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第二章
40話 堕天
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俺に槍の矛先を向けられたまま、それでもオグノワールが自身の武器を構える素振りは見せない。
魔力で攻撃してくる可能性はある。
すぐそばには好戦的な悪魔、カミルがいる。
カミルの方は今にも攻撃してきそうだが。
パルガムが勘違いでしがみついているのが、俺には都合が良い。
──先手必勝
そんなことが頭を掠めた。
だが一応話は聞いてみるもんだという、惚けた考えも俺を支配する。
ジルたちの影響か。天界で甦ったせいで性質が変わったのか、それとも、それが本来の“ゼリュース”なのか。
ともかく俺は待った。
オグノワールが新たに言葉を発するのを。
裏切らない。
天使長室で、オグノワールが俺にそう言った理由がなんとなく察せられた。
こいつの中では、魔神が暴れた日の傍観が、今でも罪悪感としてくすぶっているに違いない。
「ええ加減離せや!」
「いいえ、放しません、離れません!ミミルさまのところに帰るまでは!」
必死の形相で言い放ったパルガムに、対するカミルが動揺した。
「なにそれ……、ウソやろ?」
□
パルガムのミミルへの執着心は、予想以上に激しい。
ミミルという魔界王の何がここまでパルガムを惹き付けているのか、興味がわくほどだ。
オグノワールも驚いたのか、パルガムの方に目を向けた。
もとより興味を持って会いたいと言い出したのはオグノワールだ。
そのオグノワールが自分の顎に手をやり、俺に言っていたのとは少し違う方向性でパルガムに声をかけた。
「パルガムよ。それほどまでにミミルという者の所へ帰りたいなら、私が帰らせてやろう。但し、私の命に従うと約束すればだ……」
そう言うと、オグノワールはニヤリと笑みを浮かべやがった。
(おいおい。無条件で帰る方法を示してやるんじゃなかったか?)
俺は呆れて言葉を失った。
とんだ堕天使だ。
だが、パルガムはオグノワールの提案にあっさりと引っ掛かる。
カミルにしがみついた姿勢のまま、器用にオグノワールの方を見て、力強く叫んだ。
「約束します!!悪魔さんの味方なら、あなたは悪魔さんだからです」と、意味不明な理屈と一緒に。
そこはなぜ疑わないんだと突っ込みたいが、邪悪だなんだと返ってきそうなので止めておく。
「なんかよおわからんけど、離して」
カミルが疲れた表情で言った。
馬鹿馬鹿しくなった俺は、いつの間にか槍をおろしていた。
魔力で攻撃してくる可能性はある。
すぐそばには好戦的な悪魔、カミルがいる。
カミルの方は今にも攻撃してきそうだが。
パルガムが勘違いでしがみついているのが、俺には都合が良い。
──先手必勝
そんなことが頭を掠めた。
だが一応話は聞いてみるもんだという、惚けた考えも俺を支配する。
ジルたちの影響か。天界で甦ったせいで性質が変わったのか、それとも、それが本来の“ゼリュース”なのか。
ともかく俺は待った。
オグノワールが新たに言葉を発するのを。
裏切らない。
天使長室で、オグノワールが俺にそう言った理由がなんとなく察せられた。
こいつの中では、魔神が暴れた日の傍観が、今でも罪悪感としてくすぶっているに違いない。
「ええ加減離せや!」
「いいえ、放しません、離れません!ミミルさまのところに帰るまでは!」
必死の形相で言い放ったパルガムに、対するカミルが動揺した。
「なにそれ……、ウソやろ?」
□
パルガムのミミルへの執着心は、予想以上に激しい。
ミミルという魔界王の何がここまでパルガムを惹き付けているのか、興味がわくほどだ。
オグノワールも驚いたのか、パルガムの方に目を向けた。
もとより興味を持って会いたいと言い出したのはオグノワールだ。
そのオグノワールが自分の顎に手をやり、俺に言っていたのとは少し違う方向性でパルガムに声をかけた。
「パルガムよ。それほどまでにミミルという者の所へ帰りたいなら、私が帰らせてやろう。但し、私の命に従うと約束すればだ……」
そう言うと、オグノワールはニヤリと笑みを浮かべやがった。
(おいおい。無条件で帰る方法を示してやるんじゃなかったか?)
俺は呆れて言葉を失った。
とんだ堕天使だ。
だが、パルガムはオグノワールの提案にあっさりと引っ掛かる。
カミルにしがみついた姿勢のまま、器用にオグノワールの方を見て、力強く叫んだ。
「約束します!!悪魔さんの味方なら、あなたは悪魔さんだからです」と、意味不明な理屈と一緒に。
そこはなぜ疑わないんだと突っ込みたいが、邪悪だなんだと返ってきそうなので止めておく。
「なんかよおわからんけど、離して」
カミルが疲れた表情で言った。
馬鹿馬鹿しくなった俺は、いつの間にか槍をおろしていた。
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