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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~
百聞は一見にしかず
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続くアナウンスの声を聞き流しながら、私は生徒会の仕事に戻るため、さっさと門を離れたのだけど……。
「あれが噂のアンリ=カーライルか……」
「平民が貴族に牙を剥くは重罪、ましてや噛み付き怪我を負わせればその場での無礼打ちをもやむ無しとはいえ……。あれを、あの子爵が御せるのか?」
息子や娘から聞く彼女の噂を聞いてはいても、どこか現実離れした話題が多くて半信半疑だった彼らの保護者らも、その実力の一端を自らの目で見てようやく理解した。
彼女がそこいらに幾らでも居ていつでも替えの利く普通の平民の枠に納まりきらない存在なのだと。
真っ当に扱えば金の生る木となるが、扱いを間違えば自分達の身を滅ぼす毒ともなり得る存在であると。
――そして。そう認識した彼らの大半が例の子爵に対し良い感情を持っていなかった。無能であるのはもう周知の事実であり、普通ならそれだけで恥ずかしいと思うのが貴族という生き物なのに、他の評判の良くない貴族と付き合う中で猿山の大将をして満足している頭の悪い小物。下手に付き合えば破滅への道連れにされかねないからと距離を置かれている家。
すでに次期子爵になるはずの長男がやらかした噂話はそれなりに広まり、どう考えても適切な扱いが出来る人物とは思えず。
貴族の性として損得勘定等の計算の結果を見れば、このまま見て見ぬフリして逃した魚の価値を思って嘆くだけで済むなら良いが、国として被るかもしれない損害を考えたら、このまま無関係で押し通す方がリスクが高い気がしてくる。
「――これは良い機会かもしれんな」
テントの日陰で冷たい飲み物をサービスされながら娘の奮闘ぶりを眺めていた公爵閣下がニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「我が娘も、娘の婚約者である第二王子殿下も彼女と同学年、同じクラスだそうだ。第一王子殿下も生徒会で共に仕事をする間柄と聞く。彼らの治世に邪魔になるゴミ屑を一掃し、彼女に恩を売って我が国の発展に助力して貰う良い機会だと思わんか?」
王家を別にすれば、貴族の頂点である公爵閣下のご提案である。そしてこの場に居る貴族にとっては自身に損の無い話であり、むしろ将来的に特になる可能性のある話だった。――どころか逆に、この話を無視して放置などすれば、公爵曰くのゴミ屑のとばっちりを受けての損すらあるかもしれない。……と来れば、動かない貴族は居ない。
……アンリが知るよしもない所で、いつの間にか増えた子爵家に迫る包囲網。
アンリよりもっと何も知らない子爵はその頃、ご機嫌で美女に囲まれお酒を次々に流し込んでいた。
ちなみにビルは。
「クソッ、暇だ」
イライラと使用人に当たり散らしていた。
その影で家令が嘆く。
「ああ、またですか……。今度は誰です? キッチンメイドですか。……それならまだ何とか募集で間に合いますか。ここのところ次々と人が辞めていく……。無理もありませんが……」
少し前からその傾向はあったけれど、ここのところ急に人手不足が深刻になりつつあった。……が。
「旦那様はいらっしゃらない、奥様もお出かけばかりで坊っちゃんは当てにならない……。私もそろそろ辞表の準備を始めても良いですかね……?」
子爵家崩壊の序章は既に始まりつつあった。
「あれが噂のアンリ=カーライルか……」
「平民が貴族に牙を剥くは重罪、ましてや噛み付き怪我を負わせればその場での無礼打ちをもやむ無しとはいえ……。あれを、あの子爵が御せるのか?」
息子や娘から聞く彼女の噂を聞いてはいても、どこか現実離れした話題が多くて半信半疑だった彼らの保護者らも、その実力の一端を自らの目で見てようやく理解した。
彼女がそこいらに幾らでも居ていつでも替えの利く普通の平民の枠に納まりきらない存在なのだと。
真っ当に扱えば金の生る木となるが、扱いを間違えば自分達の身を滅ぼす毒ともなり得る存在であると。
――そして。そう認識した彼らの大半が例の子爵に対し良い感情を持っていなかった。無能であるのはもう周知の事実であり、普通ならそれだけで恥ずかしいと思うのが貴族という生き物なのに、他の評判の良くない貴族と付き合う中で猿山の大将をして満足している頭の悪い小物。下手に付き合えば破滅への道連れにされかねないからと距離を置かれている家。
すでに次期子爵になるはずの長男がやらかした噂話はそれなりに広まり、どう考えても適切な扱いが出来る人物とは思えず。
貴族の性として損得勘定等の計算の結果を見れば、このまま見て見ぬフリして逃した魚の価値を思って嘆くだけで済むなら良いが、国として被るかもしれない損害を考えたら、このまま無関係で押し通す方がリスクが高い気がしてくる。
「――これは良い機会かもしれんな」
テントの日陰で冷たい飲み物をサービスされながら娘の奮闘ぶりを眺めていた公爵閣下がニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「我が娘も、娘の婚約者である第二王子殿下も彼女と同学年、同じクラスだそうだ。第一王子殿下も生徒会で共に仕事をする間柄と聞く。彼らの治世に邪魔になるゴミ屑を一掃し、彼女に恩を売って我が国の発展に助力して貰う良い機会だと思わんか?」
王家を別にすれば、貴族の頂点である公爵閣下のご提案である。そしてこの場に居る貴族にとっては自身に損の無い話であり、むしろ将来的に特になる可能性のある話だった。――どころか逆に、この話を無視して放置などすれば、公爵曰くのゴミ屑のとばっちりを受けての損すらあるかもしれない。……と来れば、動かない貴族は居ない。
……アンリが知るよしもない所で、いつの間にか増えた子爵家に迫る包囲網。
アンリよりもっと何も知らない子爵はその頃、ご機嫌で美女に囲まれお酒を次々に流し込んでいた。
ちなみにビルは。
「クソッ、暇だ」
イライラと使用人に当たり散らしていた。
その影で家令が嘆く。
「ああ、またですか……。今度は誰です? キッチンメイドですか。……それならまだ何とか募集で間に合いますか。ここのところ次々と人が辞めていく……。無理もありませんが……」
少し前からその傾向はあったけれど、ここのところ急に人手不足が深刻になりつつあった。……が。
「旦那様はいらっしゃらない、奥様もお出かけばかりで坊っちゃんは当てにならない……。私もそろそろ辞表の準備を始めても良いですかね……?」
子爵家崩壊の序章は既に始まりつつあった。
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