唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

一晩の自由時間

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    ――静かだ。
    あの騒動から数日が経ち、今日はAクラスの人達は山の上のコテージで夜営研修の真っ最中だ。
    そして、そのAクラスのメンバーとして、生徒会メンバーの約半数がそれに参加している為に、今この宿泊施設に居るのは全員Sクラスの者達で。
    おかげで普段と比べてとても静かだ。
    一泊二日で行われるこの研修の往路の引率が終わった今、帰りの引率に行く明日の夕方までは、宿泊施設で何をしていても良いことになっている。
    いわば、完全なる自由時間だ。
    これまでの隙間時間には殿下達の手合わせに付き合ってきたけど、丸一日の自由時間を全てそれに費やすのは流石に嫌だった。
    たまにはレイフレッドと二人でデートくらいしたいしね。
    「取り敢えず美味しいもの食べてのんびりしたい!」
    「美味しいもの……はともかく、自由時間とはいえ研修中なのですから、あまりだらだら過ごすのはいかがなものかと……」
     「じゃあ、日が高いうちは美味しいもの食べて回って、日が落ちたらプールで泳ぎましょうよ!」
    私はレイフレッドの手を引いて連れ出した。
    ちょっとした軽食を売る店が並ぶ区画では、平民街ではあまり見ない高級料理を出す店が連なっている。
    屋台料理は私達にとっては何も珍しくないけど、これは気になる。後学の為にも是非味見をしておかないと!
   「ほら、あのチキンは美味しそうよ?」
    キラキラと照りの輝きの美しい、美味しそうなきつね色に焼き上げられた鶏肉からポタポタたれる脂……。
    勿論肉好きのレイフレッドの目はたちまち釘付けにされてる。
    「……ね?」
    「し、仕方ないですね。いいでしょう。すみません、それ二つ下さい」
    骨付きモモ肉を注文し、フードコートのような各店舗共用の席に座って待つ。……この辺りの差がお貴族様クオリティー。
    待つこと暫し。皿に乗せられた肉がフォークとナイフつきで運ばれてくる。
    お互いちらと見合いながら、手掴みでかぶりつきたい欲望を共感しつつも、そこは周囲の目を気にしてお上品にいただく。
    ぷつりとナイフをいれたとたん溢れる脂と肉汁。パクリと頬張れば、脂の旨味だけを舌の上に残してほろほろ柔らかく裂けていく鶏肉。
    「……旨い」
     思わず無言のまま完食してしまってからハッと正気に戻るレイフレッドが可愛い。
    「うんうん。次はどれ行く?」
    幸いお金は充分にある。
    ……ショッピングモールのブランド品に使えばすぐ無くなるだろうけど、多少お高くても軽食は軽食。満腹になるまで食べても充分にお釣りが来る。
    私達は久しぶりに二人でわいわい味見し合いながら食事を楽しんだ。
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