31 / 65
第四章 パーティーの実力
弐話 姐さんの武器
しおりを挟む
「おいおいテメーら、ちょっと待ちな!」
宿で食事と風呂を堪能し、お布団でゆっくり眠った翌日、私達は街を出ていつものように歩き出した。
そして背後に街の壁が見えなくなった頃、不意に声をかけられた。
と同時に森の木々の影から現れる複数の男達。その先頭に居るのは……見覚えのある顔だった。昨日私達を口説いて華乃さんはやり返された男。
これは……仕返しに来たのか。
「はぁ……。しつこい男は嫌われるよ?」
華乃さんも呆れた目をして男達を眺めた。
「おい、昨日のアレはまぁよくあるいさかいだから見逃したけどよ、これ以上やるなら見逃せねぇぞ?」
包丁や鉈といった本来は道具として使うはずの刃物を武器に持つ男たちの前に出て、蒼月さんが彼らを威嚇する。
男達もそれなりにガタイは良いけど、それでも蒼月さんには負ける。何より道具ではない本物の武器を持つ本職の蒼月さんの迫力には敵わない。
……だけど。
「奴は一人だ、皆でかかれば怖くねぇ!」
と一斉にこちらに向かって駆けて来た。
「チッ、覚悟しろよてめぇら!」
「……まったく面倒臭い」
「悪いねぇ。ほれ、優菜と陽彰は下がってな」
華乃さんは扇を、草治さんは針を――それも縫い針みたいな小さな針でなく、アイスピックの先端みたいな太くて長い針を握った拳の指と指の間から覗かせている。
「全く、俺らに本気で喧嘩を売るたぁ全く馬鹿な連中も居たもんだぜ!」
蒼月さんが刀を振るうと、それを防ごうと構えたあちらの武器が飛ぶ。
その後ろから草治さんが針を次から次へと男達に投げつけていく。
「痛てっ!」
……あの太さの針が刺さればそれは痛いだろうが――だからって大の男が針が一本刺さったくらいでへたるとはどう言う訳か。……多分あの針に何か薬でも塗ってあるんだろう、とは思うけど。
そして圧巻なのが……
「えっ!?」
「なっ!」
「はぁっ!?」
更に後ろの男たちの持つ武器が突然みじん切りになった。
「ええっ!?」
私にも何が起きたか分からず驚いたけど、男たちの恐怖はそれ以上だったらしく、「ちくしょう、覚えてやがれ!」と負け犬の遠吠えのお約束台詞を残して逃げて行った。
「ええ……と……今、一体何が起きたので……?」
「そう言やアンタの前で戦うのは初めてだったか。なら今後の為にも教えておこう。アタシの武器はこれ、鋼糸なのさ」
と、手にした扇を見せてくれる。
「糸……?」
「そう。鋼で出来た刃付の糸だよ。扱いは難しいが、優れた使い手ならさっきみたいに武器破壊も出来る。……が、うっかり射程に入られると途中で軌道修正するのは難しい。陽彰を刻みたくはないから、アタシが戦ってる時にはなるべく動かんでくれ」
他のメンバーについては既に華乃さんの武器については知り尽くしていて、動きもそれを承知で動くそうで。
確かに私にそんなのすぐにやれと言われても無理だ。ここは大人しく言う事を聞いておいた方が良さそうだった。
宿で食事と風呂を堪能し、お布団でゆっくり眠った翌日、私達は街を出ていつものように歩き出した。
そして背後に街の壁が見えなくなった頃、不意に声をかけられた。
と同時に森の木々の影から現れる複数の男達。その先頭に居るのは……見覚えのある顔だった。昨日私達を口説いて華乃さんはやり返された男。
これは……仕返しに来たのか。
「はぁ……。しつこい男は嫌われるよ?」
華乃さんも呆れた目をして男達を眺めた。
「おい、昨日のアレはまぁよくあるいさかいだから見逃したけどよ、これ以上やるなら見逃せねぇぞ?」
包丁や鉈といった本来は道具として使うはずの刃物を武器に持つ男たちの前に出て、蒼月さんが彼らを威嚇する。
男達もそれなりにガタイは良いけど、それでも蒼月さんには負ける。何より道具ではない本物の武器を持つ本職の蒼月さんの迫力には敵わない。
……だけど。
「奴は一人だ、皆でかかれば怖くねぇ!」
と一斉にこちらに向かって駆けて来た。
「チッ、覚悟しろよてめぇら!」
「……まったく面倒臭い」
「悪いねぇ。ほれ、優菜と陽彰は下がってな」
華乃さんは扇を、草治さんは針を――それも縫い針みたいな小さな針でなく、アイスピックの先端みたいな太くて長い針を握った拳の指と指の間から覗かせている。
「全く、俺らに本気で喧嘩を売るたぁ全く馬鹿な連中も居たもんだぜ!」
蒼月さんが刀を振るうと、それを防ごうと構えたあちらの武器が飛ぶ。
その後ろから草治さんが針を次から次へと男達に投げつけていく。
「痛てっ!」
……あの太さの針が刺さればそれは痛いだろうが――だからって大の男が針が一本刺さったくらいでへたるとはどう言う訳か。……多分あの針に何か薬でも塗ってあるんだろう、とは思うけど。
そして圧巻なのが……
「えっ!?」
「なっ!」
「はぁっ!?」
更に後ろの男たちの持つ武器が突然みじん切りになった。
「ええっ!?」
私にも何が起きたか分からず驚いたけど、男たちの恐怖はそれ以上だったらしく、「ちくしょう、覚えてやがれ!」と負け犬の遠吠えのお約束台詞を残して逃げて行った。
「ええ……と……今、一体何が起きたので……?」
「そう言やアンタの前で戦うのは初めてだったか。なら今後の為にも教えておこう。アタシの武器はこれ、鋼糸なのさ」
と、手にした扇を見せてくれる。
「糸……?」
「そう。鋼で出来た刃付の糸だよ。扱いは難しいが、優れた使い手ならさっきみたいに武器破壊も出来る。……が、うっかり射程に入られると途中で軌道修正するのは難しい。陽彰を刻みたくはないから、アタシが戦ってる時にはなるべく動かんでくれ」
他のメンバーについては既に華乃さんの武器については知り尽くしていて、動きもそれを承知で動くそうで。
確かに私にそんなのすぐにやれと言われても無理だ。ここは大人しく言う事を聞いておいた方が良さそうだった。
0
あなたにおすすめの小説
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる