師匠はうっかり転生しちゃった伝説の陰陽師!

彩世幻夜

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第四章 海の恵みを求めて

参話 初めての海

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    「おお、海が見える!」
    一週間の療養を終えた私達は、一路海を目指して街道を歩いていた。
    少し小高い丘を上りきった先に、キラキラ光る水面が見え、まだ風に混じる潮の香りは微かだけれど、空と海との境界である水平線が実に開放的だ。
    特にこれまで山の中ばかりで視界を遮る木々に囲まれていたから、遮るものの無い景色と言うのがとても新鮮だった。
    「漁師の釣った魚を買って食うのも悪くねぇが、一回くらい俺達も釣りを楽しみたいな。いつも川釣りだからたまには海釣りもしてみたいと思わねぇか?」
    蒼月がウキウキしながら提案した。
    「楽しそうです。一度はやってみたいですね。でも、磯釣り?    それとも船を出してもらってするの?」
    「……まあ無難なのは磯釣りだわな。流石に素人がいきなり海に出てバンバン釣れるとは思っちゃいねえし。遊びに付き合わして釣果無しってのも情けねぇしな」
    小学生の頃、国会議事堂や何かに社会か見学に出掛けて、そのついでに東京湾をバスの窓から見たことがあったし、テレビでは全国各地の海の様子を見たこともある。
    だけど、こんな漁村の漁港しか無いような自然の海を直に見るのは私も初めてだったから。
    水面に輝く光のように、私の目も輝いていそうなのを自覚しながら、ワクワクするのを止められない。
     寒い季節じゃなきゃ海水浴だってしたいのに!
     ……けど、最近は冬も近くて寒いから、今水着になんてなったら確実に風邪を引く。
    だったら、その分食欲を満たしたい。
    「とにかくお魚が食べたいです!    特にお刺身!」
    その日に辿り着いた村で緋川兄妹が診療している間に漁師さんから新鮮なお魚を買い取って、さくさく料理していく。
     米に甘酢を混ぜてシャリを作り、どんぶりに盛って、上にお刺身を盛り付けていく。
     茶色みの多い普段の食事に比べると、本当に某グルメリポーターじゃ無いけど「海の宝石箱や~!」って言いたくなるくらいカラフルでとても美味しそうだ。
    勿論、お醤油に山葵も生姜の甘酢漬けもある。
    生姜の甘酢漬けは漁師さんが漁に使うんで船に積んでるんだって。海の上で食べる賄いに丁度良い箸休めになるんだそうだ。
    うん。殺菌作用もあるし、冬は体を暖めてくれるからね、確かに生活の知恵だ。
     ちょっと辺りを見回し、サクの切れ端を味見と称してつまみ食いする。ん、美味い。
     口止め料代わりに晴明と妖精にもあげてみる。
   「ふむ、新鮮で美味いの。……生前は生の魚を食う事は無かったが、死後に食ってこんなに美味いものだったのかと感動してのぉ」
    ああ。平安時代の物流事情じゃ、都住まいの貴族だった晴明が生の魚を食べるのは自殺行為だ。止めて正解だよ、それは。
    「美味しい~♪」
    「うーん、俺は火を通した方が好きだぞ……」
    妖精はシクアとラントで意見が分かれた。
    ……属性のせいなのか、単なる個人の好みなのか。
    後で精霊様にもご馳走してみて反応を見てみようかな……。
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