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念願の旅路で

ドラゴン討伐①

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    「ふーん、あれが火竜……」
    西洋風の、ティラノサウルスに翼を背負わせたような姿かたちをした赤い鱗が特徴的なドラゴンだった。
    現在お昼寝中らしく、ぐーすーぴーと寝息が聞こえる度に鼻腔からちろちろと赤い炎が火の粉を散らしている。
    あれ、回りが岩山だから良いけど、妖精の国みたく緑あふれる地だったら今頃山火事で大変な事になってたな……。
    いや、既に崩落事故が起きて人命にも被害が出てるんだけど。
    「流石に作戦会議も無しに突っ込むのは自殺行為ね」
    「いえ、通常の冒険者なら竜退治に参加する時点で自殺行為です」
    「……。」
    あー、うん。
    「取り敢えずリルフィとフロスとレイフレッドはとにかく連携してやつの注意を引き付けて。攻撃はしなくていいから」
    竜の鱗を傷つけられる武器なんて、竜素材の武器か神剣聖剣魔剣くらいだしね。
    属性竜は魔法で倒すしかない。
    「……竜相手に通用する魔術なんて使えるの、魔帝国ですら一部の有力者だけなんですよ?」
    「そこは大丈夫。竜相手にダメージ+αが付くスキル、奮発してゲットしたから」
    「……。あい――」
    「はいはい、もう聞き飽きた台詞はいいから、今日は明日に備えましょ」
    今日はゆっくり休んで、明日は一日全てを竜相手に費やす。
    その後の交渉その他はそのまた翌日に頼むとの根回しも済ませた。
    「……お嬢ちゃん、冗談じゃなく本気で行く気なのか!?」
    「大の大人の男、それも手練れの冒険者や騎士様だって何人もで命懸けでかかるのが普通なんだぞ?」
    「お嬢ちゃんじゃヒョイパクで喰われちまうぜ!」
    なーんて言われたけど。
    「フロス、頼りにしてるよ!」
    「フロス、ドラゴン倒したら強くなれる、頑張る!」
    「リルフィも。あなたが機動力の頼みの綱だから、期待してるわ」
    「ぎゃう!」
    「――レイフレッド」
    「はぁ、お嬢様は命懸けで御守りしますよ」
    「んじゃ、行くよー!」
    竜の鼻先へ移動する彼らと別れ、私は一人竜の背後へ回る。
    リルフィが空へ飛び出したら作戦開始。
    私は、竜戦用に特別カスタマイズした弓を構え、深呼吸をする。
    やつは――昨日から殆ど動いていない。
     けど、今日は起きている。
     何か不機嫌そうに落ち着きなく尾を揺らし首を動かす。
    じっと、彼らの時を待ち――
    (来た!)
    ぎゃあと一声鳴いてリルフィがやつの鼻先ギリギリを掠めて飛び、続いてフロスが糸を吐き口輪の様に巻き付けて口を開かなくしてしまう。
    そのタイミングで影魔法の分身を操り視界の中をうろちょろ駆け回るレイフレッド。
    さあ、戦闘開始だ!
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