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19話『裏切り者のジャック』
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~再びシロナside~
いつの間にか寝ていた
ひどい悪夢を見た気がしたが、全く覚えていない
場所はハルトの書斎
そのイスの上で、机に突っ伏して寝ていた
(……いつの間に移動したんだろう)
夢と同じく、全く覚えていない
いや、フラフラとナニカを求めて歩いたのは覚えている
ナニカとはやはり
(ハルト……)
この書斎は他のどの部屋よりもハルトを感じられたから
だから……
(?これ……)
見つけたのは1冊の絵本
背表紙に何も書かれていない本
妙に懐かしく感じた本
表紙にはこう書かれていた
『裏切り者のジャック』
ページをめくってみると、可愛らしい絵と文字が並んでいた
『ある所に、トランプの国がありました』
『トランプの国はそれぞれ、スペード,ハート,ダイヤ,クローバーの4つに分かれていました』
『そのうち3つはみんな仲良く暮らしていました』
『しかし、ハートの国だけは違ったのです』
『ハートのキングは自分の思い通りにならないことがあると、すぐに怒って罰を与えます』
『ハートのカード達はほとほと困っていました』
『ある日、ハートの国に事件が起こります』
『ジャックの姿が見えないのです』
『どこを探しても、誰も見つけられなかったのです』
『キングを含めたほとんどのカードは、ジャックが逃げ出したと考えました』
『ハートのジャックは、裏切り者のジャックと呼ばれるようになりました』
『実はハートのジャックは他の国のキングに助けを求めていたのです』
『しばらくすると、ハートの国に他の国からキング達が集まりました』
『そして、ハートのキングを牢屋に閉じ込め、2枚のジョーカーに番をさせました』
『そしてその頃にジャックもハートの国に戻って来ました』
『こうしてジャックはハートの国を文字通り心の国にしました』
『しかし、ジャックはいつまでも裏切り者でした』
『それでもジャックはいつも嬉しそうでした』
『なぜなら、みんなが笑顔になったからです』
『裏切り者のジャックは、いつも、いつまでも嬉しそうに笑っていました』
『おしまい』
小さい頃に読んだ本
忘れていた本
小さい頃はこの本の結末が不満だった
なぜジャックは幸せにならなかったのだろうか
なぜジャックは自分を助けなかったのだろうか
今でも答えは出ない
でもあの人ならわかる気がする
(……聞きに行こう)
ハルトはどう思うのか
ハルトはどう考えているか
ハルトは……どう、したいのか
わたしは絵本を閉じた
いつの間にか寝ていた
ひどい悪夢を見た気がしたが、全く覚えていない
場所はハルトの書斎
そのイスの上で、机に突っ伏して寝ていた
(……いつの間に移動したんだろう)
夢と同じく、全く覚えていない
いや、フラフラとナニカを求めて歩いたのは覚えている
ナニカとはやはり
(ハルト……)
この書斎は他のどの部屋よりもハルトを感じられたから
だから……
(?これ……)
見つけたのは1冊の絵本
背表紙に何も書かれていない本
妙に懐かしく感じた本
表紙にはこう書かれていた
『裏切り者のジャック』
ページをめくってみると、可愛らしい絵と文字が並んでいた
『ある所に、トランプの国がありました』
『トランプの国はそれぞれ、スペード,ハート,ダイヤ,クローバーの4つに分かれていました』
『そのうち3つはみんな仲良く暮らしていました』
『しかし、ハートの国だけは違ったのです』
『ハートのキングは自分の思い通りにならないことがあると、すぐに怒って罰を与えます』
『ハートのカード達はほとほと困っていました』
『ある日、ハートの国に事件が起こります』
『ジャックの姿が見えないのです』
『どこを探しても、誰も見つけられなかったのです』
『キングを含めたほとんどのカードは、ジャックが逃げ出したと考えました』
『ハートのジャックは、裏切り者のジャックと呼ばれるようになりました』
『実はハートのジャックは他の国のキングに助けを求めていたのです』
『しばらくすると、ハートの国に他の国からキング達が集まりました』
『そして、ハートのキングを牢屋に閉じ込め、2枚のジョーカーに番をさせました』
『そしてその頃にジャックもハートの国に戻って来ました』
『こうしてジャックはハートの国を文字通り心の国にしました』
『しかし、ジャックはいつまでも裏切り者でした』
『それでもジャックはいつも嬉しそうでした』
『なぜなら、みんなが笑顔になったからです』
『裏切り者のジャックは、いつも、いつまでも嬉しそうに笑っていました』
『おしまい』
小さい頃に読んだ本
忘れていた本
小さい頃はこの本の結末が不満だった
なぜジャックは幸せにならなかったのだろうか
なぜジャックは自分を助けなかったのだろうか
今でも答えは出ない
でもあの人ならわかる気がする
(……聞きに行こう)
ハルトはどう思うのか
ハルトはどう考えているか
ハルトは……どう、したいのか
わたしは絵本を閉じた
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