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第二章
34話 捜索中
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『ハッサクー、エリヤ~』
“どこなり~”
ジルのどこか間の抜けた呼び声を無視し、俺は身を低く保って街中を移動する。
「ハッサク、絶対に声をあげるなよ」
腕のなかに抱え込んだ銀色の子犬に、俺は言い含めるように小声で話しかけた。
意味が解っているとは思えない、間抜けで……純粋そうな表情でハッサクが俺を見上げている。
(……そのまま黙っててくれよ)
ハッサクを連れてくる予定は無かったが、ハッサクの方が俺を見つけてついてきてしまった。
(迂闊に返すと、こいつがジルたちを引き連れて来かねない)
それで俺は咄嗟にハッサクを捕まえた。
ハッサクを抱えた状態で移動を続けるうち、ジルたちの声も遠ざかる。
他の住人たちにも見つからずに済んでいる。
口許がにやけているのを自覚した。
ハッサクを見つけたのはこのあたりのはずだ。
あたりを改めて見渡す。
魔神が暴れて破壊された場所一帯はすでに修復され、現界の建物のようなものが建ち並ぶ。
俺は住人に見つけられないよう、建物の影に隠れながら移動を続ける。
現界の魔獣の子供であるハッサクは天界の住人や精霊たちと違い、食べ物を食べなくては死んでしまう。
だが、ハッサクを見つけたとき、弱っている様子はなかった。
誰かが世話をしていた可能性は捨てきれないが、そういった話は出てこない。
つまり、あの時点でハッサクはこの街に紛れ込んだ直後だったといえるだろう。
現界へつながる次元の歪みはハッサクの移動できる範囲にある。
しかも、基本的に現界と天界の出入りは、魔界と天界の出入りほど厳重に管理されてはいない。
(現界の主たる創造神は、眠りについているらしい)
現界の創造神ヴェルメラというのは、比較的開放的な性質で、魔界も天界も神界も隔てなく受け入れる神だったという。
それは良くも悪くも現界を混沌に陥れた。
(まあ、悪魔にとっちゃ都合のいい神だったのかもな)
眠らされているのか、自ら眠りについたのか。
場合によってはキナ臭い話だ。
俺はどうでも良いことを考えながら歩く。
(住人が触れるような場所に歪みがあるとは思いにくい。もしあるなら、頻繁に魔界の連中から脱走者が出るだろうからな)
天界都市サルティエラは、飛ばされた魔界の住人の保護と共に、現界への出入りも制限したゆるい牢獄でもある。
(くそ、俺まで閉じ込められている)
ジルたち精霊の方は創造神イルミナとも連絡を取り合っているし、現界ともつながりを独自に持っているというのにだ。
“どこなり~”
ジルのどこか間の抜けた呼び声を無視し、俺は身を低く保って街中を移動する。
「ハッサク、絶対に声をあげるなよ」
腕のなかに抱え込んだ銀色の子犬に、俺は言い含めるように小声で話しかけた。
意味が解っているとは思えない、間抜けで……純粋そうな表情でハッサクが俺を見上げている。
(……そのまま黙っててくれよ)
ハッサクを連れてくる予定は無かったが、ハッサクの方が俺を見つけてついてきてしまった。
(迂闊に返すと、こいつがジルたちを引き連れて来かねない)
それで俺は咄嗟にハッサクを捕まえた。
ハッサクを抱えた状態で移動を続けるうち、ジルたちの声も遠ざかる。
他の住人たちにも見つからずに済んでいる。
口許がにやけているのを自覚した。
ハッサクを見つけたのはこのあたりのはずだ。
あたりを改めて見渡す。
魔神が暴れて破壊された場所一帯はすでに修復され、現界の建物のようなものが建ち並ぶ。
俺は住人に見つけられないよう、建物の影に隠れながら移動を続ける。
現界の魔獣の子供であるハッサクは天界の住人や精霊たちと違い、食べ物を食べなくては死んでしまう。
だが、ハッサクを見つけたとき、弱っている様子はなかった。
誰かが世話をしていた可能性は捨てきれないが、そういった話は出てこない。
つまり、あの時点でハッサクはこの街に紛れ込んだ直後だったといえるだろう。
現界へつながる次元の歪みはハッサクの移動できる範囲にある。
しかも、基本的に現界と天界の出入りは、魔界と天界の出入りほど厳重に管理されてはいない。
(現界の主たる創造神は、眠りについているらしい)
現界の創造神ヴェルメラというのは、比較的開放的な性質で、魔界も天界も神界も隔てなく受け入れる神だったという。
それは良くも悪くも現界を混沌に陥れた。
(まあ、悪魔にとっちゃ都合のいい神だったのかもな)
眠らされているのか、自ら眠りについたのか。
場合によってはキナ臭い話だ。
俺はどうでも良いことを考えながら歩く。
(住人が触れるような場所に歪みがあるとは思いにくい。もしあるなら、頻繁に魔界の連中から脱走者が出るだろうからな)
天界都市サルティエラは、飛ばされた魔界の住人の保護と共に、現界への出入りも制限したゆるい牢獄でもある。
(くそ、俺まで閉じ込められている)
ジルたち精霊の方は創造神イルミナとも連絡を取り合っているし、現界ともつながりを独自に持っているというのにだ。
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