師匠はうっかり転生しちゃった伝説の陰陽師!

彩世幻夜

文字の大きさ
4 / 65
第一章 もしかして異世界……?

参話 ある日森の中出会ったのは……

しおりを挟む
    こういう風景は、一応見た覚えがあった。
    小学校の春の遠足で山登りさせられた時に散々見た風景にとてもよく似ている。
    ……どう見ても町中の神社の境内にある鎮守の森とは別物な景色。
    それに、境内こそ静かでも町中の神社には近くを走る車のエンジン音や、その先の踏切の音や列車の音といった環境音は常に聞こえていたはずが、それらがさっきから全く聞こえなくなっている。
    代わりに鳥のさえずりがあちこちから聞こえてくる。
    それもカラスや鳩、雀みたいな町中で聞くような鳥の声ばかりでなく、何の鳥かも判別出来ないものばかりが沢山聞こえる。
    ……目を閉じてみたはいいけど、要らない過去の白昼夢に思わず目を開けてしまった陽彰は、ため息を吐くしかなかった。
    「何でいきなり山の中に居るのか分からないけど」
     突然の落雷、あれが何らかの一因な気がしてならない。
     そしてもう一つの心当たり。
    「……奴らの仕業?」
    落雷直後、気絶してた自覚はないのだけど、もしかすると実はそれなりの時間気を失い、その間に奴らにこんな場所まで運ばれた?
    ――誰にも見つからず怪しまれずにそんな事出来るのか、とか疑問も多いけど、今こうして居たはずの場所に居ない以上はもう今更だ。
    とにかく門限までには帰らないと大変だし、最悪怒られるのは覚悟するにしても暗くなる前に森を出ないと危険だ。
    早く、立って歩かなくては……。
    高校の制服――ブレザーにスカートに革靴――は、ハイキングに全く向かないけど、文句も言っていられない。
    落ち葉が厚く降り積もった地面を踏みしめ、立ち上がる。左右はともかく方角も分からないし、どちらへ行けば良いのかもよく分からないまま、それでも道のように拓けている方へと歩き始めた。
    荷物は通学鞄のみで、中に入っているのは教科書とノートと文房具、それと図書館で借りた本くらい。
    正直邪魔だから置いて行きたいけど、新しく買って貰えるかも分からないのに捨てては行けなくて。
    ガサガサと余計な音を立てながらのそのそ歩き、度々鋭いトゲ付きの蔓や木の枝に引っかけたり、下草の葉で切ったりと手足があっという間に小さな切り傷で一杯になって、僅かずつながらも血が出て、転々とその跡を残していたから。
    音のせいか、血の匂いのせいか、その両方か。
    それは分からないけど。
    そいつは私の前に現れた。
    ――見た目は猪の様な……だけど、確実に違う何か。
    いつも目にする妖怪やあやかしとも何か違う何か。
    ……自分でも何言ってるか分からないけど、自分がいま命の危機だって事だけは分かる。
    だって、猪っぽい牛サイズの獣が立ちはだかってるんだよ?
    こっちは丸腰どころか制服なんて動き難い格好してるんだよ?
    ……勝ち目なんかあるはずないし、逃げるにしたってどうすれば?
    パニック寸前の私に向かって、獣が突進してくる。
    ――絶体絶命ってまさにこの事。……うん。これ死んだな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

処理中です...