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14話渦巻く感情
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「ハルトは今日は帰らないよ」
玄関の扉の開いた先に立つ男は、ハルトより1つ2つ程若いようで、髪色は金。金色の綿菓子という感じ。右手の中指には値が張るだろう指輪、といっても悪趣味ではなく、むしろまとまっているという印象を持たせる。背丈はハルトと同じか少し低い。顔は整っているが、滲み出る軽いオーラ…所謂チャラ男?
「・・・」
「キミがシロナちゃんでいいんだよね?」
ハルトから話はよく聞いてるよと男は続けた。
「……ハルトの、お知り合い…です…か?」
警戒は未だ解かず、男をジッと見る。
「うん。ハルトから聞いてない?」
「知り…ません」
「そっか…僕てっきりハルトがどんどん喋ってるものだとばかり」
ヘラヘラと笑いながら眉を困った風に曲げる男は、じゃあ、と前置きをした後
「改めて、はじめましてシロナちゃん!ハルトは僕をユートって呼ぶよ。仲良くしようね」
「…よろしく、お願い…します」
差し出された手に対して、わたしは1歩下がって小さく一礼する。
男…ユート様はまた困った様に笑いながら、まいっかと言って手を引っ込めた。
「じゃあ、用件は伝えたし、僕も帰るよ。じゃあねシロナちゃん。また会ったら、今度こそ仲良くなろうね?」
「…足元に、お気を…つけて、お帰り…くだ…さい」
そういうと、わたしはまたペコリと一礼する。
その会話を最後に、ユート様は元来た道を帰っていった。
わたしは懐かしさを感じさせる扉を閉め、背を向けると、大きく息を吐き、そのまま扉に背中を預けた。
(ハルトが…帰らない?)
どういうことだろうか、まさか体になにかあった?充分に有り得る。ここの所、ハルトは常に忙しそうだった。いつ倒れるか気が気でなかった。でも、それだとハルトの知人だというユート様があれだけ冷静だったことに説明がつかない。…ハルトがあの人に捕まってる?だとしたら金銭目的?いや、それこそ有り得ない。わたしに話すメリットがない。それに、あの指輪はひと目で高額だとわかる。そんな指輪を付けている様な人がお金の為に犯罪を犯すなんて、まず有り得ない。
……だめ、混乱してまともに考えられない。こんな時にハルトがいれば、多少なりとも落ち着くだろうに…そもそもハルトがいれば、こんな事で悩むことなんてなかったのに……
そうだ、今わたしは
一人きりなんだ……
ハルトと過ごす様になってからは感じなくなっていた、1人の恐怖。不安。そしてなにより、寂しい気持ちが胸を渦巻く。
今夜は悪夢を見てしまうかもしれない。
誰もいない玄関で、気づけば膝を抱えて震えていた……
玄関の扉の開いた先に立つ男は、ハルトより1つ2つ程若いようで、髪色は金。金色の綿菓子という感じ。右手の中指には値が張るだろう指輪、といっても悪趣味ではなく、むしろまとまっているという印象を持たせる。背丈はハルトと同じか少し低い。顔は整っているが、滲み出る軽いオーラ…所謂チャラ男?
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警戒は未だ解かず、男をジッと見る。
「うん。ハルトから聞いてない?」
「知り…ません」
「そっか…僕てっきりハルトがどんどん喋ってるものだとばかり」
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「改めて、はじめましてシロナちゃん!ハルトは僕をユートって呼ぶよ。仲良くしようね」
「…よろしく、お願い…します」
差し出された手に対して、わたしは1歩下がって小さく一礼する。
男…ユート様はまた困った様に笑いながら、まいっかと言って手を引っ込めた。
「じゃあ、用件は伝えたし、僕も帰るよ。じゃあねシロナちゃん。また会ったら、今度こそ仲良くなろうね?」
「…足元に、お気を…つけて、お帰り…くだ…さい」
そういうと、わたしはまたペコリと一礼する。
その会話を最後に、ユート様は元来た道を帰っていった。
わたしは懐かしさを感じさせる扉を閉め、背を向けると、大きく息を吐き、そのまま扉に背中を預けた。
(ハルトが…帰らない?)
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……だめ、混乱してまともに考えられない。こんな時にハルトがいれば、多少なりとも落ち着くだろうに…そもそもハルトがいれば、こんな事で悩むことなんてなかったのに……
そうだ、今わたしは
一人きりなんだ……
ハルトと過ごす様になってからは感じなくなっていた、1人の恐怖。不安。そしてなにより、寂しい気持ちが胸を渦巻く。
今夜は悪夢を見てしまうかもしれない。
誰もいない玄関で、気づけば膝を抱えて震えていた……
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