたい?」
    「そーだなー、やっぱ海かな。海鮮が美味しい所!」
    「……しらすか、蟹かマグロか。どこにするかね」
    うっかり拾ったアレもどうするか……。
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