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後日談
第8話 おめでた
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「……大丈夫ですか?」
「あんまり大丈夫じゃないかも……」
心配そうに私を見下ろしてくるのはケント。そして私が今居るのは移動の馬車の中だった。
それは、いつもの様に聖女の仕事を終えて国へ帰る道すがらの事だった。
普段馬車酔いなんてまずしないのに、途中で気分が悪くなり、吐いてしまったのだ。
「食べ過ぎたつもりはないから……心当たりと言えば寝不足くらいだけど……あの程度はいつもの事だし」
「聖女の仕事を始めてそろそろ半年です。疲れが溜まっていたのかもしれませんよ?」
護衛に付いてきてくれていたケントが冷たく湿した布を額に当ててくれる。
「……健康状態には気を付けていたつもりだったが、足りなかったか」
「これは、アルソレスに直帰するよりウチに寄って休む方が良さそうですね。ちょっとルート変更の打ち合わせをして来ます」
ケントはそう言って馬車を一度離れて行った。
「すまない。昨夜は少し調子に乗り過ぎたかもしれん」
「ああ……。まだそれが原因と決まったわけでもないし、今は気にしてないよ」
私は慰めるようにイマルの肩を叩いた。
「けど、最近妙に眠かった事もあるし……、やっぱり自覚しきれてなかった疲れがたまってたのかなぁ?」
イマルに寄りかかり、目を閉じた。
「城と屋敷に早馬を出しました。俺達も出発します!」
馬車がゆっくりと動き出す。
そして――
「お久しぶりですわ、ヒカル、イマル。そしてお帰りなさいませ、ケント」
伯爵家の屋敷で出迎えてくれたのはマリーだった。
「早速お部屋へどうぞ。医者を呼んでありますから、まずは診て貰って下さいませ」
挨拶もそこそこに客室の寝室へと通され、医者を呼ばれた。
その診断結果は……。
「おそらく妊娠しているものと思われます」
「に、妊娠……?」
「私は人間の医者で、魔族の事は詳しく御座いませんし、産科も専門ではありません故、後程専門の医者に診て貰う必要はあるでしょうが、妊娠自体は間違いございませんね」
「あらまぁ、随分とお早い……」
マリーは感心してるけど! イマルってば何か放心してませんか!?
て言うか……子供……出来たんだ。出来ない可能性も考えていたのに、こんなに早く……?
「ならば、少し休んだら国へお帰りになった方が良さげですわね」
マリーがうんうん頷く。
「妊婦の身体に障りがあっては大変です。一番良い馬車を手配致しますわ」
と意気揚々と部屋を出ていった。
部屋には私とイマルの二人だけが残され、シンと静まり返った。
「あんまり大丈夫じゃないかも……」
心配そうに私を見下ろしてくるのはケント。そして私が今居るのは移動の馬車の中だった。
それは、いつもの様に聖女の仕事を終えて国へ帰る道すがらの事だった。
普段馬車酔いなんてまずしないのに、途中で気分が悪くなり、吐いてしまったのだ。
「食べ過ぎたつもりはないから……心当たりと言えば寝不足くらいだけど……あの程度はいつもの事だし」
「聖女の仕事を始めてそろそろ半年です。疲れが溜まっていたのかもしれませんよ?」
護衛に付いてきてくれていたケントが冷たく湿した布を額に当ててくれる。
「……健康状態には気を付けていたつもりだったが、足りなかったか」
「これは、アルソレスに直帰するよりウチに寄って休む方が良さそうですね。ちょっとルート変更の打ち合わせをして来ます」
ケントはそう言って馬車を一度離れて行った。
「すまない。昨夜は少し調子に乗り過ぎたかもしれん」
「ああ……。まだそれが原因と決まったわけでもないし、今は気にしてないよ」
私は慰めるようにイマルの肩を叩いた。
「けど、最近妙に眠かった事もあるし……、やっぱり自覚しきれてなかった疲れがたまってたのかなぁ?」
イマルに寄りかかり、目を閉じた。
「城と屋敷に早馬を出しました。俺達も出発します!」
馬車がゆっくりと動き出す。
そして――
「お久しぶりですわ、ヒカル、イマル。そしてお帰りなさいませ、ケント」
伯爵家の屋敷で出迎えてくれたのはマリーだった。
「早速お部屋へどうぞ。医者を呼んでありますから、まずは診て貰って下さいませ」
挨拶もそこそこに客室の寝室へと通され、医者を呼ばれた。
その診断結果は……。
「おそらく妊娠しているものと思われます」
「に、妊娠……?」
「私は人間の医者で、魔族の事は詳しく御座いませんし、産科も専門ではありません故、後程専門の医者に診て貰う必要はあるでしょうが、妊娠自体は間違いございませんね」
「あらまぁ、随分とお早い……」
マリーは感心してるけど! イマルってば何か放心してませんか!?
て言うか……子供……出来たんだ。出来ない可能性も考えていたのに、こんなに早く……?
「ならば、少し休んだら国へお帰りになった方が良さげですわね」
マリーがうんうん頷く。
「妊婦の身体に障りがあっては大変です。一番良い馬車を手配致しますわ」
と意気揚々と部屋を出ていった。
部屋には私とイマルの二人だけが残され、シンと静まり返った。
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