屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜

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第一章

出国します。

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 国境の街から、実際の国境のすぐ手前にある砦までは約半日。
 実際に国境を越えてあちらの砦で入国手続きが終わって約一日。
 あちらの国の国境の街までは更にもう半日。

 因みに両国の国境付近に横たわるのは鬱蒼と茂る森。

 一応街道は整備されているけど、ここばかりは依頼を受けた冒険者でもない限り街道を外れて歩こうなんてバカはそうそう居ないはず。

 私達も無駄な寄り道をする気も無く、クロエの引く馬車で街道を行く。

 この森を抜けたら、隣国の砦が見えてくるはずだから。
 そこまで日が暮れないうちに辿り着かないと、賊の類以上に獣や魔物が怖いから。

 国の中なら国の兵士や冒険者が度々討伐しているので比較的安全だし、それでも危なそうな場所へ行くなら護衛を雇うのは当たり前で。

 だけどこのような国境付近は国の管理が行届きにくく、他よりそれらとの遭遇率は高くいのだ。
 護衛を雇おうにも国境を超えさせるのに面倒な手続きがいる。

 一応この国境間のみ面倒な手続きなしに護衛を請け負う業者もあるにはあるけど、お高いんだよねー……。
 何か高価な積荷を乗せていたならぜひ雇いたいけど、駆け出しが割ける予算じゃ到底無理。

 だから、何が何でも日が暮れる前に走破しなくてはならないのだ。

 当然お昼休憩はクロエに見ずと飼い葉を与える時間のみ。
 私達のランチは先に街で作っておいたおむすび弁当。

 今度のこれは普通に三角のコンビニタイプのおにぎりだ。
 具はツナマヨ。

 「は、何これ。美味え……」
 うんうん、美味しいは正義の世界で、ツナマヨは最強種の一種だと思う。

 私がクロエの手綱を預かった隙に先にそそくさとおにぎりに手を付けたロイスがツナマヨの沼に嵌ったらしい。

 ちなみに私のツナマヨはアクセントに少し醤油をたらすのが定番。
 おにぎりではなくサンドイッチにいれるなら、マヨはからしマヨにするんだけど、今回はおにぎりなのでマヨは普通のマヨだ。

 いや、サンドイッチにしても良かったんだけどさ、まだまだ久々の米ブームが私の中で開催中でね、お弁当って言ったらおにぎり一択だったんだよ、私の中で。

 「あ、あれじゃね? 砦って」

 それから暫く。私もお弁当を平らげ、さらに馬車を急がせると。

 「ああ、だね。……これで違ったらすごいがっかりなんだけど」

 良かった、私が転生系ラノベ主人公あるあるの、トラブルを磁石のように引き付けるタイプのキャラじゃなくて!

 その建物に近づけば、やはりそれは間違いなく砦で。
 ギルド証を出せば何事もなく砦に入れたのだった。
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