奴隷と過ごす毎日

宝。

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6話約束を…

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その日の夜
ハルトとわたしは揉めていた
「だから!シロナは女の子なんだからこっちのベッドで寝るべきなんだってば!」
「ハルトが家主…だから、ベッドはハルト…が使う…べき、です」
「そしたらシロナはソファーで寝ちゃうんでしょ?そしたら風邪ひいちゃうからダメ!」
「わたし、体…は丈夫…です」
「そうじゃなくて~」
こんな風に延々と。
ハルトの言い分はこう
〈わたしは女の子。女の子は体を冷やしてはいけない。だからわたしにベッドを使わせたい。〉
わたしの言い分はこう
〈家主のハルトがいる上に、あまつさえわたしは奴隷。だからベッドはハルトが使うべき。〉
まったくの平行線である。
「こうなったらもうこれしかないね…」
ハルトはそういうと拳を挙げた。
「…ぇ」
「覚悟はいい?いくよ!」
ハルトが硬く握った拳を降り下ろす。
わたしは反射的に頭を守るように手を頭に持っていく。
「じゃんけんぽん!」
・・・?
恐る恐るハルトの方をみると、人差し指と中指だけを立てた状態でこちらをみていた。
「シロナはパーだから僕の勝ちだね!てことはシロナがベッドを使うんだよ?」
 ???
頭の中が?で埋め尽くされるなか、わたしは先ほどのハルトの言葉をゆっくり咀嚼し、やっと理解した。
とたんに足の力が抜け、床に座り込んでしまった。
「シ、シロナ!?大丈夫!?」
「ぁ…ぅ…」
「泣いてる?!え?え?なんで?……ぁ」
どうやら涙まで出ていたらしい。
「ごめんシロナ!その、わざとじゃなくて…脅かすつもりもなくて…」
ハルトはオロオロしながら必死になっている。
どうしようどうしようと口ずさみながら慌てている。するとなにか思い付いたのか、こちらへ来てしゃがんだ。
すると
「ごめんね…シロナ」
手をスッとわたしの頭の上に翳したかと思うと、わたしの頭を撫で始めた。
優しく。あやすように。
一度撫でられれば涙が止まり
二度撫でられれば緊張がほどけ
三度撫でられれば頬が弛む
「…もう、大丈夫…です」
数分後、さすがにこれ以上されると恥ずかしくてどうにかなってしまいそうなので止めて貰う。
「うん…」
そういうハルトは落ち込んでいるようだ。
それなら…
スッ
「シロナ?」
「・・・」
「あの…」
「・・・」
わたしは先ほどされたようにハルトの頭を撫でた。
優しく。あやすように。
「…わたしは、弱く…て…なにも出来ません…」
「そんなことは「でも!」!」
「精一杯…頑張る…ので、側にいさせて…下さい」
ハルトの言葉を遮ってまで言った言葉に偽りはない。
わたしは精一杯頑張る。今は弱くて小さいけれど、“いつか”。そう、いつか必ず貴方を助けられるように。守れるようには少々傲慢だとおもうから、助けられるように。
するとハルトの顔が綻び、
「約束だよ?」
そういって右手の小指を差し出す。
わたしも自分の小指を差し出し、絡める。
二人で小さく笑いながら
「「約束」」
確かな約束をした。
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