唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

社交の経験値

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    一巡、全てのダンスが終われば、ようやくパーティーも本当の意味で始まる。
    次回以降のダンスに目当ての異性を誘おうと意気込む男性、誘われようと可愛い子猫の皮を被った中身は獲物を虎視眈々と狙う女豹なお嬢様がたによる駆け引きの場と化し、またその前哨戦とばかりに社交に勤しむ者も居る。
    ただ、学校行事なだけあって、大人達が集う社交の場に比べれば、話題に政治や外交などの難しい話が選ばれる事は殆ど無い。
    名目も新入生歓迎会なのだから、自然と話題は自己紹介――お家自慢も含めた情報収集とお友達作りという名の人脈作りがメインの話題になる。
    ……最近貴族になったばかりのレイフレッドも、未だ平民の私も、その割にはこの様な場に参加する機会があって場馴れはしている。
    だけど、ここに居るのは物心付いた頃からこういう場に親しみ、七歳で社交会にプレデビュタントを果たしている生粋の貴族達が大半だ。
    ……ああ、この国は七歳の鑑定式の後に社交会にプレデビュタントを果たし、十五歳の成人と鑑定式の後に正式にデビュタントを果たすのが慣例となっている。
    プレデビュタントから正式にデビュタントするまでの間は、言うなれば見習い期間。ある程度の凡ミスは見逃されるけど、ダンスのお相手等は保護者の承認が必要などの制限もある。
    ……レイフレッドはそのプレをすっ飛ばして正式にデビュタントしたばかり。
    私は貴族じゃないからプレデビュタントなんかしてない。
    それは、片手間の副業と本業の差以上に経験値の差があるということ。
    「……やあ、見かけない顔だが君たちは?」
    年に何度もパーティーを催し、それに参加している彼らからすれば見覚えの無い私達はそれだけで見下される。
    「私はアンリ=カーライル。カーライル商会会頭の娘で、疾風の牙商会の会頭ですわ。陛下にはいつもひいきにしていただいて……。ええ、とても感謝していますの。ああ、彼はウチの商会の副会頭を勤めておりますレイフレッド。最近その功績を皇帝陛下に認めていただき、勿体なくも爵位を戴いておりますの」
    だから、そう問われる度に惜しむことなくその肩書きを使って牽制する。
    平民と言えど、扱いを間違えば痛い目を見ると。
    「……ああ、そうだな。たかが商会一つと侮れば、我が王家も少々困ったことになる。是非とも良好な関係を保ちたいものだ」
    そんな私達にわざわざ声をかけにいらしたのは……。
    「成る程、彼がそなたのか。確かにそこらの者より遥かに優れた当ての様だ」
    第二王子。その背後には王太子とお二方のお付きが勢揃いしていた。
    「貴方がレイフレッド――レイフレッド・フォン・シェルライン男爵殿か」
    「ええ。お初にお目にかかります。先日の成人を以て、各国皇帝陛下方より男爵位を賜り、私の上級学校卒業を待って、辺境伯の爵位と領地を賜る次第となっております」
    「ああ。我らもその爵位授与の場に立ち会った父王より聞き及んでいる。……そなた程の男を副会頭に置くカーライルの娘か。マティス、そなたは同じクラスであったな。くれぐれも平民だからなどという下らぬ理由で彼女を貶め我が国が見限られる様な愚かな真似はするなよ?」
    「……ええ。心得ております。彼女の優秀さは机を並べていれば嫌でも分かりますから」
    ……えー、王子様二人がかりでべた褒めされてるんですけどね?
    ちょっと……目立ち過ぎですね?
    頭の良さそうな人達はこれが王家直々の牽制で、国の方針にも等しいと気づいてくれたようで嬉しい半面、頭の悪そうな連中から向けられる視線が痛いのなんの……。 
    これは、今後覚悟が必要そうだ……と。
    その後始まった部活紹介の催しを眺めながら、私は精一杯隣のレイフレッドに癒しを求めてなついた。
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