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第三章 想いのありか
弐話 月夜の下で
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風呂から上がって食事を済ませた後、華乃は宿の縁側へと足を運ぶと、そこには先に月を見上げながら酒を飲んでいる蒼月の姿があった。
「……おやおや、先を越されたか」
「おう、華乃か。構わないぜ、一緒に飲もうや」
徳利とお猪口を見せて蒼月は豪快に笑った。
「クククッ、あの草治に春が来るかもしれないんだ。酒の肴にやもってこいの話題だろ?」
「……どうだかねぇ。陽彰は草治に感謝はしているらしいが、あんたやアタシらとほぼ同等の扱いだったけどねぇ?」
「――そうなのか?」
「一応ノリとはいえ、昨日本人に聞いたからね」
「もしかして昨日の長湯はそれが理由か?」
「そういうこった」
「はぁ。草治も自覚無さそうだったし、まだまだ前途多難か、これは……」
ぐいっとお猪口に入った酒を一気に飲み干し、苦笑いを浮かべる。
「けど……ならお前はどうだ、華乃?」
華乃は蒼月の徳利を奪って酒を注ぎ、それに口をつけて返答を渋った。
「――おれはお前が好きだ。……だから冒険者をして稼いだ金を殆ど丸ごと使って身請けしたんだぜ?」
「……あの嫌らしいお大尽と競り合って競り勝ってアタシを助けてくれた事には感謝してるよ。――だから伽がしたいならいくらでも付き合うさ。……けど、アタシは結局遊女だ。花魁だのと持ち上げられたところで、舞台を降りれば多くの男に抱かれてきたあばずれさ。元が付くにしろイイトコの坊っちゃんと結婚は……難しいだろ?」
相手が真剣なのに、こちらは仕事の延長の様に抱かれるなんてのは……失礼極まりない。
「俺は、お前を娶るため、そしてあの兄妹を手助けするために家を捨てて家名を捨てたんだ。世間体なんざ、今さら気にする価値もねぇ。勿論気持ちの無い夜伽なんざまっぴら御免だね」
「……本当に、アンタも仕様の無い男だね」
呆れたように見返して、華乃は蒼月にもたれ掛かった。
「そろそろ堕ちてくれねぇかって期待はしてるんだけどな」
「……結婚はもうちょっと考えさせとくれ」
その答えに蒼月は一瞬きょとんとした顔をして、けれどその意味に気付いて一気に顔を赤くした。……酒を飲んでいてもちっとも赤くなっていなかったのに。
「そ、それは……つまり……」
「付き合ってやっても良いよ」
「っ、しゃー!」
蒼月は喜びを噛み締めながら、ぐいぐいと酒を飲み干す。
「今夜は最高の夜だぜ!」
「一人で飲んでないで乾杯くらいさせなよ、この唐変木め」
「お、おう……」
カチン、と小さく音が静かな庭に響いた。
「……おやおや、先を越されたか」
「おう、華乃か。構わないぜ、一緒に飲もうや」
徳利とお猪口を見せて蒼月は豪快に笑った。
「クククッ、あの草治に春が来るかもしれないんだ。酒の肴にやもってこいの話題だろ?」
「……どうだかねぇ。陽彰は草治に感謝はしているらしいが、あんたやアタシらとほぼ同等の扱いだったけどねぇ?」
「――そうなのか?」
「一応ノリとはいえ、昨日本人に聞いたからね」
「もしかして昨日の長湯はそれが理由か?」
「そういうこった」
「はぁ。草治も自覚無さそうだったし、まだまだ前途多難か、これは……」
ぐいっとお猪口に入った酒を一気に飲み干し、苦笑いを浮かべる。
「けど……ならお前はどうだ、華乃?」
華乃は蒼月の徳利を奪って酒を注ぎ、それに口をつけて返答を渋った。
「――おれはお前が好きだ。……だから冒険者をして稼いだ金を殆ど丸ごと使って身請けしたんだぜ?」
「……あの嫌らしいお大尽と競り合って競り勝ってアタシを助けてくれた事には感謝してるよ。――だから伽がしたいならいくらでも付き合うさ。……けど、アタシは結局遊女だ。花魁だのと持ち上げられたところで、舞台を降りれば多くの男に抱かれてきたあばずれさ。元が付くにしろイイトコの坊っちゃんと結婚は……難しいだろ?」
相手が真剣なのに、こちらは仕事の延長の様に抱かれるなんてのは……失礼極まりない。
「俺は、お前を娶るため、そしてあの兄妹を手助けするために家を捨てて家名を捨てたんだ。世間体なんざ、今さら気にする価値もねぇ。勿論気持ちの無い夜伽なんざまっぴら御免だね」
「……本当に、アンタも仕様の無い男だね」
呆れたように見返して、華乃は蒼月にもたれ掛かった。
「そろそろ堕ちてくれねぇかって期待はしてるんだけどな」
「……結婚はもうちょっと考えさせとくれ」
その答えに蒼月は一瞬きょとんとした顔をして、けれどその意味に気付いて一気に顔を赤くした。……酒を飲んでいてもちっとも赤くなっていなかったのに。
「そ、それは……つまり……」
「付き合ってやっても良いよ」
「っ、しゃー!」
蒼月は喜びを噛み締めながら、ぐいぐいと酒を飲み干す。
「今夜は最高の夜だぜ!」
「一人で飲んでないで乾杯くらいさせなよ、この唐変木め」
「お、おう……」
カチン、と小さく音が静かな庭に響いた。
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