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念願の旅路で

世界にひとつだけのファンタジー

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    神子をどうにかする魔道具。
    そんな前列のあるはずない物を作るのに、いつものチュートリアル機能が動くはずもなく。
    自分がこう加工したいと思えばその為のチュートリアル機能は働くけど、その先は示してくれない。
    こうなるとリアルに試行錯誤するしかない。
    取り敢えず形だけは決まっている、
    イメージとしてはミニドラサイズのあの子に似せたお人形。関節とかちゃんと動くように作り込み、その上で魔術をいくつも組み込んでいく。
    人形の形を作るまではチュートリアルのサポートがあるけど、その先はこれまでに学んできた知識を総動員して相応しいものをピックアップし、上手く組み合わせたり統合したりと手を加える必要がある。
    試作品と、結果失敗作となった人形が小山になるくらいは試行錯誤を重ねた。
    うん。ここまで魔道具作るのに手間がかかったのは初めてだよ。科学の知識を流用してのファンタジーアイテムを作るのはそう難しくなかったから、ファンタジー楽勝となめてました、ごめんなさい。一からファンタジーを形にするのがこんなに大変だとは……。
    「でも、出来たわ」
    2頭身のお人形の形をした魔道具が。
    「――本当にやるんですか、お嬢様」
    「そりゃいつまでも放置はできないからね」
    今は空間に隔離してるけど。神子を本気で怒らせて全力で暴れられたらあの空間だって耐えきれず崩壊する。
     「私の能力で作った空間だもの、そんなことになったら私にもフィードバックがあるのよ。フロスが暴れたくらいじゃびくともしない空間が壊れるレベルのエネルギーのフィードバック……。どんなことになるか分からないけどろくなことにならないのは分かるから」
    「――分かりました。けれどお嬢様、その魔術具を操作するのがお嬢様にしか出来ないと言うのでなければ、私が致します。万が一の事があった場合には私はお嬢様に血をいただけば回復出来ますが、お嬢様はそうではないのですから」
    「えーと、使うだけなら誰でも使えるけど、レイフレッドが使えばレイフレッドが神子の主として契約されるよ?」
    「……。――分かりました。精一杯努めさせていただきます。これ以上お嬢様にばかり抱え込ませられませんから。では使い方を教えていただけますか、お嬢様?」
    ……何か反論できない空気をまとうレイフレッドの要求にノーと言えずに教えるはめになり。
    翌日、私はレイフレッドと共に神子の居る森の空間へと赴いた。
    「……先の光景から森が凍っているだろうとは予想してましたけど、これ焦げてませんか?」
    「ええ。凍らせる能力を持つのかと思っていたけど、これは熱を操る能力かもしれないわ。――上手く使いこなせればこの世界初のハウス栽培が楽に始められそうね」
    「ハウス栽培?」
    「説明は後よ。……捕らぬ狸の皮算用になったら嫌だし」
    「分かりました。――では、始めましょう」
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