羊人マーロゥ君の日記

いわみね夜風

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白雪見草の9日から春待宵草の1日のマーロゥくんの日記

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 ◇◇◇

 日付/ガイア歴3年/白雪見草しろゆきみぐさ9日ここのか

 あした、おとうさんがさんと島の外に旅に出る。まだまだ先だと思ってたのに。

 出発は日がのぼる前くらいになるらしい。



 ◇◇◇

 日付/ガイア歴3年/白雪見草しろゆきみぐさ10日とおか

 朝早くにおとうさんたちが島を出た。

 おとうさんはぼくに「見送りはいいから、ちゃんと寝なさい」と言ったけれど、ぼくはねむらずにおきていた。

 だから今日の朝おとうさんたちが島を出発するときに、見送りに行けた。

 そしたら眠らなかったことがわかったみたいで、おとうさんにしかられた。

 ねむらなかったんじゃなくて、ねむれなかったんだって言おうとしたら、どうしてか、なみだがでそうになった。


 ぼくはそれを必死でがまんした。

 だって、なみだなんか出したらぼくがまるで、おとうさんが旅にでるのをひき止めにきたみたいじゃないか。

 偉大な大人の羊人はそんな弱虫でわがままはきっといわない。

 だからぼくは、なみだがでないように、口を開かないようにしたんだ。

 そんなぼくのあたまを、なでてくれたのは、ぼくのおとうさんじゃなくてフォスターくんのおとうさんだった。

 フォスターくんのおとうさんはほんとうにいい人だ。

 そういえば今日、フォスターくんがいなかった。
 フォスターくんは思ったよりなやつなのかもしれない。

 ぼくらののこんごが心配だ。


 ◇◇◇

 日付/ガイア歴3年/春待宵草はるまちよいぐさ1日ついたち


 昨日おとうさんの見送りに来なかったフォスターくんだけども、島の手習い教室に来たフォスターくんは目をまっかにはらしていた。

 ぼくはあやうくをおかしてしまうところだった。

 フォスターくんとのはこんごも変わらない。

 それと今日はずいぶん前におとうさんから聞いた話を思い出した。

 羊人ひつじびとはルーツである羊との大きな違いが、楽に二足歩行にそくほこうできる以外には衣服を身に付けるとかしなくて、島以外の人から見ると、違いがわかりにくいんだっていう話。

 実際のところ、すごくと思うんだけど。

 羊人ひつじびとや羊をみなれていないひとには、わかりにくいんだって。

 そのせいで、島の外でおとうさんが武器を持ったハンターに追いかけ回されたっていう話なんだけど。



 きっと冗談だよね?


 ◇◇◇

 ところで、この日記をぼく以外のだれかが読んでいるとしたら、ぼくは偉大な大人の羊人になれたってことなのかな?

 もしそうなら、すごいことだね。

 これからしばらくぼくらはぼくらのを信頼できる少数の人たちにまかせて、ほんのすこしのきかんだけど、いどうすることになる。そのあいだだけ、この日記はおやすみ。


 遠い未来でこの日記を読んでくれている、どこかのだれか。

 またね。

 読んでくれてありがとう。

 ◇◇◇偉大なる羊人マーロゥより
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