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目が覚めると視界が真っ暗だった。水で濡れたタオルが目を覆っていたようだ。タオルを取りあたりを見渡すと寝室のようだった。俺はベッドの上にいてサイズの合っていない黒のTシャツを着ていた。
隣には如月兄弟が器用に椅子に座って寝ている。
冷やされていたおかげで目は腫れずに済んだようだ。シャワーを浴びたのか自身の体から石鹸の匂いがする。覚えていないが自分でシャワーを浴びたのだろうか…?

いろんなことが起こりすぎて記憶があまりない。

「おはよう~」

目を擦りながら眠たそうにしている如月雪を見るとキスされた事や恥ずかしさを思い出して気まずくなる。顔をあまり見ないようにして挨拶を返した。

「…おはよう…」

挨拶を返してから違和感に気付き携帯で日付と時刻を確認する。

「…8月8日…?朝の8時半??」

何度見ても変わらない。どうやら俺は1日寝ていたらしい。

「1日寝てたってことか!?」

「そうだよ~覚えてないの??」

「覚えてない」

「どこまで覚えてるの~??」

「…早乙女くん探すために外に出てそれから俺が…動けなくなった後から」

「全然覚えてないじゃん!!」

如月雪が大声を出したため如月雪成が目を開け椅子から立ち上がった。

「なんだよ。うるさいぞ雪!!」

「ごめん兄さん~」

「何で大声出したんだよ…」

「佐藤くんが全然覚えてないんだよ~あんなに誘惑しておいて~」

「誘惑って!?俺がするわけない!!」

「本当かよそれ…あんなに愛し合ったのに…」

「愛!?」

そんなこと覚えていないし、想像もつかない。

「本当に覚えてなさそうだな。」

「ショックだよ~」

如月雪は困り眉をして嘘泣きをし出した。涙なんてこれっぽっちも出ていない。わかりやすくえーんえーんと言っているのは少し…いや、めちゃくちゃ腹が立った。

「そんなに怒るなよ。雪ももうやめろ」

イライラしていたのが顔に出ていたようだ。
如月雪成は雪の頭を叩いた。叩いたと言うより頭に手を置いたの方が正しいくらいのソフトタッチだった。
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