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しおりを挟む朝食を済ませ部屋に戻ってくると無性に寂しく感じた。
朝食の間も皆んなの会話は途切れることなく賑やか…悪くいえば騒がしかった。
今部屋には俺1人
如月兄弟が主人公に捕まっていたため1人で部屋に帰ることができた。如月兄弟は主人公に対しては何故か強くいけないようだ。ゲームでもそこは多く語られていなかったなと思い出す。
鞄の横にはここへ来てから一度も使っていないカメラがある。
結局俺と如月兄弟は星を観測することは出来ていない。東雲先輩はああ言ってくれたけど何もしないのは気が引けた。
それに使わずに帰るのは勿体無い気がして俺はカメラを持ち部屋を後にした。
リビングにはまだ主人公と如月兄弟が居た。
まだ主人公に捕まっていて、主人公の横にはもちろん早乙女夏樹もいる。あの4人に見つかると厄介なので慎重に音を立てずに外に出た。
混ざりなど一切ない澄んだ青空も神秘的な木漏れ日も何故か無性にカメラに収めたくなりシャッターを切る。
「いい写真撮れた??」
「え?東雲先輩??」
背後から声をかけられて肩がビクッとわかりやすく跳ねる。
「そんなに驚くとは思わなかった。驚かせてごめんね」
「いえ…気にしないでください」
東雲先輩はカメラを覗き込んで来た。距離が近すぎて緊張してしまう。
「よく撮れてるね。写真好きなの??」
「えーと」
如月兄弟をストーカーしていた時に撮っていたなんて言えない。しかも撮っていたのは俺ではなく本当の佐藤翔だし。
「そうですね…風景を撮るのも好きですし人物を撮るのも好きですね」
当たり障りのない事を言ったつもりだ。そして東雲先輩にお願いしやすくするためでもある。
「そうなんだ。俺撮るの苦手だから羨ましいよ」
木漏れ日も霞んでしまうほどの眩しさを放つ東雲先輩の笑顔に咄嗟にカメラのシャッターを切った。完全に無意識だった。
「ごめんなさい!!つい…」
「いいよ。綺麗に撮れてる??」
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