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ざまぁの前哨戦

11-6 会議開始

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    馬車が城へ入ると、迎えの兵士が待機していて私達を囲んで会場へと案内してくれる。
    警備が物々しいけど……まぁ仕方ないか。
    なんせここは王候貴族の居る世界の王城。表は貴族しか、裏だって身元確かな使用人しか歩けないような場所を、元は貴族だったとはいえ今は平民のマリーと正真正銘平民のケントに異世界人の私みたいのが歩いてるんだから。それも実力はイマルが認めている冒険者でもあるんだし。
     入室の許可を得て迎え入れられたそこには、先日は侍っていなかった貴族も多く揃い、扇の段状になった席にズラリと並んでいる。
    正面の一番高い席には私達に入室の許可を出した王が。その一段下には宰相と――その隣に居るのは……王太子……かな?
    一番下の席に居るのは多分進行役……の議長なのだろう。
   「――参考証人は所定の席にお着き下さい」
    私達に指示を出し、その正面席と貴族席の間に設けられた、まるで日本の裁判所の証言席の様な場のすぐ後ろの椅子を示された。
    しっかり三人分用意された椅子。
    私達がそれに腰を下ろすのを待って、手にした小槌を打ち鳴らす。
    「――では、議会を再開する」
    「さて、彼らがつい先刻諸君らに説明した者達な訳だが」
    それを待っていたように宰相が口を開く。
    その姿は、店の窓から王に突撃して強制連行しようとした人とは思えないくらい落ち着いて威厳のあるイケオジ様に見えます。
    「来て貰って早々申し訳ないが、まずは名と身分など一人ずつ証言をするように」
    「――はい。では私から失礼致しますわ。私は……」
    まずはマリーが立ち、ついこの間謁見の間でしたのと同じ事を喋り、続く私達も以下同文を繰り返し。
    「この様に、ヘルナイト王国が禁忌の聖女召喚を行ったことについては既に王も問答無用とされている。故にこれから議論すべきは、この件について他国と協議する為の草案についてであり、その先にヘルナイト王国への対処を見据えた我が国の対応の方針である!」
    宰相が議題を提示すると、早速貴族達の手が挙がり始め、それを議長が指名していく。
    「最早害悪にしかならん人間の小国など潰してしまえば良いではないか!」
    それらを聞くと、圧倒的に多いのはやはりと言うべきか、そんな意見が多い。完全に侵略してしまえと言う意見から、現政権の粛清で済まそうと言う意見、王の首だけすげ替えて属国に、という意見などその程度に差異はあれど、傍迷惑な国など要らない、という意見はほぼ全会一致と言っても良い。
    まあ、私も少なからずそう思うからね。
    ずっと迷惑を被り続けた隣国はそりゃ私とはまた違った怒りを覚えているだろう。
    うん、気持ちは分かるよ。政治なんか対して興味無かった私でもたまにニュースで見る隣国問題はまぁ面倒、という感想しか出てこなかったもん。
    でも、ここで静観していてはこのまま蚊帳の外に放り出されてしまうから。
    私は、右手を挙げる。
    さあ、戦闘開始だ――。    
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