ローズガーデン

彩世幻夜

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第三章

ドリームハウス

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 「じゃ、まずは大雑把な希望を聞きましょうか」

 チャラ男が淹れた紅茶――ムカつく事に意外と美味しい――を飲みながら、オネェが広げた紙を見下ろす。

 「私が欲しいのは、店舗兼住宅仕様の家。もっと言えば一階が店舗で二階が住居。そんな家よ。屋根は赤、外壁は白」

 「ふむふむ、カラーリングはまさにウチらしい建物ね。住居部分の細かい好みは後で聞くわ。それより何より肝心の店舗部分よ! 何のお店をやるの!?」

 「花屋兼雑貨屋兼喫茶店兼リラクゼーション店」

 「……ごめんなさい、呪文みたいのが聞こえたんだけど……疲れてるのかしらね、もう一度お願いできる?」

 「はい、花屋兼雑貨屋兼喫茶店兼リラクゼーション店です」

 「聞き間違いじゃないのかよ……。何そのごちゃまぜ感!」
 「多分これ見て貰った方が早いかな……」
 「うん? お茶? ジャムも……。これは……香水に……石鹸? 全部バラの香りがするわね?」
 「はい、バラの花とバラグッズの専門店です」

 これまで行商じゃ生花は売れなかったけど、ガーデンには多種多様の品種のバラがある。あれを売らない手はないし……

 「中庭も欲しいですね」

 一部移植してバラの庭園にして、喫茶スペースから見えるようにしたい。

 「だからこう……コの字型の建物で……両端に喫茶コーナーと生花コーナー、中にグッズコーナーと、その体験スペースとしてリラクゼーションスペースにして……コ字型の空白部分を庭にして……」

 「ふんふん、なるほど……なら裏に小道も作って自宅側の玄関はそちらに、ね? 従業員専用入り口と休憩スペースに在庫置き場も要るわね?」

 「はい。住居スペースについてはお風呂以外はそんなにこだわり無いんで2LDKと洗濯物を干せるベランダがあれば……」

 「ほう。けど庭もバラだらけ、生花も売ってアロマも売るとなれば当然店はバラの香りで一杯よね。その香りと喧嘩しない建材使わないと駄目よね?」

 「あっ、そうですね。デザインばかり気にしてその辺気が回ってませんでした。指摘して下さってありがとうございます。確かにあまり匂いの強い木材は……たとえ単体では良い香りがするとしても、店には無臭の木材を使ってほしいです」

 「喫茶スペースにテラスは要らない?」
 「あ、良いかも……」
 「お庭は貴女が作るのでいいのよね?」
 「はい、外を囲う柵だけ他と一緒に作って貰えば、庭その物は私が作ります」

 「じゃ、その条件で設計案を立てるから、一週間後にまた来てちょうだいね」

 「はい、お願いします」

 こうして、お店を手に入れる目処もたった。
 あとは完成を待つばかり。

 少し暇になってしまったけど……さて、何をするかな?
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