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帰還
お金持ちになりました。
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往路ではシリカさん先導で来た道を、復路はレイフレッドと二人――いやフロスも含めて三人での帰り道。
……今馬車を引くのは馬でも魔馬でもなかった。
「やー、ラッキーだったよね!」
「……普通は絶体絶命だと絶望する場面だったんですけどね」
「フロス、頑張った!」
それは、吸血鬼の国を出て数日、まだ魔族の帝国内を移動していた時の事。
視界を遮る物のない平原で、突如地平線の向こうから飛来した災い。
通常であればもっと岩だらけの山あいに生息しているはずの魔物が空を駆け、運悪くその場に居合わせてしまった私達の馬車に目を付け、その嘴と鉤爪付きの鳥足で襲いかかって来たから反撃した――ら。
テイム……できちゃったんだよね……。
「まさかグリフィンがテイムできるなんて……」
リルフィと名付けた彼女の登録の為に一番近い町の冒険者ギルドに立ち寄ったら大層驚かれた。
「そりゃそうですよ、グリフィンの討伐依頼はAランク以上が普通なのに、それをテイムしたのが本来なら冒険者登録もできないはずの女の子じゃ、信じられないのも無理はありません」
とはいえせっかくテイムしたのだからと魔馬はそこのギルドに返して代わりにリルフィを繋いで引かせたら――早い、早い。
魔馬でも普通の馬より早かったのに、それよりも早いって……。
行きにかかったより三分の一程度の日程しかかからずルクスドに着いてしまった。
……このペースなら、来るとき一週間かかったシレイドへは二日もあれば着けてしまいそう。
「それじゃ、宿をとってギルドへ行きましょうか」
あれから簡易冷蔵庫の魔道具を応用した冷暖房用の魔道具も作ったから、改めて新規登録と実績確認して、物件を見繕うのだ。
車とリルフィ、フロスを空間に入れ、ロープウェイに乗り込む。
ほんの数ヵ月離れていただけとはいえ、相変わらず賑やかな町だ。
「良い物件が空いてると良いんだけど……」
終点で降り、まずは魔術ギルドで特許登録。
次いで商業ギルドに顔を出した。
「すみません」
受付に声を駆け、名前と用件を告げると、受付嬢は慌てて奥へと引っ込んだ。
待つ事しばし。
彼女はすぐに戻って来た。
――狐目にモノクルをした身なりの良い男性を伴って。
「……君がアンリ殿で間違いないかい、お嬢さん?」
彼はモノクル越しに狐目をうっすら開けてこちらを見下ろす。
「はい、――この通り私はアンリ=カーライルで間違いありませんわ」
私はステータスノートを見せて答える。
「成る程、確かに。……失礼した。私はこの商業ギルドルクスド支部のギルドマスター、フォード。君に伝える事があってね。少し時間をいただけるかな?」
と、気付けばギルマスの応接室へと案内され、質の良さそうなお茶を出されていた。
……流石にシリカさんとこでいただいた王室御用達の高級茶葉には劣るけど、実家でお客様用に淹れるお茶と同等の、子供相手に出すような物じゃない物が当たり前に出される。それもこのルクスドのギルマスの前で、だ。
私は気を引きしめて、目の前の狐目男を注視した。
「……成る程成る程、これはただの小娘と侮れば痛い目を見そうだ」
彼は楽しそうに笑い、茶で喉を潤した。
「事は二日前の事。全商業ギルドのギルマス宛にとある司令が下った。曰く、アンリ=カーライルという名のギルド加入者が訪れたら即丁重に確保せよ、とね」
「あー。やっぱり大事になった……。これはアレですよね、あの冷蔵庫の件でしょう?」
「ええ。初回に納入されたものはその日の内に完売、次の納品はいつかとの問い合わせが殺到してましてね……?」
「な……どうしてそこまで……」
「主に食物を冷蔵保管するための魔道具は確かに既に存在し、ある程度の普及も進んでいます。しかし、それは大きな筐体丸々全てが魔道具であるため置き場が限られ、なおかつコスパの面でも個人であればお屋敷レベルの家でなければ見合わない代物でした」
しかし、元からある収納を流用出来る点や、安い魔石か生活魔法が使えるレベルの魔力充填で使用可能な点、何より持ち運びが可能である点から幅広い層の需要があった。
「今、在るだけの在庫を売って下さい。即金でお支払いします」
「え……あの、私――今日は新しい商品の特許登録に来たんですが……」
ぐいぐい迫られ若干及び腰になりながら、なんとか手の中のそれを差し出した。
「それと……在庫は今は持ち合わせがないので、明日お持ちします……!」
新しい魔道具の説明をしたところ、こちらも準備していた個数では絶対に足りないからと追加納品を約束させられた。
……ちなみに、売れた分の代金は、この街の中の上の研究棟を買うのに十分な額だった。
これ、これから納品する分が全部売れたら……というか当分は定期的に一定数売れそうだけど……この歳にして一財産築いてしまった……かも?
……今馬車を引くのは馬でも魔馬でもなかった。
「やー、ラッキーだったよね!」
「……普通は絶体絶命だと絶望する場面だったんですけどね」
「フロス、頑張った!」
それは、吸血鬼の国を出て数日、まだ魔族の帝国内を移動していた時の事。
視界を遮る物のない平原で、突如地平線の向こうから飛来した災い。
通常であればもっと岩だらけの山あいに生息しているはずの魔物が空を駆け、運悪くその場に居合わせてしまった私達の馬車に目を付け、その嘴と鉤爪付きの鳥足で襲いかかって来たから反撃した――ら。
テイム……できちゃったんだよね……。
「まさかグリフィンがテイムできるなんて……」
リルフィと名付けた彼女の登録の為に一番近い町の冒険者ギルドに立ち寄ったら大層驚かれた。
「そりゃそうですよ、グリフィンの討伐依頼はAランク以上が普通なのに、それをテイムしたのが本来なら冒険者登録もできないはずの女の子じゃ、信じられないのも無理はありません」
とはいえせっかくテイムしたのだからと魔馬はそこのギルドに返して代わりにリルフィを繋いで引かせたら――早い、早い。
魔馬でも普通の馬より早かったのに、それよりも早いって……。
行きにかかったより三分の一程度の日程しかかからずルクスドに着いてしまった。
……このペースなら、来るとき一週間かかったシレイドへは二日もあれば着けてしまいそう。
「それじゃ、宿をとってギルドへ行きましょうか」
あれから簡易冷蔵庫の魔道具を応用した冷暖房用の魔道具も作ったから、改めて新規登録と実績確認して、物件を見繕うのだ。
車とリルフィ、フロスを空間に入れ、ロープウェイに乗り込む。
ほんの数ヵ月離れていただけとはいえ、相変わらず賑やかな町だ。
「良い物件が空いてると良いんだけど……」
終点で降り、まずは魔術ギルドで特許登録。
次いで商業ギルドに顔を出した。
「すみません」
受付に声を駆け、名前と用件を告げると、受付嬢は慌てて奥へと引っ込んだ。
待つ事しばし。
彼女はすぐに戻って来た。
――狐目にモノクルをした身なりの良い男性を伴って。
「……君がアンリ殿で間違いないかい、お嬢さん?」
彼はモノクル越しに狐目をうっすら開けてこちらを見下ろす。
「はい、――この通り私はアンリ=カーライルで間違いありませんわ」
私はステータスノートを見せて答える。
「成る程、確かに。……失礼した。私はこの商業ギルドルクスド支部のギルドマスター、フォード。君に伝える事があってね。少し時間をいただけるかな?」
と、気付けばギルマスの応接室へと案内され、質の良さそうなお茶を出されていた。
……流石にシリカさんとこでいただいた王室御用達の高級茶葉には劣るけど、実家でお客様用に淹れるお茶と同等の、子供相手に出すような物じゃない物が当たり前に出される。それもこのルクスドのギルマスの前で、だ。
私は気を引きしめて、目の前の狐目男を注視した。
「……成る程成る程、これはただの小娘と侮れば痛い目を見そうだ」
彼は楽しそうに笑い、茶で喉を潤した。
「事は二日前の事。全商業ギルドのギルマス宛にとある司令が下った。曰く、アンリ=カーライルという名のギルド加入者が訪れたら即丁重に確保せよ、とね」
「あー。やっぱり大事になった……。これはアレですよね、あの冷蔵庫の件でしょう?」
「ええ。初回に納入されたものはその日の内に完売、次の納品はいつかとの問い合わせが殺到してましてね……?」
「な……どうしてそこまで……」
「主に食物を冷蔵保管するための魔道具は確かに既に存在し、ある程度の普及も進んでいます。しかし、それは大きな筐体丸々全てが魔道具であるため置き場が限られ、なおかつコスパの面でも個人であればお屋敷レベルの家でなければ見合わない代物でした」
しかし、元からある収納を流用出来る点や、安い魔石か生活魔法が使えるレベルの魔力充填で使用可能な点、何より持ち運びが可能である点から幅広い層の需要があった。
「今、在るだけの在庫を売って下さい。即金でお支払いします」
「え……あの、私――今日は新しい商品の特許登録に来たんですが……」
ぐいぐい迫られ若干及び腰になりながら、なんとか手の中のそれを差し出した。
「それと……在庫は今は持ち合わせがないので、明日お持ちします……!」
新しい魔道具の説明をしたところ、こちらも準備していた個数では絶対に足りないからと追加納品を約束させられた。
……ちなみに、売れた分の代金は、この街の中の上の研究棟を買うのに十分な額だった。
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