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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

迷宮で迷子探し

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   ゴブリン、オーク、オーガ。
   ――本当に若いダンジョンらしく、まだ二階層とはいえさっきから出てくる魔物がありきたりかつワンパターン過ぎて、ダンジョン攻略としては難易度が低すぎて、早々に飽きてきた。
    罠だって、出入口すぐの場所に開いた落とし穴の配置こそ驚いたけれど、隠すつもりは皆無らしくぽっかり空いた穴を避けるのは割合簡単だった。
    入ってすぐの場所、とはいえ普通に歩いていたらすぐに気付いて立ち止まれるスペースの余裕はあったし。
    あれにかかるのはダンジョン攻略初めてのひよっ子がはっちゃけ過ぎて洞窟へ駆け込むようなお馬鹿だろうし……。
    「ねぇ、レイフレッド。今更だけどあの落とし穴……落ちてないわよね?」
    「……落ちていないと断言は……出来ませんね」
     そう広くない階層のマッピングはすぐに終わり、この階層にあの二人は居なかった。
    ――となれば、階段で下の階層に行ったのか、それとも例の落とし穴に落ちたのか。後者の場合何処まで落ちたか分からない。
   「お嬢様、通信の魔道具はお持ちですか?」
   「ええ、空間収納に一杯入ってるわよ」
   「……ワンセット、出して下さい。そしてその片方を俺に貸して下さい。――私が下りて確認します」
   「――分かった。なら私は階段から各階層を順にしらみ潰しに探していくわ」
   「途中ですれ違わないよう通信で常に情報交換をお願いします」
   「分かってる。……レイフレッドなら大丈夫と信じているけど……気をつけて」
    「お嬢様こそ。……色んな意味で気を付けてくださいよ」
    ちょっと問い質したくなるような物言いをわざとして笑い、彼はひょいと身軽にその罠へ飛び込んだ。
    私は普段滅多に使わない剣を片手に階段を下りる。
    『……――お嬢様、今下へ着きました。……正確な階層は不明ですが、体感的には確実に2、3階層はすっ飛ばしてます。……迷宮型の階層のようで、広く見渡すことが出来ませんが、見える範囲には誰も居ません』
    「そう。こちらも階段を下りて二階層のマッピング中よ。……出てくる魔物は一階層と変わらず。ただ、必ず単体で湧いてた魔物が複数体固まって湧くようになったわね。まだ群れると言う程の数ではないけど」
    レイフレッドとの通信機越しの会話の最中にもまたゴブリンが三体、光に包まれ何もなかったはずの空間に湧き出るのを、すかさず風の刃で首を落とす。
    ダンジョンて、魔法の加減を少々間違えたくらいじゃトンネルが崩壊するなんて事がないからやりやすい。……火魔法だけは色々怖いから使わないけど。
    「――では、私もこの階層のマッピングに取りかかりますね」
    「ええ。……健闘を祈るわ」
    「では私はお嬢様の幸運を祈りましょう」
    と、お互い激励を交わして一度通信を切る。
    さて、迷子のお馬鹿さんを見つけるのはどちらが先かしらね?
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