イロトリドリ

宝。

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if童話

もしも桃太郎が……弍

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「どういうことだ……」
鬼の集落らしきところで見た光景に、思わず自分の目と正気を疑った。

鬼が笑っているのだ。

文献にあった鬼の笑顔といえば、人を襲ったり、貶めたりすることを良しとし、分類でいえば、まさに"邪悪"といったところだったはず。
私が頭を悩ませていると、背後から一体の子鬼が現れた。
「お兄ちゃん何してるの?」
「っ!」
慌てて跳び退ったが後の祭り。たちまち鬼共に見つかり、怪訝な目を向けられる。こうなれば……
「わ、我が名は桃太郎!人里より参った!貴様等鬼に奪われたという村の財宝を返してもらおう!」
途端、鬼共は互いに顔を見合わせ
「「「あはははは!!」」」
一斉に笑いだした。

「人間の客など珍しいと思ったら、こりゃあとんだのが来ちまったな!」
「財宝かぁ……お前知ってっか?」
「知ってたらカミさんの尻に敷かれることもねぇなぁ」
「違ぇねぇ!」
「「あっはっは!」」
「話を聞けぇ!!」
なんなのだこいつらは!もういい……これならば
腰にさげた鞘から刀を音高く引き抜く。
「……私は本気だ」
これでこいつらも……
「うわあ!剣だぁ!かっこいい~!」
「お兄ちゃんそれボクにも見せてぇ!」
「ボクも!」
「うわ!なんだ貴様等!これはおもちゃなどてはない!離れろ!」
刀を見せれば怯み、こちらが本気だとわかるだろうと思ったが、子鬼相手には通じなかった。
「まあまあ、人間のお人。そうカッカなさんな」
鬼の群れを左右に分けながら歩いてきたのは、年老いた鬼だった。
「あ、長老」
「長老様」
「あー!大ジジ様だ!」
「大ジジ様!」
長老……ということはこの集落の長なのだろう。
「ふん!やっとまともなのが出てきたか」
「スマンのぅ。うちのところは元気なのが多くてなぁ」
・・・ん?
「ま、待て……今、"うちのところ"と言ったか?」
「?ああ、確かに言うたぞ?」
ということは……
まさか…まさかまさかっ!
ここ以外にも集落がある・・・・・・・・・・・と?」
「?人里には集落は1つしかないのか?」
そんな……!それでは、鬼は
「この集落の……少なくとも2倍以上、だと?」
「まあ集落には大小あるが、数はここを含めて4つじゃな。それに頭領府とうりょうふで、この島におる鬼はすべてじゃ」
村のはずれにも何匹かおるがのと続いた言葉に

なにより、鬼と会話をしているという事実に

気を失いそうになった。
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