あめいろ物語

いわみね

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リックと薬草園

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 僕の名前はリック。
 王都から遠く離れた南の街で暮らしている。

 今日は仕事紹介所で受けた依頼で、朝から薬草園の手伝いをしている最中だ。
 仕事紹介所は探索者ギルドや魔導ギルドと違って、僕みたいに特別に強くなくても出来る仕事を紹介してくれる。
 ゆくゆくは探索ギルドみたいな所の依頼も受けてみたいけれど、僕は無理をしない主義だ。
 父さんと母さんは、僕が働くことを内心はあまりよく思っていない。痩せ気味の僕が働いていると、虐待されていないか心配する人がいるからだ。
 今日も出掛けるときに、父さんがため息をついて言った。
「リック、お前は働き者だなあ……」
 言葉では誉めているようだけど、声も表情も浮かない。
 どこかでまた皮肉めいたことを言われたのかもしれない。
 父さんも母さんも、僕が稼いだお金を取ったりしないし、ご飯も服も用意してくれる。
 けど、お金持ちじゃないのは確かだから、一部の裕福な人たちは疑うのだ。
 僕はそういう、少数の人たちをいつの日か見返してやりたい。

「リックくん、ちょっと休憩にしよう」
 薬草園のおじさんが声をかけてくれた。
 僕は返事をしてから、水やりをキリの良さそうなところで止めた。園の管理は、普段おじさんとおばさんの二人だけでやっている。
 三種類の薬草が青々と繁って、ほんの少し良い匂いがする。
 薬草園のおかげで、魔物がたくさんいる街の外へ行かなくても、魔力がたっぷりの瑞々しい薬草が手に入るから、皆が助かっている。

 依頼報酬は昼までの手伝いで1000ルピス。
 お店でちょっと美味しいものを食べるのに、500ルピスだと足りないことがあるくらいの報酬だ。

(その代わり休憩と、おばさんの美味しい食事付き。安いどころか割の良い依頼だ)

 ──それだけじゃない。

 僕がおじさんのいる方へ行くと、テーブルの上にお茶の入った湯呑み茶碗と、焼き菓子クッキーがたくさん入った籠が置かれている。

 おばさんは僕が手伝っている日は、空いた手で料理をしたり、買い物に出かける。
 今日は買い物に行ったみたいでおじさんがニコニコしながら椅子に腰かけて僕を待ってくれていた。

 おばさんの手作りクッキー。

 薬草が生地に練り込まれた焼き菓子クッキーは、ちょっと変わった味で美味しい。
 隠し味に薬草以外にも、何か入れていると睨んでいる。
 サクサクとして、薬草っぽさがほんのりと香り、ちょっぴり苦味がある大人の味。
 
 僕はこのクッキーが大好きだ。

 どうしておじさんは食べないんだろうかと、いつも不思議に思っている。

 すごく美味しいのに。
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