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波乱含みの旅路で。
魔物売り
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「……流石に今日はそれを許してやる訳にはいかないねぇ」
無事宿を確保して、私は早速レイフレッドを連れて市場へ出掛けようとしてシリカさんに止められた。
「さっきも冒険者ギルドで絡まれただろう?」
「そうだ、それなんですけど……」
どうして奴らはすぐに私が人間だと気づいたんだろう?
「感覚……だな。魔族は魔族が分かるんだ、理屈じゃなく本能的な感覚でな。魔族でなく、獣人らしい特徴も無いとなればあとは人間しかない」
おぅふ、本能的な感覚じゃどう対策したら良いか分からない。
……隠密スキルとか取ったら何とかなる?
――確実じゃない上すぐの対策はどちらにせよ無理だ。
「まあいい、ここまで美味い飯を食わして貰ったからな。今日の晩飯奢ってやるついでに買い物にも付き合ってやる」
「ここらは魔物肉を使った料理がご当地飯でね、レア肉からゲテモノ肉まで揃ってる。知らないで適当な店に入るのはもうギャンブルの域なんだよ」
当たればA5ランクの霜降りブランド牛にも負けない極上肉が味わえるが外れを引けば不味いで済めば儲けものなゲテモノを食わされる。
「どうする? 僕らと一緒に行くか、ギャンブルに挑戦するか――」
「……よろしくお願いします」
変なもの食べてお腹壊すのはイヤだ。
市場は早くも店仕舞いを始めているテントもあり、売れ残りを叩き売る声も聞こえてくる。
「これはまた……あまり期待できそうにないですね」
「あら、以外と残り物に当たりが混じってるかもしれないわよ」
まあ、食材を売る店には見るからに売れ残りといった品しかないから、これは明日改めて来た方が良いのは確かだけど。
「あら、ねぇあの檻は何かしら?」
荷車に檻を積んだ物を並べている店。よく見ると……
「あれは……魔物?」
「ああ、アレはあの首輪型の魔道具で支配した魔物を家畜やペット目的で売る魔物専門の奴隷商だね」
「そう。テイマーがするのとは違う、完全な隷属支配した魔物だよ。……珍しい魔物を好む悪趣味な金持ちは喜んで買うけど、基本的には嫌われ者さ」
「テイマーは正当な力では魔物を従わせる。弱肉強食の掟に従い、魔物は支配されるが、その後の扱い次第でなつくのも居るが、アレはそんなんじゃなく魔物の意思を無理矢理封じ込めてるだけだからね。何かの拍子に首輪が壊れればえらい事になる」
「実際にそういう事故は過去に何度も起きてるから、奴らは厭われる。けどそれでも買うのを止めない奴が居るから奴らも消えない」
そっと檻の中を盗み見れば、どれも生気のない目をしている。
……可愛そうではあるけど。
元の世界で保健所送りのペットを哀れむ様な。
今の私ではどうもしてやれない、もどかしくも無責任な感情を飲み込み、その前を素通りする。
「ああ、ほらそこだよ。美味いオーク肉料理を安く出してる店は」
若干気まずくなった空気を破るようにシリカさんが声をあげる。
甘辛く煮詰めたタレの良い匂いがお腹を直撃する。
「ここはオークの角煮が特に美味いんだ」
ああ、うん。白いご飯が食べたくなる匂いだよね。
「おやじ! 酒くれ、あと角煮と腸詰め、串焼とあと適当に頼むよ」
……と、思ったらお酒の共ばかり頼まれてしまった。
レイフレッドは嬉しそうだけど。
「ご飯と何か汁物もくださいな」
頼んで出てきた豚汁とご飯、美味しい。
まあ米の質自体は微妙だけど、肉の脂の旨さがご飯に合っていて、食欲をそそるのだ。
スコットさんとシリカさんがエールを楽しむ横でご飯を三杯もお代わりしてしまった……。
明日は気を付けて動くようにしなければ。
シリカさんが会計を済ませ、私達は宿へ戻ろうと来た道を歩き始めた。
市場は既に大半の店が店仕舞いを終え、残る店も店仕舞いの最中。
既に市場らしい賑わいはなく静けさが訪れようとしている。
――が。
「何か騒がしくないですか?」
市場の賑わいとは別物の、不快ながなり声が聞こえてくる。
「……揉め事かしら?」
「巻き込まれたら面倒だね。ちょっと遠回りになるけど別の道を行こうか」
「だな。そのうち憲兵も来るだろうしな」
と。私達は別の道を行く事を選んだ。
だから、その声の主を知ることなく宿に戻り、その夜は何事もなく過ごした。
……ただそれが、実は面倒を先送りにしただけだったと知る事になるとは、当然この時は知るよしもなかった。
――よくよく思い返せば既にフラグは立っていたのに。
魔族の国での最初の一日は定番イベントを起こして終了したのだった。
無事宿を確保して、私は早速レイフレッドを連れて市場へ出掛けようとしてシリカさんに止められた。
「さっきも冒険者ギルドで絡まれただろう?」
「そうだ、それなんですけど……」
どうして奴らはすぐに私が人間だと気づいたんだろう?
「感覚……だな。魔族は魔族が分かるんだ、理屈じゃなく本能的な感覚でな。魔族でなく、獣人らしい特徴も無いとなればあとは人間しかない」
おぅふ、本能的な感覚じゃどう対策したら良いか分からない。
……隠密スキルとか取ったら何とかなる?
――確実じゃない上すぐの対策はどちらにせよ無理だ。
「まあいい、ここまで美味い飯を食わして貰ったからな。今日の晩飯奢ってやるついでに買い物にも付き合ってやる」
「ここらは魔物肉を使った料理がご当地飯でね、レア肉からゲテモノ肉まで揃ってる。知らないで適当な店に入るのはもうギャンブルの域なんだよ」
当たればA5ランクの霜降りブランド牛にも負けない極上肉が味わえるが外れを引けば不味いで済めば儲けものなゲテモノを食わされる。
「どうする? 僕らと一緒に行くか、ギャンブルに挑戦するか――」
「……よろしくお願いします」
変なもの食べてお腹壊すのはイヤだ。
市場は早くも店仕舞いを始めているテントもあり、売れ残りを叩き売る声も聞こえてくる。
「これはまた……あまり期待できそうにないですね」
「あら、以外と残り物に当たりが混じってるかもしれないわよ」
まあ、食材を売る店には見るからに売れ残りといった品しかないから、これは明日改めて来た方が良いのは確かだけど。
「あら、ねぇあの檻は何かしら?」
荷車に檻を積んだ物を並べている店。よく見ると……
「あれは……魔物?」
「ああ、アレはあの首輪型の魔道具で支配した魔物を家畜やペット目的で売る魔物専門の奴隷商だね」
「そう。テイマーがするのとは違う、完全な隷属支配した魔物だよ。……珍しい魔物を好む悪趣味な金持ちは喜んで買うけど、基本的には嫌われ者さ」
「テイマーは正当な力では魔物を従わせる。弱肉強食の掟に従い、魔物は支配されるが、その後の扱い次第でなつくのも居るが、アレはそんなんじゃなく魔物の意思を無理矢理封じ込めてるだけだからね。何かの拍子に首輪が壊れればえらい事になる」
「実際にそういう事故は過去に何度も起きてるから、奴らは厭われる。けどそれでも買うのを止めない奴が居るから奴らも消えない」
そっと檻の中を盗み見れば、どれも生気のない目をしている。
……可愛そうではあるけど。
元の世界で保健所送りのペットを哀れむ様な。
今の私ではどうもしてやれない、もどかしくも無責任な感情を飲み込み、その前を素通りする。
「ああ、ほらそこだよ。美味いオーク肉料理を安く出してる店は」
若干気まずくなった空気を破るようにシリカさんが声をあげる。
甘辛く煮詰めたタレの良い匂いがお腹を直撃する。
「ここはオークの角煮が特に美味いんだ」
ああ、うん。白いご飯が食べたくなる匂いだよね。
「おやじ! 酒くれ、あと角煮と腸詰め、串焼とあと適当に頼むよ」
……と、思ったらお酒の共ばかり頼まれてしまった。
レイフレッドは嬉しそうだけど。
「ご飯と何か汁物もくださいな」
頼んで出てきた豚汁とご飯、美味しい。
まあ米の質自体は微妙だけど、肉の脂の旨さがご飯に合っていて、食欲をそそるのだ。
スコットさんとシリカさんがエールを楽しむ横でご飯を三杯もお代わりしてしまった……。
明日は気を付けて動くようにしなければ。
シリカさんが会計を済ませ、私達は宿へ戻ろうと来た道を歩き始めた。
市場は既に大半の店が店仕舞いを終え、残る店も店仕舞いの最中。
既に市場らしい賑わいはなく静けさが訪れようとしている。
――が。
「何か騒がしくないですか?」
市場の賑わいとは別物の、不快ながなり声が聞こえてくる。
「……揉め事かしら?」
「巻き込まれたら面倒だね。ちょっと遠回りになるけど別の道を行こうか」
「だな。そのうち憲兵も来るだろうしな」
と。私達は別の道を行く事を選んだ。
だから、その声の主を知ることなく宿に戻り、その夜は何事もなく過ごした。
……ただそれが、実は面倒を先送りにしただけだったと知る事になるとは、当然この時は知るよしもなかった。
――よくよく思い返せば既にフラグは立っていたのに。
魔族の国での最初の一日は定番イベントを起こして終了したのだった。
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