唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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君花2

闇ギルドの最後

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    アンリの声に男に即座に駆け寄ったレイリアは、ガチャガチャと首、手首、腰、足首と魔道具を取り着け捕縛した。
    「これで魔法もスキルも使えないし動けないよ!    処刑の日まで大人しくしてな!」
    カレンは元子爵を看て……
「大丈夫、気絶してるだけ。でも薬でもう正気じゃないよ」
    と判断した。
    辺境伯――いや、元辺境伯はシリカがきっちり縛り上げた後でレイリアが男にしたのと同じ魔道具を手首と足首に着けた。
    残りの奴隷達は兵士達がまとめて捕縛し連れていく。
    ……こうなっても良いように用意した場所とはいえ、小屋はひどい有り様だった。それだけ激闘だったのだ。――私、役に立たなかったけど。
    「レイリア、カレン。良くやったわね。貴女達の働きがなかったらもっと苦戦していたわ」
    「当然よ、魔法師団の長なんですもの」
    「うんうん、私も疾風の牙の商品開発部の部長(予定)なんだから、当然、当然!」
    娘達は大はしゃぎだ。
    「あ、俺達だって頑張ったんだからな!」
    「影魔法が使えなくて苦労したんだぜ!」
    「はは、たまには魔法なしで戦う訓練もしないとなぁ!」
    双子は義兄と戯れている。
    そして――
    「レイフレッドは貴族の生まれだったのね」
     一人黙って座り込むレイフレッド。
    「……実感は全くありませんがね。物心ついた頃には既にいつも血に飢えていて、将来は不安だらけだった。そこいらの平民以下の生活が当たり前だったんです」
    返り血で赤く染まった剣の柄を強く握りしめて、レイフレッドは呻いた。
   「両親は、多分死んでいるんだろうと思っていましたけど……。そっか、母親はパートナーを守って……父親は母親を守って死んだんですね」
    「レイフレッド。恐らくドルトムント王国の王城の書庫にある貴族名鑑に写真が残っている。……今度見に来ると良い」 
    シリカが、レイフレッドの肩を叩く。
    「無論あの男の屋敷にはもっと沢山あるんだろうが……アレがああだからな……」
    「――はい。ありがとうございます」
    「一応アレを貴族から外しはしたが、あの家がどうするかまでは私らでは干渉できん。……暫くは身辺に気を付けろ」
    ……そして。
    レイリール国に、また三国の皇帝が集った。
    闇ギルドのブレーンと、ついでに元子爵の処刑を執り行うために。
    一応元子爵についてはマティス様に連絡したのだけど、経緯と現状を伝えると、「見届けたいから私と陛下を招待してくれ」との事だったので、その様に計らった。
    実際、元子爵等オマケのオマケで、みんなが気にしているのはブレーンの方なのだから。
    いつか、私の元婚約者の処刑を執り行ったシレイド王の様に、今日は私が処刑を命ずる立場にある。
    罪状を述べ、そして――挙げた手を勢い良く振り下ろした。
    これで、私達を散々悩ませた問題がようやく片付く。
    吹き出す赤とその臭いに、その重さに耐えながら、私はそれを実感したのだった。
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