唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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念願の旅路で

天下一ギルド

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    この街には無数に競技場や修練場が存在し、毎日のように催し物が開催される。
    そのスケジュールや詳細情報を管理する為だけの組織がこの街にはある。
    この街だけのギルド、その名も――
   「天下一ギルド、ですか。……」
   「もう少しまともなネーミングセンスの持ち主は居なかったの……?」
    突っ込みどころ盛り沢山なそのギルドでは、飛び入り参加可能な催しへの参加申し込みや、観戦チケットの販売、主要イベントの賭けの胴元もやっているらしい。
    参加申し込みの方はうっかり迂闊に近づけば噛まれそうな緊張感があるけれど、案内所の方には優しそうなお姉さんも居た。
    イタチや山猫など、肉食系でも小型の可愛いお姉さん達が丁寧に説明してくれた。
     「あなた達はついてるわよ!    こんなタイミングでこの街に来るなんて!」
    何でも無数に行われる興行の中でも特に歴史と伝統のある最高の競技会が明日から始まるらしい。
    攻撃系の武具の使用は一切認められない。魔法効果付きの防具の使用も不可。ただの防具のみで試合に挑み、拳術や体術など肉体のみを武器とした競技会。その頂点に君臨する者達が参加するトップレベルの試合らしい。
    「でも、そんな人気なんじゃもうチケットは売り切れてるんじゃ……」
    「そ・れ・が・!    ペア席がまだ若干残ってるんですよ!」
    正確にはキャンセルが出たらしい。
    「出場予定だった人気選手が一人出場出来なくなりましてね、その方のファンが……」
    「え、それって怪我とか……」
    「いえいえ、おめでただそうですからそれは良いことなのですけどね」
    どうやら女性選手だそうで、男女両方から人気が高く、カップルで応援している人も多かったらしい。
    「他の、もっと小規模な催しにはまだ出場なさっているそうなんですけどね。流石に実力者揃いの大会で万が一があったらいけないから、と。ええ、私も一人の女としてそれが良いと思いますし」
    けど、商売としてはそれはそれ、これはこれ、と。
   「彼女こそ出場しませんが、他の出場選手も彼女に勝るとも劣らない人気者ばかりですから、かなり見応えがありますよ」
    そう熱心に薦められたらじゃあ見てみようか、となるもので。
    チケットを買うのに身分証明をと言われて冒険者ギルドのギルドカードの情報を見せたら、慌てて貴賓席を用意されてしまったのは……まあ、ここは素直にラッキーと思っておこう。
    コロッセウムのような競技場の、あの野外球場の外野席みたいな席では落ち着いて観戦出来る気がしないし。
    ちなみに試合はトーナメント戦で、参加選手は8人。最初の一戦を四試合したらもう準々決勝だ。
    ここに居る選手は他の大会でコツコツ勝ち続けた強者の中の強者。……既に予選は他で済ませてきているのだ。
    部屋としては狭いけど、ガラス張りの個室で、私達はガラスに張り付くようにして目の前の闘技場を見る。
    最初の一戦が、始まる。
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