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冒険者ランクを上げましょう
3-15 国境の町
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「はい、確認いたしました!」
この国の街で過ごす最後の日。私達は冒険者ギルドに来ていた。
明日この街を出て丸1日歩けば国境に着く。
……まあ冒険者ギルドは建前上は国に属さない組織――とはいえ、こうしてギルドの建物を持ち、そこで働く人々はその町の資源を消費して生活している以上は、その土地の権力者に全く何の忖度も無しにはやっていけないのだ、この国では。
けど、場所が変われば常時依頼の内容も変わってくる。
湿地帯でウルフ系モンスターの駆除依頼がある訳ないし、逆に平原でカエルの討伐を依頼する訳がない。
勿論採れる薬草だって違うから、その場その場で報告しないと意味がない。
これが、旅する冒険者に常時依頼が敬遠され、初心者専用依頼と揶揄される所以である。
「おめでとうございます、パーティーランクがワンランク上がりました!」
おお、このタイミングでランクアップか。
「凄いです! まさか一年経たずに俺がシルバーランクに上がれるなんて……!」
ちなみに。この世界の冒険者ランクは上から白金、白銀、金、銀、銅、鉄と六段階のランクが存在している。
鉄ランクが所謂見習いランク。
銅が初心者ランクで、今私達はようやくその銅ランクから一端の冒険者として認められる銀ランクに昇格したと言うこと。
……こうなると、本当にイマルさんの言う通り、国を出たらそろそろ単発依頼をこなさないと、今後のランクアップは無い。
何故ならベテランランクと言われる金ランクに上がる条件は護衛依頼及び主に賊退治等の対人戦をこなさないといけないからだ。
……対人戦、か――。
魔物相手の戦闘には何とか慣れてきたけど……いずれは人とも戦わなきゃならない。
ううん、ここまで幸運にも賊に出くわさなかったのが奇跡的なのは分かってる。
きっとイマルさんが影でなんとかしてくれてたんだと思う。
流石に町ごとに違う名前の盗賊団の手配書がギルドの掲示板に依頼として貼り出されていたら、それが決して珍しい事じゃないくらいはそろそろ察しているから。
いい加減、覚悟を決めないといけない頃合いなんだろう。
「まあ、適当に頑張れ。頑張りすぎてまた知恵熱出されても困るからな」
「ちっ――そ、そんなんじゃありませんか――モゴ!?」
「美味いか?」
抗議のために開けた口に放り込まれたのはこの国では貴重な砂糖をふんだんに使った飴玉。
「そら、そいつを食ったら訓練を始めるぞ」
「あら、ヒカルさんの分だけですの?」
「いやいや、ちゃんとお前たちの分もあるぞ」
「ほあー、今日はランクも上がって甘いもの貰えて……ついてます!」
「ま、まあ……やはり甘味というのは嬉しい物ですわね」
「流石に露店の品じゃあ元お貴族様の舌には合わないんじゃないのか?」
「あらやだ、もう半年も貴方達と同じ食事を楽しんでいますのよ? 久々の甘味ですもの、素直に楽しんだ方が得ではありませんか」
「……同じ――と、言われると若干反論したくなる節があるんだが……まあ正論だしな、悪かったよ」
うん。旅の間の携帯食の時はともかく、町で食事をする場合、マリーさんてばイマルさんよりよく食べるからね。
でも、パワースタイルなマリーさんの戦いっぷりを見てしまうとそれも納得なんだ。
「とにかく、次は隣国の町だ。……そろそろ冬期だ。しばらく落ち着ける場所を決めないと。冬期に何日もの野宿は自殺行為だ」
この国の街で過ごす最後の日。私達は冒険者ギルドに来ていた。
明日この街を出て丸1日歩けば国境に着く。
……まあ冒険者ギルドは建前上は国に属さない組織――とはいえ、こうしてギルドの建物を持ち、そこで働く人々はその町の資源を消費して生活している以上は、その土地の権力者に全く何の忖度も無しにはやっていけないのだ、この国では。
けど、場所が変われば常時依頼の内容も変わってくる。
湿地帯でウルフ系モンスターの駆除依頼がある訳ないし、逆に平原でカエルの討伐を依頼する訳がない。
勿論採れる薬草だって違うから、その場その場で報告しないと意味がない。
これが、旅する冒険者に常時依頼が敬遠され、初心者専用依頼と揶揄される所以である。
「おめでとうございます、パーティーランクがワンランク上がりました!」
おお、このタイミングでランクアップか。
「凄いです! まさか一年経たずに俺がシルバーランクに上がれるなんて……!」
ちなみに。この世界の冒険者ランクは上から白金、白銀、金、銀、銅、鉄と六段階のランクが存在している。
鉄ランクが所謂見習いランク。
銅が初心者ランクで、今私達はようやくその銅ランクから一端の冒険者として認められる銀ランクに昇格したと言うこと。
……こうなると、本当にイマルさんの言う通り、国を出たらそろそろ単発依頼をこなさないと、今後のランクアップは無い。
何故ならベテランランクと言われる金ランクに上がる条件は護衛依頼及び主に賊退治等の対人戦をこなさないといけないからだ。
……対人戦、か――。
魔物相手の戦闘には何とか慣れてきたけど……いずれは人とも戦わなきゃならない。
ううん、ここまで幸運にも賊に出くわさなかったのが奇跡的なのは分かってる。
きっとイマルさんが影でなんとかしてくれてたんだと思う。
流石に町ごとに違う名前の盗賊団の手配書がギルドの掲示板に依頼として貼り出されていたら、それが決して珍しい事じゃないくらいはそろそろ察しているから。
いい加減、覚悟を決めないといけない頃合いなんだろう。
「まあ、適当に頑張れ。頑張りすぎてまた知恵熱出されても困るからな」
「ちっ――そ、そんなんじゃありませんか――モゴ!?」
「美味いか?」
抗議のために開けた口に放り込まれたのはこの国では貴重な砂糖をふんだんに使った飴玉。
「そら、そいつを食ったら訓練を始めるぞ」
「あら、ヒカルさんの分だけですの?」
「いやいや、ちゃんとお前たちの分もあるぞ」
「ほあー、今日はランクも上がって甘いもの貰えて……ついてます!」
「ま、まあ……やはり甘味というのは嬉しい物ですわね」
「流石に露店の品じゃあ元お貴族様の舌には合わないんじゃないのか?」
「あらやだ、もう半年も貴方達と同じ食事を楽しんでいますのよ? 久々の甘味ですもの、素直に楽しんだ方が得ではありませんか」
「……同じ――と、言われると若干反論したくなる節があるんだが……まあ正論だしな、悪かったよ」
うん。旅の間の携帯食の時はともかく、町で食事をする場合、マリーさんてばイマルさんよりよく食べるからね。
でも、パワースタイルなマリーさんの戦いっぷりを見てしまうとそれも納得なんだ。
「とにかく、次は隣国の町だ。……そろそろ冬期だ。しばらく落ち着ける場所を決めないと。冬期に何日もの野宿は自殺行為だ」
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