5 / 19
5話甘いケーキと苦いコーヒー
しおりを挟む
出来上がったケーキをカットし、皿に乗せる。ついでにコーヒーも入れて持っていくーーーケーキを食べる為のフォークや、コーヒー用の砂糖やミルクなどもわすれずにーーーハルトには先に席について貰っていたのだが、どうやら本を読んでいるらしい。
「お待たせ…しました」
コトッと皿を置き、コーヒーも溢さないようテーブルに置く。その音と香りでハルトは気づいたらしく、本に栞を挟みテーブルに置き、わたしの側にやって来た
「すごい…想像していたのよりかなり美味しそう」
「えっと…コーヒーで良かった…ですか?」
「うん。ありがとう」
「砂糖と…ミルクは?」
「あぁ、コーヒーはブラック派なんだ」
意外だった。甘党を自称しているハルトがブラックコーヒーを飲むなんて…
ハルトはわたしの頭を撫でながらありがとうと言ってくれた。…嬉しかった。
「それじゃあいただきます」
「いただきます」
わたしはブラックでは飲めないのでミルクと砂糖を入れておく
ハルトがワクワクしながらひとくち
うまく出来ているだろうか?
もし口に合わなかったら?
様々な不安に駆られながらハルトの様子を恐る恐る見る
「どう…ですか?」
するとハルトは
「うん…すごく…すごく美味しい!」
柔らかい笑みでケーキの感想を言った。
「よ、よかった…です」
溜まっていた空気を吐き出し、改めて自分のつくったケーキを食べる。甘いチョコの味が口いっぱいに広がる。ふわふわのスポンジの食感もチョコに合っていて、とてもよく出来ていた。
暫くケーキとコーヒーを二人で堪能した
ケーキは綺麗に平らげられ、コーヒーもカップの底に茶色の輪を描く程度になったとき、ハルトがごちそうさまといって立ちあがり、皿をシンクの方へ持っていく。皿を置くと2杯目のコーヒーをカップに注ぎ、ゆっくりと味わっていた。
「いやぁ…なんかもう満足しちゃったな~」
「それは…なにより…です」
わたしもケーキを食べ終わったので、皿をシンクへ持っていく。戻ってきて、さっきから疑問だったことをハルトに聞いてみる。
「あ、あの…」
「ん?」
「その…本の…」
「これ?」
言いながらハルトは傍らにあった本を取る
「それの…ジャンルとか…聞いてもいい…ですか?」
「この本のジャンル?」
コクコクと首肯く
「これはファンタジー小説だよ。剣士とか魔法使い、ゴブリンにドラゴンなんかが出てくるんだ。まぁ王道だよね」
確かに王道。だけど
「だけどね。僕はこういうザ・王道!っていうの結構好きなんだ」
…やっぱり似てる。
「わたしも…好き…です」
「僕たちほんとに趣味とか好きなものとか合うよね」
…コーヒーは違ったけど
「そう…ですね」
「この本読み終わったら貸してあげるね」
「ありがとう…ございます」
栞の挟まれたページは、終盤のクライマックスであろうところだった。
「お待たせ…しました」
コトッと皿を置き、コーヒーも溢さないようテーブルに置く。その音と香りでハルトは気づいたらしく、本に栞を挟みテーブルに置き、わたしの側にやって来た
「すごい…想像していたのよりかなり美味しそう」
「えっと…コーヒーで良かった…ですか?」
「うん。ありがとう」
「砂糖と…ミルクは?」
「あぁ、コーヒーはブラック派なんだ」
意外だった。甘党を自称しているハルトがブラックコーヒーを飲むなんて…
ハルトはわたしの頭を撫でながらありがとうと言ってくれた。…嬉しかった。
「それじゃあいただきます」
「いただきます」
わたしはブラックでは飲めないのでミルクと砂糖を入れておく
ハルトがワクワクしながらひとくち
うまく出来ているだろうか?
もし口に合わなかったら?
様々な不安に駆られながらハルトの様子を恐る恐る見る
「どう…ですか?」
するとハルトは
「うん…すごく…すごく美味しい!」
柔らかい笑みでケーキの感想を言った。
「よ、よかった…です」
溜まっていた空気を吐き出し、改めて自分のつくったケーキを食べる。甘いチョコの味が口いっぱいに広がる。ふわふわのスポンジの食感もチョコに合っていて、とてもよく出来ていた。
暫くケーキとコーヒーを二人で堪能した
ケーキは綺麗に平らげられ、コーヒーもカップの底に茶色の輪を描く程度になったとき、ハルトがごちそうさまといって立ちあがり、皿をシンクの方へ持っていく。皿を置くと2杯目のコーヒーをカップに注ぎ、ゆっくりと味わっていた。
「いやぁ…なんかもう満足しちゃったな~」
「それは…なにより…です」
わたしもケーキを食べ終わったので、皿をシンクへ持っていく。戻ってきて、さっきから疑問だったことをハルトに聞いてみる。
「あ、あの…」
「ん?」
「その…本の…」
「これ?」
言いながらハルトは傍らにあった本を取る
「それの…ジャンルとか…聞いてもいい…ですか?」
「この本のジャンル?」
コクコクと首肯く
「これはファンタジー小説だよ。剣士とか魔法使い、ゴブリンにドラゴンなんかが出てくるんだ。まぁ王道だよね」
確かに王道。だけど
「だけどね。僕はこういうザ・王道!っていうの結構好きなんだ」
…やっぱり似てる。
「わたしも…好き…です」
「僕たちほんとに趣味とか好きなものとか合うよね」
…コーヒーは違ったけど
「そう…ですね」
「この本読み終わったら貸してあげるね」
「ありがとう…ございます」
栞の挟まれたページは、終盤のクライマックスであろうところだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる