182 / 370
目指せ勝ち組!~君と歩む花道~
ダンジョン発見
しおりを挟む
依頼を受けた私達は、さっさと最低限の装備だけ整えて、すぐさま件の休憩場所となった地点まで急行した。
団体でぞろぞろ列をなして登るお坊ちゃんの足と、鍛えた冒険者――装備のステータス補佐込みの足とでは速度は格段に異なる。ましてや、グリフィンの背に直乗りで空から駆けつければ数分とかからない。
「さあ、問題はここからどこへ行ったかよね」
こういう時、日本なら警察犬の出番だ。だけど生憎私は犬どころか嗅覚に優れた従魔はいない。
――そう、思っていたんだけど、ね。
「……血の、臭いがします」
レイフレッドがすんすんと辺りの空気の臭いを探る。
「微かですが、嗅ぎ覚えのある血の臭いがします。……おそらくあの男の物でしょう。酷く臭いが薄いので、多分そこらの草木で指先でも切ったんでしょう」
唯一血の臭いにかけては犬より鋭いレイフレッドが言うのなら、そうなんだろう。
「臭い、追える?」
「……何とか。少しでも臭いが残っているうちに、急ぎましょう」
そう言って早足に歩き出しながらも、頻繁に鼻をすんすんと動かしている。
レイフレッドが本気で駆ければこの様な山道でももっと早く駆けられるのに、これだけ慎重なのは、本当に臭いが微かなのだろう。
この手がかりが潰えれば捜索は困難になる。
……発見が遅れれば、それだけあの二人の危険度は飛躍的に増していく。
ゴブリンの相手でさえ、あの二人ではどこまで戦えるのか疑問だというのに、オークやオーガも出るような場所をふらふらするとか、本当にどういうつもりだったんだろう。
お馬鹿なのは知ってたつもりだったけど、まさかここまでとは……。
正直私に責任がかかってくる状況でさえなければいっそ見捨ててやりたい。
私の知らない所で襲われてくれれば全ての面倒事がチャラになるのに。
レイフレッドの背を追うように山道を駆けながら、どうしても黒い思考に引きずられる。
レイフレッドが進むのは本来のコースからどんどん離れていく獣道だ。
随分大型の獣が作った道のようで、道幅だけは本来のコースよりあるけれど、人の手で整備されていない分歩き易さには格段の差がある。……勿論獣道のが下なんだけど。
どうして彼らはこんな道を行こうとしたのか。
訳が分からないなりに、レイフレッドの邪魔にならないよう黙って歩くこと十数分。……私達の早足で十数分、だ。
「……臭い、この中へ続いているようです」
そこにぽっかりと口を開けた洞窟の入口が鎮座していた。
けど、単に中が暗いだけ――では説明がつかない真っ暗闇で中の様子が全く伺えないこれは……。
「このエリアにダンジョンがあるなんて情報、無かったわよね?」
「ええ。おそらく最近出来たばかりの若いダンジョンなのだと思われます。それと……もしかしなくても先日の大鴉、このダンジョンを餌場にしていたのでは……」
「――取り敢えず報告だけギルドに飛ばしておくわ。……素人がダンジョンに迷いこむとか……生存確率が一気に下がったわね」
ああ、本当に面倒くさい。
リルフィーに報告書を咥えさせ、ギルドに向かわせる。……伝書鳩代わりに使って申し訳ないけど、未知のダンジョンとか……魔力は少しでも温存しときたいからね。
「……じゃ、行きましょうか」
団体でぞろぞろ列をなして登るお坊ちゃんの足と、鍛えた冒険者――装備のステータス補佐込みの足とでは速度は格段に異なる。ましてや、グリフィンの背に直乗りで空から駆けつければ数分とかからない。
「さあ、問題はここからどこへ行ったかよね」
こういう時、日本なら警察犬の出番だ。だけど生憎私は犬どころか嗅覚に優れた従魔はいない。
――そう、思っていたんだけど、ね。
「……血の、臭いがします」
レイフレッドがすんすんと辺りの空気の臭いを探る。
「微かですが、嗅ぎ覚えのある血の臭いがします。……おそらくあの男の物でしょう。酷く臭いが薄いので、多分そこらの草木で指先でも切ったんでしょう」
唯一血の臭いにかけては犬より鋭いレイフレッドが言うのなら、そうなんだろう。
「臭い、追える?」
「……何とか。少しでも臭いが残っているうちに、急ぎましょう」
そう言って早足に歩き出しながらも、頻繁に鼻をすんすんと動かしている。
レイフレッドが本気で駆ければこの様な山道でももっと早く駆けられるのに、これだけ慎重なのは、本当に臭いが微かなのだろう。
この手がかりが潰えれば捜索は困難になる。
……発見が遅れれば、それだけあの二人の危険度は飛躍的に増していく。
ゴブリンの相手でさえ、あの二人ではどこまで戦えるのか疑問だというのに、オークやオーガも出るような場所をふらふらするとか、本当にどういうつもりだったんだろう。
お馬鹿なのは知ってたつもりだったけど、まさかここまでとは……。
正直私に責任がかかってくる状況でさえなければいっそ見捨ててやりたい。
私の知らない所で襲われてくれれば全ての面倒事がチャラになるのに。
レイフレッドの背を追うように山道を駆けながら、どうしても黒い思考に引きずられる。
レイフレッドが進むのは本来のコースからどんどん離れていく獣道だ。
随分大型の獣が作った道のようで、道幅だけは本来のコースよりあるけれど、人の手で整備されていない分歩き易さには格段の差がある。……勿論獣道のが下なんだけど。
どうして彼らはこんな道を行こうとしたのか。
訳が分からないなりに、レイフレッドの邪魔にならないよう黙って歩くこと十数分。……私達の早足で十数分、だ。
「……臭い、この中へ続いているようです」
そこにぽっかりと口を開けた洞窟の入口が鎮座していた。
けど、単に中が暗いだけ――では説明がつかない真っ暗闇で中の様子が全く伺えないこれは……。
「このエリアにダンジョンがあるなんて情報、無かったわよね?」
「ええ。おそらく最近出来たばかりの若いダンジョンなのだと思われます。それと……もしかしなくても先日の大鴉、このダンジョンを餌場にしていたのでは……」
「――取り敢えず報告だけギルドに飛ばしておくわ。……素人がダンジョンに迷いこむとか……生存確率が一気に下がったわね」
ああ、本当に面倒くさい。
リルフィーに報告書を咥えさせ、ギルドに向かわせる。……伝書鳩代わりに使って申し訳ないけど、未知のダンジョンとか……魔力は少しでも温存しときたいからね。
「……じゃ、行きましょうか」
0
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~
翡翠蓮
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした
タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる