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お約束が果たされる時

12-1 戦支度

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    着々と。斥候の情報によるとヘルナイト王国ではその用意が順調に整えられていたらしい。
    ――が。
    国際会議にて決議された抗議文が送付されると、たちまちあわただしくなった。
    降伏を促し、それを蹴るなら宣戦布告するとしたそれを見たヘルナイト王国は。
    「うわぁ。四面楚歌でもまだ戦おうとするんだ……」
    当然の様に降伏なんて蹴り飛ばし、戦う道を選んだ。
    ヘルナイト王国に味方する国は無く、孤立無援だというのに。
    彼らは勇者パーティーを前に出し、その後ろを民兵で固め、貴族連中はその後ろで見物する作戦の様で、今は徴兵を行うのに忙しくしているらしい。
    「さて、どうしようか」
    私としては勇者パーティーよりは国の重鎮達に用がある。けど、ケントは勇者パーティーにしか用はないだろう。マリーは……半々、かな?
    あ、イマルはこの戦いで銀の剣に一時復帰する予定だ。久々に共闘できるのは嬉しい。
    「一度、正面から勇者パーティーと実力比べして圧倒的に負かしてやりたいって気持ちはあるんだけどね……」
    「可能だろう。各国の兵が民兵を押さえている間に勇者を凹ませて捕縛、カイルに運ばせて民兵の頭上を通過、国の頭を片っ端から捕縛してやれば良い」
    おお……。さすがイマル、天然チートめ……。
    各国、民兵は極力殺さずで同意が出来ている。
    ただでさえ疲弊しているかの国の土地を、いくら聖女の力で慰撫した所で、その後その土地を耕す人手がなければ意味がないのだから。
    全て殺して押し通るなら早いだろうけど、上手いこと相手を無力化しようと思ったらそれなりに時間がかかる。全て制圧しきる迄に勇者を倒して王達の目の前に到達出来れば良い。
    そうと決まれば、後は――。
    「ケント!    もっと周りを見ろ、状況判断が甘いぞ!」
    「はいっ!」
    「マリーは動きが中途半端すぎる!    盾職に主に重くなるか、盾は補助に槍斧を奮って戦う前衛に主を置いて軽くなるか。どちらも欲しいならもっとスタミナ付けろ!」
     「……っ、鋭意努力致しますわ!」
     「ヒカルは魔道具と魔法の使い分けのタイミングをもっと見極めろ、とにかく数をこなして経験を積め!」
     「はいぃっ!」
     イマルと共に、各国を巡って強敵討伐依頼ばかり受けて回る。
     今回の移動はカイルに頼り、途中の常時依頼は無視する方向で、各国のギルドでもて余した依頼だけに的を絞って集中的に強化訓練を行った。
    各ギルドを悩ませた強敵を倒して回った結果、各国の民に密かに私達の噂が広まり、銀の剣の名前の知名度が一気に高まるという、嬉しいおまけが付いたしね。
    そして。一月後――。
    私達は城のバルコニーに陛下と共に立っていた。
    これから戦に向かう大勢の兵達の前に。
    私達の隣で、陛下がこの戦の大義を兵達に説く。
    「ヘルナイト王国の暴挙を、我が国はこれ以上許す事は出来ぬ。他国とも足並みを揃え、かの国の民を救うのだ!」
    「オオオオー!」
     そして。正式に宣戦布告がなされ、各国の軍がヘルナイト王国に向けて進軍を始める。
     戦争が、始まる――。
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