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後日談
第2話 旅立ち
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「あー! 疲れた!」
「確かに面倒だったな」
門の外に出た途端、さっきまで散々騒がれていた二人は揃って悪態をついた。
「……それはよく分かりますが、もう少し抑えて下さいませんと中に聞こえますよ!」
それに苦言を呈する少女は、先程の主役の一人――ヒカルと肌や髪、そして目の色がほぼ同じ。背丈や顔つきもどことなく似かよっている。
「大丈夫、その辺はちゃんと考えてやってるから」
「……ああ、そう」
そんな言い合いをしながら彼らはパレード用のオープン馬車から長距離移動用の馬車に乗り換える。
「よぉ、モモコ!」
それを端で見ていた彼女の名を呼んだ者が居た。
「ああ……あんたらか」
彼らは元勇者パーティーだ。つい先日まで強制労働をさせられていたのだけれど、この旅立ちに伴い護衛として同伴する為に連れてこられたのだ。
「何だよモモコ? 何か冷たくね?」
「……そうかしら?」
ここのところしばらく彼女はヒカルに聖女の力の使い方をコーチしていた。
その前には知識と実戦とで足りていなかった常識や冒険者の嗜みなどを強制的に学ばされもした。……お陰であの旅での自分の良くなかった部分も理解できるようになっていた。
だから、自然と以前より対応は厳しくなってしまう。……それを彼らは〝冷たい〟と取ったらしい。
思わず溜め息を吐きそうになった時、後ろから声がかかった。
「モモコちゃーん、そろそろ出るから馬車に乗って!」
……レイだった。
彼の声に勇者パーティーも続こうとしたけれど――
「いやいや、君達が馬車に乗ってどうするの。君ら護衛でしょ? ちゃんと仕事してよね!」
と、彼に拒まれた。
「なっ、じゃあ何でモモコは馬車に乗ってんだよ!」
「そりゃ彼女は護衛じゃなくて指導役だもん。そもそも戦闘職じゃないでしょ?」
シッシッと勇者パーティーを退けて扉を閉め、御者に合図を送ると、一同はゆっくりと進み始めた。
元勇者パーティーも渋々ついて来る。
さっき吐き損ねた溜め息が口からつい漏れ出た。
ああ、あっちの馬車の中じゃまたイチャイチャしてんのかなぁ、と空しくすらなってくる。この旅は半分罰当番みたいなものなんだから、楽を期待する方が馬鹿なんだろうが……。
「ハイ、これ。お茶とお菓子だよ」
「……なにコレ?」
「ヒカルちゃんからの差し入れ。ここから三日かかるからねぇ、目的地まで。旅は長いし取り敢えず気楽に行こうよって事じゃない?」
「ありがとうございます……?」
貰ったお菓子はパウンドケーキみたいな焼き菓子で、何となく懐かしい味がした。
「確かに面倒だったな」
門の外に出た途端、さっきまで散々騒がれていた二人は揃って悪態をついた。
「……それはよく分かりますが、もう少し抑えて下さいませんと中に聞こえますよ!」
それに苦言を呈する少女は、先程の主役の一人――ヒカルと肌や髪、そして目の色がほぼ同じ。背丈や顔つきもどことなく似かよっている。
「大丈夫、その辺はちゃんと考えてやってるから」
「……ああ、そう」
そんな言い合いをしながら彼らはパレード用のオープン馬車から長距離移動用の馬車に乗り換える。
「よぉ、モモコ!」
それを端で見ていた彼女の名を呼んだ者が居た。
「ああ……あんたらか」
彼らは元勇者パーティーだ。つい先日まで強制労働をさせられていたのだけれど、この旅立ちに伴い護衛として同伴する為に連れてこられたのだ。
「何だよモモコ? 何か冷たくね?」
「……そうかしら?」
ここのところしばらく彼女はヒカルに聖女の力の使い方をコーチしていた。
その前には知識と実戦とで足りていなかった常識や冒険者の嗜みなどを強制的に学ばされもした。……お陰であの旅での自分の良くなかった部分も理解できるようになっていた。
だから、自然と以前より対応は厳しくなってしまう。……それを彼らは〝冷たい〟と取ったらしい。
思わず溜め息を吐きそうになった時、後ろから声がかかった。
「モモコちゃーん、そろそろ出るから馬車に乗って!」
……レイだった。
彼の声に勇者パーティーも続こうとしたけれど――
「いやいや、君達が馬車に乗ってどうするの。君ら護衛でしょ? ちゃんと仕事してよね!」
と、彼に拒まれた。
「なっ、じゃあ何でモモコは馬車に乗ってんだよ!」
「そりゃ彼女は護衛じゃなくて指導役だもん。そもそも戦闘職じゃないでしょ?」
シッシッと勇者パーティーを退けて扉を閉め、御者に合図を送ると、一同はゆっくりと進み始めた。
元勇者パーティーも渋々ついて来る。
さっき吐き損ねた溜め息が口からつい漏れ出た。
ああ、あっちの馬車の中じゃまたイチャイチャしてんのかなぁ、と空しくすらなってくる。この旅は半分罰当番みたいなものなんだから、楽を期待する方が馬鹿なんだろうが……。
「ハイ、これ。お茶とお菓子だよ」
「……なにコレ?」
「ヒカルちゃんからの差し入れ。ここから三日かかるからねぇ、目的地まで。旅は長いし取り敢えず気楽に行こうよって事じゃない?」
「ありがとうございます……?」
貰ったお菓子はパウンドケーキみたいな焼き菓子で、何となく懐かしい味がした。
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